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食べもの

2020.11.04

グリーントライプとは?犬にとってのスーパーフードと言われる理由を紐解く

グリーントライプという名称は聞いたことがあるけれど、説明が英語で書かれていることも多く、何から出来ているのかイマイチよく分からないという方も多いはず。犬本来の食事であると言われ、栄養価が高く、消化吸収にも優れているグリーントライプとは一体どのようなものなのでしょうか?今回は、そもそもグリーントライプとは何か?与えるメリット・与える際の注意点などをグリーントライプを取り入れている飼い主の体験談と合わせてご紹介します。

Author :西村 百合子/ホリスティックケア・カウンセラー、愛玩動物救命士

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グリーントライプって何?

グリーントライプ・牛と犬

犬にとってのスーパーフードとも言われるグリーントライブは、牛や羊、鹿などの反すう動物が持つ第4の胃のことを指します。日本では、まだあまり知られていないグリーントライプですが、ヨーロッパではブリーダーからも信頼されている、犬にとって栄養価の高い健康食でもあります。なぜ、草食動物の胃が犬にとっていいのか、まずは草食動物の消化メカニズムについて知っておきましょう。

草食動物の消化システムとは?

人間や犬には一つしかない胃ですが、反すう動物には胃の中に4つの部屋があり、それぞれ異なる働きをしています。牛やシカ、羊、山羊などの草食動物は反すう動物とも呼ばれ、この4つの胃によって独特の消化システムとなっています。

第1の胃の役割とは

反すうとは“繰り返す”という意味で、草食動物の場合は一度食べたものを再び口の中に戻して咀嚼することを指します。反すう動物は、最初に口に入れたものをあまり咀嚼せず、一番目の胃に送ります。この一番目の胃を「第1の胃」と呼び、私たちが焼肉屋で目にするミノにあたります。

食べたものが第1胃で混ざり合わさり、微生物によって発酵分解されます。発酵分解された食べ物は、ハチノスと呼ばれる第2の胃によって撹拌され、口に戻されます。戻された食物は、再咀嚼され、また第1の胃に戻されます。この作業が数回繰り返されるのですが、この時、第1の胃に生息している微生物が重要な役割を果たしているのです。

この微生物は、犬や人間の胃には存在しません。しかしこの微生物のおかげで、犬が本来消化できない繊維質の分解やたんぱく質をアミノ酸などに分解、発酵することができるのです。草食動物の第1の胃は、発酵タンクの役割を担っているのです。また、この微生物によって作られた微生物たんぱく質は栄養価が高いだけでなくビタミンB群を作り出します。

第4の胃の役割とは

第1の胃から第3の胃は送られてきた食べ物は水分を吸収され、第4の胃へ送られます。この反すう動物の第4の胃が、人間や犬の胃と同じ働きをしています。ギアラとも呼ばれる第4の胃は、胃液や消化酵素、アミノ酸によって食物を分解し、吸収する役割を持っています。

この第4の胃には、草食動物の食べた牧草などが分解され、吸収される前の栄養豊富な消化物が入っており、特に牧草だけを食べてきた草食動物の胃は緑色がかっていることから「グリーントライプ」と呼ぶことがあります。しかし一般的には色に関係なく洗浄、漂白、加熱処理されていないものを総称してグリーントライプと呼んでいます。

愛犬にグリーントライプを与えるメリットとは?

