ジャック・ラッセル・テリアとパーソン・ラッセル・テリアは、名前を見れば検討がつきますが、同じ人物によって生み出された元々は同じ犬種です。ジャック・ラッセル・テリアとパーソン・ラッセル・テリアの違いについて紹介する前に、まずは両犬種の歴史を見ていきましょう。
この両犬種を作出したのは、聖職者であり英国ケネル・クラブの創立メンバーでもあるジョン・ラッセル牧者です。
狩猟を長年たしなんでいた彼は、キツネなどの小獣類の狩猟能力が高くて巣穴に潜り込める小型の狩猟犬を作出するため、熱心に繁殖を重ねていました。
そして、外見を気にせず何よりも狩猟能力を重視し、フォックステリアをベースにさまざまなワーキングテリアの交配を続けたところ、外見のスタンダードが統一されず似通った2つの犬種に発展することとなったのです。
ジョン・ラッセル牧師が亡くなった3年後の1990年に、英国ケネル・クラブでパーソン・ラッセル・テリアが認定され、公認暫定スタンダードが発行されました。
一方、ジョン・ラッセル牧師がジャック・ラッセル・テリアをケネルクラブに登録することを拒んだため、その意向を汲み取り公認犬種として登録されていません。
イギリスのようにパーソン・ラッセル・テリアのみを登録している国もあれば、日本のように両犬種を登録している国もあり、国によって認識に違いが出ているようです。
次に、ジャック・ラッセル・テリアとパーソン・ラッセル・テリアを区別する違いについて紹介していきます。
日本では人気も知名度も高いジャック・ラッセル・テリアは、体重4kg~6kgの小型犬に分類されます。ウェルシュ・コーギーの血を引いているので、手足が短めで体長が体高よりわずかに長い胴長体型をしています。
一方、パーソン・ラッセル・テリアも小型犬に分類されますが、6~7kg程度とやや身体が大きく、脚がすらっと長いのが特徴的です。
ただ、ジャック・ラッセル・テリアもパーソン・ラッセル・テリアも体格に個体差があるため、外見を見るだけで区別するのは難しいのが現状です。
ジャック・ラッセル・テリアとパーソン・ラッセル・テリアのもう一つの違いは、毛色の規定です。
ジャック・ラッセル・テリアの毛色は、ホワイトを優勢に、ブラックかタン(茶色)のマーキングがあり、ホワイト、ホワイト&ブラック、ホワイト&タンの3カラーです。
一方、パーソン・ラッセル・テリアは、全体がホワイト一色かそれにタン、レモン、ブラック、この3色の組み合わせの班があるものが認められています。そして、班がある場合ホワイトが優勢でなければなりません。
結論から言うと、ジャック・ラッセル・テリアとパーソン・ラッセル・テリアは先程紹介したサイズと毛色の違いのみで、性格に違いがありません。ここでは、両犬種の性格について紹介します。
両犬種とも、非常に活発で明るく友好的な性格です。とても賢いので比較的しつけは簡単ですが、頑固な一面もあるため甘やかしたりしない粘り強さが必要になります。
現在は、家庭犬として人気が高まり改良されていますが、狩猟本能が強く小動物を追い回したりと攻撃的になることもあります。
加えて、小柄な見た目からは想像がつかないほど運動量が多いのが特徴です。
運動能力が高いので、アジリティやディスクドッグなどのドッグスポーツも向いています。愛犬と運動を楽しみたい方にとっては最高の相棒になってくれるでしょう。
ジャック・ラッセル・テリアとパーソン・ラッセル・テリアの違いは、サイズと毛色の規定のみで性格にはほとんど違いがありません。サイズの違いといっても体格が大きく変わるわけではないですが、パッと種類を判別するのは難しいですね。
短足で胴長気味なのがジャック・ラッセル・テリア、脚が長くスタイリッシュな印象なのがパーソン・ラッセル・テリアと覚えておくといいかもしれません。