子犬は消化機能が未熟であるり、成長にもエネルギーを必要とするため、他のライフステージと比べても食事の与え方に配慮が必要です。
成長期の子犬は、多くの栄養やエネルギーを必要とします。食べるスピードも速いですが、子犬の胃袋はまだ小さく、消化管の機能もまだ未発達です。一度に多くの食事を与えてしまうと消化不良を起こし、吐いたり下痢することがあるので、回数を3~4回に分けて与えましょう。
生後3ヶ月ぐらいまでの子犬は低血糖症になることが多く、空腹時間が長いときや身体が冷えたとき、感染症にかかったときなどに発症します。
離乳していない幼犬の場合、3数時間ミルクを飲まないだけで低血糖を起こしてしまうことがあり、離乳した子犬であっても半日食事を摂らないだけで低血糖症を起こす子もいます。少なくとも6~8時間おきにはごはんを与えましょう。
生後5~6ヶ月頃までは成長が著しく食欲も旺盛ですが、成長が落ち着くと食べるスピードが緩やかになったり、食べ残すようになることがあります。飼い主さんは「食事に飽きてしまったのでは」と考えるかもしれませんが、必要なエネルギー量が減ってくるためたり、満腹中枢が発達する、胃や腸の消化機能が発達して一度に食べられる量が増えてくるためで、これは自然なことです。
食べが悪いからとフードを嗜好性の高いものに変えたり、おやつを与える必要はありません。偏食の原因にもなるので、食事はむやみに変えないようにしましょう。
成犬になると身体の成長が緩やかになるため、食事の与え方も変わってきます。
生後6カ月頃を過ぎると消化器官が発達するため、食事回数は1日2回が適正になります。フードのパッケージに記載された1日分の給与量を2回に分けて与えましょう。
ただし、与える子の運動量や飼育環境によって必要になる食事量が異なるので、様子を見ながら決めていきましょう。
ひと昔前までは、食事は1日1回で十分という考え方もあったようです。しかし、犬は食事の時間をとても楽しみにしていますし、1日1回の食事では次のような弊害が起こることも考えられます。
避妊・去勢手術をすると、繁殖に必要なエネルギーを消費しなくなるため、基礎代謝量が低下します。そのホルモンの変化による食欲増進や代謝の変化ため、手術前と同じ量の食事を与えているごはんの与え方を調整しないと太ってしまうことがあります。
体重が増えてしまうようであれば、フードの量を減らしたり、低カロリーの体重管理用フードへの切り替えを検討しても良いでしょう。
シニア期になると身体の機能が低下し、食欲にも変化が見られることがあります。
シニア期の食事も基本的には1日2回で問題ありませんが、年齢と共に消化器官が少しずつ衰え、食事を残すようになることがあります。今まで与えていた量を一度に食べきらないようであれば、食事回数を1日1回に減らすのではなく、1日分の食事を3~4回に小分けにして与えましょう。
老犬になるとフードを咬む力や飲み込む力が弱くなることがあります。食べにくそうであれば、フードをふやかして与えたり、ウェットフードを与えても良いでしょう。
食欲が低下している場合、老化による消化機能の低下だけでなく、歯周病や目に見えない内臓部分での異変、腫瘍など何らかの病気が原因の可能性も考えられます。食欲の無い日が続いたり、いつもと違う様子がみられるようであれば、一度動物病院を受診しましょう。
食事の回数の基本は、子犬期が3~4回、成犬期が2回、シニア期が2~4回です。これはあくまでも目安であり、その子の活動量や身体の機能による個体差があるため、様子を見ながら与える量や回数を決めましょう。適切かどうかの指標となる排便の際の状態や体重の定期的なチェックもとても大切です。適切な食事管理で、愛犬の健康を守ってあげてくださいね。