グリーントライプを犬が食べる

野生動物が自ら仕留めた草食動物の内臓を食べている映像を見たことがある方もいらっしゃるでしょう。犬の祖先であるオオカミは、草食動物の胃を好むことで知られています。草食動物の胃には、肉食動物が自然界からは摂取することができない植物性食物繊維や消化の過程で作られた酵素、乳酸菌などの栄養素が詰まっています。オオカミなど野生の肉食動物はこのような栄養素を、草食動物の内臓から摂取しているのです。

グリーントライプの栄養素とは

草食動物は、自分の胃の中に生息している微生物の力を借りエネルギー源となるタンパク質、ブドウ糖、必須脂肪酸酸(リノール酸、リノレン酸)、そのほかの栄養素であるビタミンB群、ビタミンK、乳酸菌などを消化の過程で作り出します。 しかしこれらの栄養素は、肉だけでは作ることができません。そのため肉食動物は草食動物の胃を食べることで栄養を補給しています。

グリーントライプで栄養バランスを補おう

犬がグリーントライプを食べるメリットを大きく分けると下記の5つが挙げられます。
・消化促進
・丈夫な骨や歯の形成
・健康な皮膚と毛艶を保つ
・食欲のない場合の食欲増進
・筋肉の発達

1.消化促進

グリーントライプには、草食動物が牧草などを反すうする過程で作られる乳酸菌(プロバイオティクス)が含まれています。プロバイオティクスには、犬の消化を助け、栄養素の吸収を助ける役割があります。さらにグリーントライプには犬の消化・吸収に役立つ栄養素の一つである水溶性植物繊維も豊富に含まれています。

2.丈夫な骨や歯の形成

グリーントライプには、カルシムとリンが含まれています。カルシウムとリンは、相互作用によって、丈夫な骨や歯の形成に役立つ栄養素です。グリーントライプには、このカルシムとリンが犬にとって理想的なバランスである1:1の割合で含まれています。

3.健康な皮膚と毛艶を保つ

グリーントライプに含まれている必須脂肪酸は、オメガ3脂肪酸であるα-リノレン酸、オメガ6脂肪酸であるリノール酸です。これらの脂肪酸は、犬の健康な皮膚や艶々の被毛の維持に役立つ栄養素です。

4.食欲増進

犬本来の食事に近いグリーントライプには、独特の匂いがあります。人間にとっては、良い香りではありませんが、犬の本能を刺激する匂いです。食欲が落ちてきた犬や食の細い犬、食の選り好みをする犬でも匂いに反応し食いつきが良くなることでしょう。

5.筋肉の発達

グリーントライプには、草食動物に生息している微生物が作り出したアミノ酸が豊富に含まれています。アミノ酸は、犬が健康に暮らす上で必要な栄養素で、筋肉の発達や増強に役立ちます。

こんな子は要注意?グリーントライプを犬に与える際の注意点

グリーントライプ

グリーントライプは、基本的にはどんな犬でも食べてOKな食材です。ただし、製品によってはグリーントライプ独特の匂いが強いものがあります。そのため犬によっては、中にはこの匂いを嫌がることがあります。

また、グリーントライプには、生タイプとフリーズドライやドッグフードなどに加工されたものがあります。加工されたグリーントライプを与える場合は問題がありませんが、生タイプを与えるときには注意が必要です。

生のグリーントライプを与える際の注意点

ジビエブームとなっている昨今、ハンターが捕獲した鹿のグリーントライプが出回るようになってきました。しかし、野生動物の生の内臓には、寄生虫や感染症のリスクが潜んでいます。家庭で生のグリーントライプを下処理するには、内臓の処理に関する知識と衛生に関しての準備が必要です。

野生動物が持っているウイルスや感染症は人間にも感染する可能性があるだけでなく、食べた犬から感染する可能性もあるとされています。そのため、プロが下処理した生のグリーントライプが入手できない場合は、感染のリスクがあることを十分に理解した上で与えることが必要です。

与えるなら非加熱のものを

犬にとって栄養豊富なグリーントライプですが、ビタミン、ミネラル、プロバイオティクス、酵素などの栄養素は加熱処理によって不活性化してしまいます。特に、グリーントライプを配合したドライフードや缶詰タイプは、加熱処理されていることが多いため、グリーントライプが持つ豊富な栄養素を全て摂取できるわけではありません。グリーントライプの栄養素を有効に摂取するためには、非加熱処理の製品を選ぶことがおすすめです。

