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走る老犬
住まい / 生活

2020.11.20

老犬の幸せを叶えるために飼い主が知っておきたい3つのこと

「あれ?名前を呼んだのに反応しない」犬と暮らしていると、ある日突然そんな日がやってきます。「うちの子はまだ顔も白くなっていないし、お散歩も元気に行っているから大丈夫」そう考えていても、年を重ねた犬の「老化」は日に日に進んでいるのです。
そんなシニアになった愛犬の幸せな毎日に必要なことは、まず愛犬の身体の変化を知ること、そしてどんなことを幸せだと感じるのかに気がつくこと、その上飼い主に何ができるかを考えることの3つです。今回は、この老犬の幸せを叶えるために飼い主さんが知っておきたい3つのことについて詳しくご紹介します。

#シニア犬

Author :西村 百合子/ホリスティックケア・カウンセラー、愛玩動物救命士

老犬の幸せを考える|1.老犬期になると訪れる身体の変化を知ろう!

老犬の幸せ

人間の4~6倍のスピードで時間が流れている犬。気がつけば、あっという間にシニアの仲間入りをしてしまいます。「でも、うちの子はまだまだ元気いっぱいだからシニアとは言えないです」という声がよく聞こえてきます。

実は筆者も、同じように「うちの子に限って」と思っている飼い主です。しかし、ある日なんでもないところでつまづいた愛犬を見て、やはりシニアの仲間入りしているんだと、自覚をしました。老犬になると、日常の行動に変化が現れます。

その変化の主な原因は身体機能の衰えです。中でも、次にあげる代表的な5つの変化を見逃さないようにしてあげてください。

老犬の変化|1.昼間もよく寝るようになる

基本的に、犬は1日の大半を寝て過ごすことが多い動物です。個体差や生活環境の違いもありますが、成犬の平均睡眠時間は12~15時間と言われ、子犬や老犬はさらに睡眠時間が増える傾向にあります。
特に、玄関のチャイムが鳴っても瞬時に反応せず寝ていることが多くなったり、外の音に反応せずに寝ているなどは、シニアのサインと考えられます。

老犬の変化|2.名前を呼んでも反応しない

今まで、雷や花火の音が怖かった犬が、雷が鳴っても反応しなくなったり、名前を呼んでも「ご飯よ!」と声をかけても気がつかないという時があります。このように耳がよく聞こえてないと感じることが増えたら、シニアのサインの一つ、聴力の衰えかもしれません。

老犬の変化|3.散歩に行きたがらない

散歩が大好きで、散歩時間が近くなるとソワソワしたり、リードをくわえて持ってきたりしていた犬が、散歩の時間になっても起きようとしない、散歩に行きたがらなくなったら、シニアのサインと考えましょう。
シニアになると、足腰の筋力が弱り、立ち上がるのに時間がかかる、階段や段差を避ける、長距離のお散歩や走ることを嫌がり始めます。

老犬の変化|4.物にぶつかる

犬も年齢とともに視力が低下してきます。また白内障などの目の病気を発症することもあります。おもちゃやボールを見失ったり、振り向きざまに電柱や家具にぶつかったりし始めたら、視力が低下しているサインです。

老犬の変化|5.白い毛が増えてくる

シニアの犬になると、顔の毛の一部が白くなってくることも特徴のひとつです。そして体全体の被毛にも白い毛が混ざるようになることもあります。顔の毛が白くなることは、若い犬にも見られることがあるため、一概にシニアのサインとは言えませんが、多くの場合は、加齢によって顔が白くなります。
また、同時に毛のパサつきや被毛の退色などが見られるようになることもあります。犬のシニアサインはまず顔からと言われているので、顔に白い毛が目立つようになってきたら、シニアの仲間入りをしたと考えましょう。

老犬の幸せを考える|2.老犬の幸せを守るために意識したいこと

老犬の幸せ

犬が歳を重ねてくると、今までと同じように暮らせなくなったことへの不安が行動や表情へ現れるようになります。歳を重ねた犬が幸せと感じるために最も大切なことは、いつも一緒にいてあげること。体の不調や不安を抱えている犬にとって、飼い主の笑顔が一番の幸せを感じることなのです。

1.「この子はもう老犬だから」と口にしないことが大切

若い頃は元気いっぱいやんちゃで手に負えなかった犬でも、歳を重ね老犬となってくると優しく穏やかな表情に変化してきます。この穏やかな表情が老犬のたまらない魅力です。

そんな老犬となった愛犬が、ボールを見失ったり、歩くのを嫌がった時に「もう老犬だから」という言葉を口にしてはいけません。犬は、加齢によって思うように動けなくなった自分の体に不安を感じていたり、イライラしている可能性もあります。そんな時に、自分のいちばんの理解者であると信じている飼い主から、諦めのような言葉が出ることは、犬にとってもとても辛いこと。

たまにそんな言葉を口にしている飼い主さんもいらっしゃいますが、私は横にいる犬がとても寂しそうな表情をしていると感じてしまいます。

犬は、何歳になっても飼い主を喜ばせたい動物です。たとえボールを見失うことがあっても、「老犬だから」と諦めの言葉を口にせず、一緒に探してあげられるだけの優しさを持って接してあげることが大切です。

2.失敗をしても怒らない

「最近、トイレを失敗することが増えてきた」、「ご飯をポロポロこぼすようになった」今までできていたことが、ある日を境にできなくなってしまう老犬。トイレの失敗には、ついつい声を荒げてしまいがちですが、犬も失敗したくてしているわけではありません。失敗したことを、一番悔しく思っているのは犬自身なのです。

