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健康管理 / 病気

2020.11.17

【獣医師監修】犬の腹水はなぜ溜まる?症状・原因・治療法・予防法まとめ

本来、健康な犬のお腹にはほとんど水が溜まることはなく、様々な病気が原因で腹水が溜まることが分かっています。「食欲が無い」「ご飯のタイミングと関係がないときにお腹がぽっこりと出てきた」「体重が増えてきた」というときは要注意です。ここでは、犬の腹水の症状や原因、治療法・予防法についてご紹介します。

Author :監修:葛野 莉奈/獣医師、かどのペットクリニック 院長(文:江野 友紀)

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犬の腹水ってどんな病気?症状は?

お腹を出している犬

犬の心臓病や肝臓病が進行すると、血液の循環などが滞るなどの原因で、水分が腹腔内に滲み出し、お腹に溜まります。この症状を「腹水」と言います。
腹水が大量に溜まると周囲にある胃や肝臓、腎臓、腸などの臓器が圧迫され、様々な影響を及ぼします。

初期症状とチェック項目

犬に腹水が溜まると元気が無くなる、食欲不振、腹部が膨らむ、呼吸困難などの症状が現れます。

また、腹水と似た症状が見られるものに「腹腔内出血」がありますが、腹腔内出血の場合は交通事故や腫瘍の破裂などによる急性の失血に伴い、突然の元気消失、無気力、起立不能、可視粘膜蒼白(歯茎や舌が白っぽくなる)などの症状が見られます。腹水以上に緊急度が高く、迅速な対処が必要になります。

他の犬や人にうつる?

腹水は様々な病気の一症状として現れるものであり、腹水そのものがうつるということはありません。
ただし、犬の腹水の原因がフィラリア症や犬伝染性肝炎などの感染症によるものであった場合は、病気が他の犬にうつり、うつされた犬に腹水が溜まる可能性は考えられます。

犬が腹水になる原因とは?

お腹が膨れた犬・腹水

犬に腹水が溜まる原因となり得る病気を3つご紹介します。

原因|1.心臓病

心臓病には心筋症やフィラリア症などがありますが、犬で最も多く見られる心臓病は「僧坊弁閉鎖不全症」です。
僧坊弁閉鎖不全症は、心臓の左心房と左心室の間にある弁(僧坊弁)が変性し、上手く閉鎖できなくなり血液が逆流して咳や食欲低下、腹水など様々な障害が引き起こされます。
キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルやマルチーズ、チワワ、ポメラニアンなどの小型犬種が好発犬種として知られており、高齢犬に多く見られます。腹水がたまるケースは僧帽弁閉鎖不全が進行して、左心だけでなく右心にまで症状が及んでしまった場合にみられることが多いです。

原因|2.腹腔内の炎症

例えば子宮蓄膿症や、腫瘍、膵炎などおなかの中で炎症が起きている場合もあります。炎症部分からにじみ出ることで膿などが腹水として貯留してしまうことがあり、その場合腹腔内の炎症も同時に落ち着かせてあげる必要があります。

原因|3.肝臓病

肝臓は再生力が非常に高い臓器ですが、重度の障害を受けると、再生が追い付かなくなります。犬が肝臓病にかかると嘔吐や下痢、腹水、黄疸などの症状が現れます。肝臓の疾患の際の門脈という血管部分の異常により血液の水分がにじみ出ることで起こります。

かかりやすい犬種や年齢は?

腹水は犬種や年齢に関係なく発生します。腹水が溜まる原因になる心臓病や腎臓病などは中年齢以降の犬によく見られるため、中年齢~高齢の犬に発生しやすいと言えるでしょう。

犬の腹水の治療法とは?

犬の腹水の治療薬イメージ

腹水は病気によって引き起こされる症状であるため、治療する上では原因となる病気を治す必要があります。
腹水が溜まることが原因で呼吸困難になっている場合は、利尿剤で尿をたくさん排出させたり、お腹に針を刺して物理的に腹水を除去することもあります。

治療にかかる費用

腹水除去の費用は3,000~5,000円ほどが相場と言われますが、方法やその子の全身状態によって費用も異なり、腹水が溜まる原因となる病気の検査や治療、利尿剤などに別途費用がかかります。動物病院によって費用は異なるので、動物病院に確認しましょう。

犬の腹水の予防法とは?

犬 腹水

腹水の原因になる心臓病や腎臓病などを予防することが大切です。適切な食事管理や、定期健診が病気の予防に繋がります。
フィラリア症は月に一回の飲み薬による予防が一般的ですが、首の後ろに垂らす滴下剤や年一回の注射による予防も可能です。

再発する可能性

腹水を減らすために利尿剤を使用したり、お腹に針を刺して腹水を抜いたとしても、腹水が溜まる原因となる病気が治らなければまたすぐに溜まってしまいます。病気を根本的に治療することが重要です。

犬の腹水との向き合い方

犬 腹水

「最近、犬のお腹が膨れてきたな」と感じたとき、ただの肥満と思って様子を見がちですが、実際には腹水が溜まっていて緊急の処置が必要かもしれません。腹水は比較的重い病気の一症状として現れることが多いので、動物病院で早めに治療を受けましょう。

  • 更新日:

    2020.11.17

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ライター・監修者プロフィール
  • 監修者:葛野 莉奈
  • 獣医師、かどのペットクリニック 院長
  • 麻布大学卒。2015年より神奈川県内にてかどのペットクリニックを開業。ながたの皮膚科塾を卒業し、普段の診療でも皮膚科には力を入れております。 私生活では犬8頭と猫2匹と生活しているので、一飼い主として、そして獣医師として飼い主さんと動物たちとの生活がよりよくなることに少しでも貢献できると嬉しいです。