犬が尿失禁をしているとき、主に4パターンの原因が考えられます。尿失禁が起こる原因とその対処法について理解を深めていきましょう。
犬も高齢になると筋肉の衰えによって体型が変化し、さまざまな器官へ情報を伝達する神経も衰えてきます。 尿失禁は泌尿器の筋肉と排尿コントロールの衰えから起こる場合があります。
また、認知症によって脳機能が低下し、尿道の括約筋や膀胱の働きが悪くなることから尿失禁を起こすこともあります。
加齢による失禁は、排泄機能の衰えからくるものであるため、改善は難しいと言えるでしょう。
マナーパンツやおむつを使用してこまめに取り換えてやり、一日一回は暖かいタオルなどで陰部やお尻周りなどを拭いてあげる等して、常に清潔な状態を保つように心がけましょう。
雷や地震などのさまざまな恐怖体験から思わず犬がおしっこを漏らしてしまうことがあります。 長時間の留守番が多かったり、狭いところに閉じ込められたり、不安を感じたときなどにも失禁が見られます。
また引っ越しや飼い主の出産などの環境の変化によるストレスからの失禁もあります。
さみしさや不安からくる精神的な失禁を予防するには、いつも家族がいるところにベッドを置いてやる等して、常に犬が安心して暮らせるように環境を整えることが大切です。
いつもより多くスキンシップをしてあげたり、声かけを増やしてやるなどして、少しでもストレスが減るような環境を作ってあげましょう。
メス犬に多くみられる先天的異常で、左右の腎臓から出て膀胱に接続しているはずの尿管が、膀胱ではなく直接尿道につながっていることがあり、尿失禁などの排尿障害を起こします。
異所性尿管の治療法は外科手術となります。手術後はほとんど完治しますが、尿失禁が完全に治らないときは。内服薬を併用しながらの治療となります。
細菌感染、ホルモン異常、脊髄腫瘍、椎間板ヘルニア、腎盂腎炎、尿路結石、間質性腎炎、子宮蓄膿症、尿崩症などのさまざまな病気が原因で尿失禁が起こります。
病気からくる尿失禁は動物病院で検査をして調べるとすぐに分かります。そのため頻繁に尿失禁があるときは、すぐに診察を受けるようにしましょう。できれば事前に採取した尿を採って持っていくといいでしょう。
日頃から愛犬の尿をよく見ておくと異常をすぐに見つけることができます。
尿失禁と言ってもなかなかその状況を目の当たりするのは難しいかもしれません。 下記のような症状が見られたら尿失禁の疑いがあり、何らかの病気が原因であることも考えられますので、獣医師の診察を受けるようにしましょう。
チェックポイント
犬の尿失禁の原因で一番心配なのが病気によるものですよね。尿失禁はさまざまな病気の症状としてあらわれます。尿失禁があるときに考えられる主な病気について把握しておきましょう。
代表的なものとして、大腸菌などの細菌によって膀胱に炎症がおきる膀胱炎があります。 また、細菌による炎症が腎臓に及んでしまうと腎盂腎炎となります。
避妊手術をしたメス犬に多く見られ、女性ホルモンのバランスの乱れから、膀胱の機能低下がおこり尿失禁がおこります。
メス犬の子宮が細菌感染を起こして腫れ、子宮内に膿がたまる病気です。元気がなく吐いたり食欲がなくなったりします。また水を良く飲むようになるので、尿の量が増えて失禁することがあります。
脊髄に腫瘍ができる病気で、髄内腫瘍、硬膜内腫瘍、硬膜外腫瘍、などがあります。
初期では跛行やふらつきなどが見られ、病気の進行とともに四肢の麻痺がおこり、歩行不能になることがあります。
障害された部位によって失禁や排尿不全をおこしたりします。
ダックスフンドなどの短足胴長の犬種に起こりやすい病気です。背骨の中に通っている脊髄が圧迫されて体の一部が麻痺してしまう病気で、脊髄の神経に障害が出て、足に連絡する神経が走る脊髄が障害を受けると、足が立たない、歩けないなど歩行障害が起こります。
ヘルニアが起こる部位によっては、尿道や膀胱の神経も障害を受けるため尿失禁や排尿障害が起こります。
犬の尿失禁には、雷や地震などで驚いたときに出る一過性のものや、寂しさや不安からくる精神的なものもありますが、病気が原因の尿失禁も多く見られます。また、交通事故や病気の急変などにより膀胱括約筋が弛緩し尿失禁が起きる場合など、緊急性の高い状況も考えられます。
頻繁に尿失禁をしたり、歩くたびに尿がこぼれ落ちたり、しきりに陰部を舐めたりするときは、すぐに動物病院で診察を受けるようにしましょう。