足腰が弱っていたり、口の中に違和感があったりと、体のどこかに不調があることが原因で、今までできていたことができなくなっているのです。それは、犬にとっても不安なこと。たとえ失敗をしても、決して怒らないでいてあげましょう。

3.老犬だからと家に閉じ込めないで

犬はどんなに歳をとっても、外の空気を吸い、匂いを感じていたい動物です。老犬になったからといって、お散歩の距離を短くしたり、大好きだった場所へのお出かけもしなくなってしまっては、生きがいがなくなってしまいます。

歩くのが難しい場合は、抱っこやカートで自然の中へ連れ出してあげてください。たとえ今まで通り、土の匂いを嗅ぐことができなくても、大好きな飼い主と一緒のお出かけは犬にとって幸せなのです。

老犬の幸せを考える|3.幸せ叶えるために飼い主にできること

老犬の幸せ

愛犬がシニアの仲間入りをしたと感じたら、まず少しでも楽に暮らせるように生活環境を工夫してあげることが大切です。また、体の不調を感じているところはないか、皮膚にトラブルはないかを体をよく触って確認してあげましょう。

1.滑らない床にしてあげて

加齢によって足腰が弱くなったシニアの犬は、立ち上がるのに時間がかかったり、上手く立ち上がれなくなることがあります。特に、フローリングなどの滑りやすい床は、犬にとって大きな負担となります。

また、歩いていても滑ってしまい、おもわぬ怪我をすることもあります。犬が生活するスペースには、滑りにくいフロアマットなどを敷き、段差の少ない空間を作ってあげましょう。

2.クッションやベッドは柔らかすぎないものを

犬はふかふかのクッションが大好きです。しかし、どんなにお気に入りのふかふかクッションでも、足腰が弱っているシニアの犬には負担となります。おすすめは、立ち上がる時にしっかりと足腰を踏ん張れる設計のクッションやベッド。

寝ている時間が長くなるシニアの犬にとって、ふかふかよりも体に負担のかからない低反発仕様などを選んであげることが大切です。

3.歯のトラブルがないかこまめにチェックを

3歳以上の犬の80%以上が歯のトラブルを抱えていると言われています。理由は、犬の口腔内は弱アルカリ性のため歯垢が溜まりやすく、すぐに歯石が形成されてしまうからです。歯石が溜まることで、歯肉炎や歯周病を発症してしまいます。老犬に口腔内のトラブルが多いのはこういった背景があるからです。
食べながらぽろぽろとこぼしてしまう、以前より口臭がきつくなったと感じたら、歯科を専門に行っている動物病院で診察してもらいましょう。

食べることは年齢関係なく、犬にとって最大の楽しみであり、長生きの秘訣でもあります。愛犬がおいしく楽しく食べることができるよう口腔内の環境を整えることはとても大切なことです。飼い主がこまめに口腔内をチェックしてあげましょう。

4.食事は食べやすい工夫を

犬は加齢とともに、内臓の機能が衰えてきます。今まで食べていたフードやおやつでも、消化の負担となる可能性があります。なるべく消化の良い食事を考えてあげることも飼い主の役目です。

ドッグフードをお湯やスープでふやかしてあげる、手作りのトッピングを加えてあげるなどの工夫をしてあげましょう。また、老犬は一度にたくさん食べられなくなることもあります。その場合は、1日量を数回に分けて、食べきれる量を与えるようにすることも大切です。

愛犬が療法食を食べている場合は、自己判断でトッピングをせずかかりつけの獣医師に相談してからおこないましょう。

5.マッサージでリラックスさせてあげよう

老犬に多く見られるのが関節炎など足に関するトラブルです。また、加齢によって筋肉量が減ってくることで、歩きが遅くなったり、お散歩を嫌がるようになる場合があります。

運動をしないことで、硬くなってしまった筋肉や痛みのある足は、優しくマッサージしてあげることがおすすめ。また、脇の下や首の周りをマッサージして、リンパの流れを良くしてあげましょう。

マッサージをすることでリンパ液の循環をよくし老廃物の排出を助けることができます。その結果、免疫力を高めたり、むくみの解消やストレスを軽減することができます。体をあまり動かさないシニア期の犬には有効です。

老犬にはパピーの時とは違った愛おしさがある

老犬の幸せ

どんなにやんちゃだった犬でも、歳を重ね、顔に白い毛が出始める頃になると、だんだんと穏やかな表情になってきます。よく「あんなに活発だったのに!」と寂しがっている方がいますが、筆者はこの穏やかな表情になったシニア期の犬が大好きです。1日でも長く一緒にいたいと思うのは飼い主の親心というものですが、犬は自分の運命を素直に受け止めている動物です。
飼い主にできることは、少しでも楽しく美味しく、毎日を快適に過ごさせてあげること。寝てばかりだからと言って、1日中家に閉じ込めておかず、新鮮な外の空気や景色を感じられるように、お天気の良い日にはカートや車で外に連れて行ってあげてくださいね。

  • 更新日:

    2020.11.20

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ライター・監修者プロフィール
  • ライター:西村 百合子
  • ホリスティックケア・カウンセラー、愛玩動物救命士、犬の東洋医学生活管理士2級
  • ゴールデンレトリバーと暮らして20年以上。今は3代目ディロンと海・湖でSUP、ウインドサーフィンを楽しむ日々を過ごす。初代の愛犬が心臓病を患ったことをきっかけに、ホリスティックケア・カウンセラーの資格を取得。 現在、愛犬のためにハーブ療法・東洋医学などを学んでおり、2014年よりその知識を広めるべく執筆活動を開始。記事を書く上で大切にしていることは常に犬目線を主軸を置き、「正しい」だけでなく「犬オーナーが納得して使える」知識を届ける、ということ。