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老犬が口をくちゃくちゃさせている
健康管理 / 病気

2020.11.21

【獣医師監修】老犬が口をくちゃくちゃ・パクパクする3つの理由

食事の後でもないのに、老犬が口をくちゃくちゃ・パクパクする。そんなときは、口の中に違和感を感じていたり、体調が悪い可能性があります。ここでは、老犬が口をくちゃくちゃするときに考えられる原因や病気、対処法についてご紹介します。

Author :監修:葛野 莉奈/獣医師、かどのペットクリニック 院長(文:江野 友紀)

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老犬が口をくちゃくちゃする場合に考えられる原因とは?

老犬が口をくちゃくちゃしている

老犬が口をくちゃくちゃ・パクパクするときに考えられる原因には、次のようなものがあります。

1.口の中の異物

歯に食べ物が挟まっているときや、毛づくろいをしたときに歯に毛が絡んでくちゃくちゃ・パクパクすることがあります。拾い食いなど、異物を口に入れたときも口をくちゃくちゃとさせることがあるので、まずは口内を確認してみましょう。

2.何らかの病気や体調不良

口腔内の疾患があるときや吐き気などを伴う胃腸の調子消化器や腎臓等の疾患の進行などで体調が悪いときにも犬が口をくちゃくちゃ・パクパクすることがあります。また、てんかんで見られる仕草の一つとして見られることもあります。

3.その他

身体に異常が無くても、次のような場合には口をくちゃくちゃ・パクパクさせることがあります。

リラックスしている

飼い主さんに優しく撫でてもらっているときや、眠る前など、リラックスしているときにくちゃくちゃ・パクパクすることがあります。これは、母犬の母乳を飲んでいた時の名残と考えられています。

ストレスを感じているとき

見極めが大変難しいのですが、口をくちゃくちゃ・パクパクする仕草は、犬がストレスを感じているときにも見られます。犬には自分や相手を落ち着かせようとするカーミングシグナルという行動がありますが、その一つとして口をくちゃくちゃしたり、パクパクする様子が見られます。
カーミングシグナルには鼻を舐める、あくびをする、歯をカチカチと鳴らすなどの行動があります。

老犬が口をくちゃくちゃするときに、こんな症状を併発していたら要注意

老犬の口の状態

口臭が強い、歯茎が赤い、口を触られるのを嫌がるといった症状を併発しているときには、歯周病などの口腔内疾患の可能性があります。歯石が多く沈着した場合には、歯の根元にまで入り込んだ歯石が炎症を起こし、化膿して頬が腫れてしまうこともあります。

また、下痢や軟便、嘔吐などの症状があれば、胃腸の調子が悪くて口をくちゃくちゃさせている可能性があります。

老犬が口をくちゃくちゃさせるときに考えられる病気とは?

老犬の口のアップ

老犬が口をくちゃくちゃさせるときに考えられる代表的な病気をご紹介します。

1.歯周病

3才以上の犬の80%以上が、歯周病になっている高齢になるにつれ、口腔内の環境も唾液の減少などの変化が伴い歯周病になる可能性が高いと言われています。

歯に付着した歯垢は3~5日ほどで歯石になり、歯石がひどくなると歯肉炎や歯槽膿漏になります。 特に、歯周病などが原因で歯がぐらついているときには、犬は違和感により口をくちゃくちゃします。

2.口腔内腫瘍

犬の口腔内腫瘍で代表的なものよく見られるものはメラノーマ(黒色腫)や扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)、繊維肉腫などです。

メラノーマは最も悪性度が高く、リンパ節や肺に転移しやすい腫瘍です。黒くドーム状に膨らみ、急速に大きくなったり、出血することがあります。良性の腫瘍が口腔内にできることもありますが、腫瘍の種類によっては速やかな外科的治療が必要な可能性が高く、気づいたら早めに受診する必要があります。

3.消化器疾患

お腹の調子が悪いと、吐き気により口をくちゃくちゃさせることがあります。下痢や軟便、嘔吐などの症状がないかよく観察しましょう。

口をくちゃくちゃすることがある消化器疾患には、胃腸炎や膵臓が炎症を起こす膵炎、胃が捻れて急死することもある胃拡張胃捻転症候群(いかくちょういねんてんしょうこうぐん)、食事をうまく胃まで運べなくなる巨大食道症などがあります。

4.てんかん

てんかん発作には、全身性の発作(全般発作)と、身体の一部に起こる発作(部分発作)があります。部分発作では、口をくちゃくちゃしたり、手足や顔面など部分的に筋肉がけいれんしたり、自分の尾を追ったりすることがあります。

老犬が口をくちゃくちゃする様子が見られたら取るべき対処法とは?

老犬の口元

老犬が口をくちゃくちゃさせていたら、口内に異常がないかチェックし、必要に応じて動物病院を受診しましょう。

口内を観察する

犬が口をくちゃくちゃさせていたら、まずは口唇をめくったり、口を開けて口内をチェックしてみましょう。歯にフードが詰まっていたり、毛が絡まっている場合には取り除きましょう。
少しでも病気の疑いがあれば、獣医師の診察を受けましょう。

動物病院を受診する

口中に異常を見つけた場合や、自宅で観察しても原因がわからない場合には、動物病院を受診しましょう。悪性腫瘍や緊急度の高い病気だった場合、早期に治療を開始しなければなりません。

老犬が口をくちゃくちゃ・パクパクしていたら

老犬が口を閉じてお手をしている

老犬が口をくちゃくちゃしているときには、様々な原因が考えられます。一時的なものであれば様子を見ることもできますが、口をくちゃくちゃすることが続いたり、口から出血が見られたり、下痢や嘔吐などの症状を伴う場合には早めに動物病院を受診しましょう。

  • 更新日:

    2020.11.21

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ライター・監修者プロフィール
  • 監修者:葛野 莉奈
  • 獣医師、かどのペットクリニック 院長
  • 麻布大学卒。2015年より神奈川県内にてかどのペットクリニックを開業。ながたの皮膚科塾を卒業し、普段の診療でも皮膚科には力を入れております。 私生活では犬8頭と猫2匹と生活しているので、一飼い主として、そして獣医師として飼い主さんと動物たちとの生活がよりよくなることに少しでも貢献できると嬉しいです。