トッピングからはじめよう

グリーントライプをはじめて与える場合は、いつものフードへトッピングすることがおすすめです。栄養価が高く嗜好性バツグンのグリーントライプですが、中には嫌がって食べない、体調に変化が現れることがあります。まずは少量から様子を見ながら与えてみてください。

また、総合栄養食ではないタイプのグリーントライプの場合は、食事の代用にはなりません。グリーントライプと一緒に、ドッグフードや生肉などもバランスよく与えることが大切です

グリーントライプを取り入れている飼い主の体験談

グリーントライプを食べるゴールデンレトリーバー

少し前までは、グリーンとライプと言えば、缶詰タイプの匂いが強いものしか市販されていませんでした。しかし最近はあまり匂いがないフリーズドライタイプやグリーントライプを配合したドッグフードなど、さまざまな商品が店頭に並べられています。

犬の体に有効な栄養素が豊富に詰まっているグリーントライプですが、草食動物の内臓と聞くとなかなか手が出ない方もいるのではないでしょうか?そこで、10年以上前からグリーントライプを常備品としている筆者の体験談をお伝えします。ぜひ、参考にしてみてください。

何も口にしなくなった子が元気になった理由は「グリーントライプ」

我が家のゴールデンレトリバーが12歳の頃、体調が悪く、動こうとしない日々が続いたある日に何も口にしなくなってしまいました。それまで大好きだった、アイスクリームやプリンを差し出しても、顔を背けるばかり。

そんな時に、友人にすすめられたのがグリーントライプだったのです。その頃は缶詰しか市販されていなかったので、早速缶詰のグリーントライプを購入。缶を開けると、人間にはかなりキツイ匂いでしたが、寝たきりで元気のなかった子が顔を上げて鼻をクンクンさせているのです。ボウルに開けて差し出してみると、何日もご飯を食べていなかったとは思えないほど食いつきました。犬は何も食べなくなったらあとは時間の問題と言われていただけに、ホッとしました。

その日以来、グリーントライプを混ぜたご飯なら食べるようになり、お散歩に行けるまでに回復しました。時間の問題と言われてから半年は元気で暮らすことができたのです。それ以来、グリーントライプは我が家の常備品となり、最近では匂いの少ないフリーズドライタイプを愛用しています。

犬の本能に訴える食べ物がグリーントライプ

グリーントライプ

グリーントライプが犬にとってのスーパーフードと言われるゆえんは、犬の健康にとって有効となる豊富な栄養素にあります。その栄養素は、草食動物独自の消化メカニズムによって生み出される自然の産物です。食欲がない、好き嫌いの激しい子でもこのグリーントライプだけには目を輝かせる理由は、オオカミの亜種である犬の動物としての本能に、自分にとって何が必要なのかが刻まれているからなのかもしれません。

グリーントライプは、年齢や犬種を問わず食べることができます。健康な犬のおやつやトッピングとしてはもちろん、病後や食が細い子そして、今の食事の栄養バランスや健康について不安がある場合も、ぜひ一度グリーントライプを試してみてください。

  • 更新日:

    2020.11.04

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ライター・監修者プロフィール
  • ライター:西村 百合子
  • ホリスティックケア・カウンセラー、愛玩動物救命士、犬の東洋医学生活管理士2級
  • ゴールデンレトリバーと暮らして20年以上。今は3代目ディロンと海・湖でSUP、ウインドサーフィンを楽しむ日々を過ごす。初代の愛犬が心臓病を患ったことをきっかけに、ホリスティックケア・カウンセラーの資格を取得。 現在、愛犬のためにハーブ療法・東洋医学などを学んでおり、2014年よりその知識を広めるべく執筆活動を開始。記事を書く上で大切にしていることは常に犬目線を主軸を置き、「正しい」だけでなく「犬オーナーが納得して使える」知識を届ける、ということ。