若い頃のように、散歩に行こうと催促しにくることもなくなり、毎日のんびり寝て過ごしているように見える老犬ですが、実は、ストレスが溜まっている可能性があることをご存知ですか?犬は、年齢に関係なくさまざまなことにストレスを感じています。
特に、老犬は機敏に動けないことから、ストレスを感じやすくなっている可能性があります。まずは、どんな時に老犬がストレスを感じているのか、シーンごとにご紹介します。
犬は、信頼できる飼い主と行動を共にすることを大切にして、飼い主のために何かをすることに喜びを感じる動物です。そのため、年齢に関係なく、留守番が大好き犬はいません。若い頃は、留守番時に、ソファをかじったり何かを壊したりして「留守番は寂しくて不安」と訴えていた犬でも、シニア期に入ると静かに寝て待つようになるかもしれません。
しかし、何歳になっても犬は留守番をするということにストレスを感じてしまうのです。特に、長時間の留守番は老犬にとって大きなストレスとなる可能性があるので、注意が必要です。
足腰も弱ってきているし、歩くのが辛そうだからとお散歩をあきらめてしまっていませんか?犬は、何歳になっても、外の空気や土などの匂いを嗅ぎたいもの。老犬になったからといって、全く運動しない生活は犬にとって大きなストレスになります。
もしかすると、耳が少し聞こえにくくなったことで、花火や雷の音に反応しなくなったかもしれません。しかし、今までは大丈夫だったテレビやチャイムなどの生活音や来客の話し声、車の音などに敏感に反応することもあります。老犬にとってストレスとなるのは、大きな音だけではないことを理解しておきましょう。
犬も人間と同じように、加齢とともにさまざまな機能が衰えてきます。特に、関節の不調は多くの老犬が抱える悩みです。痛みやしびれは、犬にとっても不快なもの。また、消化機能の低下によって、下痢や便秘などのお腹の不調を繰り返すこともあります。ささいな体調不良でもストレスの要因となるので、見逃さないようにしましょう。
犬は、環境の変化が苦手です。特に、住環境が大きく変わる引っ越しは大きなストレスとなる可能性があります。また、結婚、離婚、出産など、家族構成の変化もストレス要因の一つです。室内の温度や湿度、日当たりなどもストレスの原因になることがあります。この他にも柔軟剤や香水、消臭スプレーなど化学的な匂いに対してもストレスを感じるため注意が必要です。
老犬に限らず、犬はストレスを感じた時にストレスサインと呼ばれる行動や仕草で少しでもストレスを軽減しようとします。何気ない行動に見えることもストレスサインである可能性があるため、日常生活の中でこまめに観察してあげることが大切です。犬がストレスを感じているときに見せる行動・仕草を3つご紹介します。
犬がストレスを感じている時に見せる行動で最も多いのが、同じ場所を舐め続けることです。どこかに痛みやしびれがあるといった場合だけでなく、寂しい時、何かをしたいけどできない時などにも舐め続けるという行動を見せます。
足先やお腹などが多く、同じ場所をずっと舐め続けてしまい、炎症を起こしてしまうこともあります。ストレスが解消されない場合は、こういった行動がエスカレートしてしまい、自分の体の一部を噛み続けてしまう場合もあります。
人間のあくびと異なり、犬は何らかのストレスを受けている時にあくびをします。あくびをする原因となるストレスは、イライラしている時、興奮している気持ちを鎮めようとしている時、何かを我慢している時などが挙げられます。
人間と同じように恐怖や不安は、犬にとっても大きなストレスです。犬は、恐怖や不安な気持ちを体を震わせることで軽減しようとします。
たとえば、雷や花火などの大きな音が苦手な犬なら、尻尾を丸めて体を震わせるといった具合です。病院嫌いの犬は、病院に近づくだけでも体を震わせるというのも同じです。
シニア期に入った犬は、室内で過ごす事が多くなるため、意外とストレスが溜まりやすいもの。毎日を笑顔で過ごさせてあげるためにも、ストレスがたまらないように気を配ってあげましょう。
年を重ねた犬は、1日の大半を寝て過ごすようになります。そんな犬を見ていると、「そっと寝かせておいてあげよう」「起こさないようにしよう」などと思ってしまいがち。しかし、だからと言って、1日寝かせておいては犬もストレスがたまってしまいます。適度な運動は、犬の脳や心を刺激する上、気分転換にもなります。
歩く事が難しい場合は、抱っこやカートで外に連れ出してあげましょう。歩き慣れたお散歩コースに連れて行ってあげることも、ストレス解消に役立ちます。
室温、騒音、匂いなどの生活環境によるストレスがある場合は、環境を改善してあげることが大切です。人間が心地よいと感じるもの全てが犬にとっても心地よいわけではありません。老犬が過ごしやすいと感じるためには、飼い主の観察が必要です。毎日の生活の中で、ストレスを感じていないかこまめに観察して、生活環境を整えてあげることが大切です。
さまざまな機能が衰えてきている老犬は、飼い主が思っている以上に不安を抱えています。また、体のどこかに痛みを抱えている場合もあります。そんなストレスを解消してあげるために、マッサージをしてあげたり、優しくさすってあげるなどのスキンシップをとってあげましょう。
犬は、飼い主と一緒にいる時が一番安心できます。1日に何回かは、スキンシップを取る時間を作ってあげてください。
犬は7歳を過ぎると、消化機能が衰えてきます。また、歯周病など口腔内のトラブルを抱えている場合もあります。あまり食べたがらなくなった、痩せてきたなど犬の様子に変化がある場合は、消化機能が衰えてきている犬にとって、消化吸収の負担になっている可能性があります。
消化の良いフードに変更するというのも一つの方法です。また手作りのトッピングをするというのもおすすめです。どんな犬にとっても、食べることは楽しみの一つ。犬が喜ぶごはんを選びましょう。
筋力や体力の衰えによって、散歩に行かれなくなってしまうことは大きなストレスです。そんな筋力・体力の低下を防ぐために、室内でも遊びの時間を作ってあげましょう。おもちゃやタオルで引っ張りっこをしたり、ボールでもってこいをさせたり、関節などに負担のかからない程度に室内でも遊ぶことがおすすめです。
その際には、なるべく視覚・嗅覚・聴力などを刺激する遊びを選び、五感を刺激してあげることも大切です。
体のさまざまな機能が衰えていく老犬は、私たちが思っている以上にストレスを溜め込みがちです。そんな老犬に毎日を笑顔で過ごしてもらうためには、どこか痛いところはないか、不安そうにしていないか、体重の変化はないかなど、日々のこまめな観察が必要です。
ストレスは万病の元です。もし、愛犬がストレスサインを見せていたら、ストレスの原因を取り除いてあげて、ストレスを解消してあげることが大切です。