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健康管理 / 病気

2020.11.27

犬が暑くないのにハァハァしているのはなぜ?考えられる病気6つ

犬が口を開け、舌を出してハァハァと呼吸する姿はよく見かけるのではないでしょうか。犬特有のこの呼吸は「パンティング」呼ばれるもので、基本的には身体の熱を放出して体温を調節することが目的あることが多いといわれています。しかし、暑いわけでもないのに犬がハァハァすることもあります。
ここでは、犬が暑くないのにハァハァするときに考えられる原因や病気、対処法についてご紹介します。

Author :監修:葛野 莉奈/獣医師、かどのペットクリニック 院長(文:江野 友紀/認定動物看護士)

犬が暑くないのにハァハァしている場合に考えられる原因3つ

犬 暑くないのに ハァハァ

気温が高いわけでもないのに、犬がハァハァしているときにはどのようなことが考えられるのでしょうか。

1.生理的なもの

お散歩の後やドッグランで元気に遊んだ後には呼吸が荒くなりますが、これは自然なことです。運動後は体温が上昇しますが、犬は口を開けてハァハァと呼吸して熱を放散させ、体温を下げようとします。
特に肥満の犬では、身体に蓄えられた脂肪に熱がこもりやすく、首の周りに付いた脂肪により気管が圧迫され息切れを起こしやすくなります。

緊張やストレスでもパンティングする

犬は雷や台風の音に驚いたり、動物病院に連れていったときに緊張やストレスを感じます。すると心拍数が増え、血圧や血糖値が上昇したり、体温が高くなり、パンティングすることがあります。

2.痛みによるもの

交通事故や他の犬とのケンカでのけがなどは、体に痛みを感じるとハァハァと浅い呼吸をすることがあります。

3.病気によるもの

パンティングは気管支や肺などの呼吸器、心臓などの循環器の病気を患っていて呼吸がしづらくなっている場合にも見られます。多くの場合はパンティング以外にも食欲低下など、いつもと違う症状が現れるので、犬の様子を注意深く観察することが大切です。

呼吸の仕方がおかしいときに考えられる病気6つ

犬 暑くないのに ハァハァ

呼吸の仕方がおかしいときに考えられる病気は様々ですが、ここでは、併発する症状から疑われる6つの病気についてご紹介します。

咳が出る

「カッカッ」「ガーガー」と咳を伴う場合は、循環器系や呼吸器系の病気の疑いがあります。

1.僧坊弁閉鎖不全症

高齢の小型犬に多く見られる心臓の病気です。心臓の左心房と左心室の間にある弁には、血液を送り出すために開閉する機能がありますが、この弁が変性して上手く閉じなくなることで血液が逆流してしまいます。

2.フィラリア症

フィラリア症は、フィラリアという寄生虫が蚊によって媒介され、犬の心臓や肺動脈に寄生し、循環障害を起こす感染症です。フィラリア症に感染した犬は食欲不振、苦しそうな呼吸、咳などの症状が見られ、症状が進行すると痩せる、お腹が膨れる(腹水)、血尿などの症状が現れます。

3.鼻炎や気管支炎

鼻の粘膜や気管が炎症を起こしている状態を鼻炎や気管支炎と言います。鼻や気管支へのウイルスや細菌の感染、アレルギーなどで鼻炎や気管支炎を、鼻の中に侵入した草の身などの異物、鼻の中腫瘍のほか、重度の歯周病が原因で鼻炎を発症することもあります。

呼吸音に異常な音が混じる

ハァハァしているときに「ヒューヒュー」「ゼーゼー」など、普段はしない異常な音が聞こえる場合には、気管虚脱や鼻肺炎の疑いがあります。

4.気管虚脱

気管虚脱は、空気の通り道である気管が潰れてしまい、スムーズに呼吸できなくなる病気です。原因は明らかではありませんが、遺伝や老化、吠えすぎ、散歩で過度に首輪を引っ張ることなどが原因になり得ると考えられています。
小型犬に多く見られる病気で、発症すると「ガーガー」「ブーブー」と苦しそうな呼吸になり、重度の場合は酸欠状態になります。

5.肺炎

ウイルスや細菌などによる呼吸器の感染症の悪化や、食べ物の誤飲などが原因となり発症します。咳や発熱、食欲不振などの症状が見られますが、重症化し呼吸困難になると死に至ることもあります。

パンティングを伴う脱毛や多飲多尿

呼吸が荒くなり、多飲多尿や脱毛、皮膚が薄くなるなどの症状が見られる場合には、副腎皮質機能亢進症の疑いがあります。

6.副腎皮質機能亢進症

クッシング症候群とも呼ばれる病気です。腎臓の近くにある副腎からは「コルチゾール」というホルモンが分泌されますが、副腎皮質機能亢進症になるとコルチゾールが過剰に分泌されます。
症状が進行すると免疫力が低下し、膀胱炎や皮膚炎、糖尿病など様々な病気を引き起こすことがあります。

犬が暑くないのにハァハァしているときに必要な対処法とは

犬 暑くないのに ハァハァ

犬が暑くないのにハァハァしているときには、次のように対処しましょう。

生理的なものの場合

生理的なパンティングであれば、あまり心配しなくても大丈夫です。
長距離の散歩や激しい運動の後、ハァハァが長時間続くようであれば、エアコンや扇風機を使用して涼しくしてあげましょう。雷などによる恐怖心からハァハァしている場合も、原因が無くなれば自然に呼吸は落ち着きます。

病気や怪我が疑われる場合

パンティングの原因が思い当たらないなど、病気や怪我の疑いがある場合には、様子を見ずに動物病院を受診しましょう。病院では、いつから呼吸に異常が現れたのか、食欲不振など他の症状が伴っているのかを獣医師に的確に伝えることが大切です。
舌が紫色になる「チアノーゼ」の様子が見られるときは緊急性が高く、迅速に対処しなくなれば命を落としてしまうこともあります。

犬が暑くないのにハァハァしていたら

犬 暑くないのに ハァハァ

犬のパンティングは珍しいものではありませんが、暑くないのにハァハァしていたり、ハァハァがずっと続いたり、他の症状を伴うような場合には病気の可能性も疑われます。愛犬の様子を良く観察し、異常を感じたら早めに動物病院を受診しましょう。

  • 更新日:

    2020.11.27

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ライター・専門家プロフィール
  • 葛野 莉奈
  • 獣医師、かどのペットクリニック 院長
  • 麻布大学卒。2015年より神奈川県内にてかどのペットクリニックを開業。ながたの皮膚科塾を卒業し、普段の診療でも皮膚科には力を入れております。 私生活では犬8頭と猫2匹と生活しているので、一飼い主として、そして獣医師として飼い主さんと動物たちとの生活がよりよくなることに少しでも貢献できると嬉しいです。