私は以前、動物愛護の中間支援団体で活動をしていました。中間支援団体と言われてもあまりピンとこないと思いますが、直接動物を保護するのではなく、家族のいないコたちを保護するボランティアさんたちを支援する団体というイメージです。大きい団体だと全国の動物ボランティアさんたちに寄付ができる「アニマル・ドネーション」などが有名ですね。
私は地域密着の小さな団体にいましたが、主な活動内容としては、ボランティアさんに取材に行き、どんな活動をしているかを広く発信したり、保健所へ殺処分の現状を聞きに行ったり、また家族のいないコたちのチラシを代行して作り、里親さんとつなげるというような活動をしていました。
動物愛護の活動をする中で、強く感じたことは「すべてのコを救うことはできない」ということ。
今、この記事を読んでくださっている方々は、愛犬を家族以上の存在と捉え、深い愛情を注いでいる方だと思います。すべての飼い主さんがそうであったなら、捨てられてしまうコなんていなくなりますよね。
でも、現実はそうではありません。
愛犬や愛猫を手放す方の中には、自分や家族が病気になってしまってどうしても面倒が見られなくなってしまったという状況の方がいる一方で、「引っ越し先で飼えないから」「全然言うことをきかないから」「思ったよりも大きくなっちゃったから」など身勝手な理由で手放そうとする人もいます。
ペットOKの家を探すという選択肢はないのですか?
きちんとしつけをする努力をしましたか?
身体のサイズで愛情が変わるのですか?
問いかけたいことは山程ありますが、人は簡単には変えられません。活動を通じて得た教訓は、「捨てるのも人間、救うのも人間」ということです。動物ボランティア活動は、動物だけを相手にする活動ではなく、最終的には人間相手の活動とも言えます。
動物たちは飼い主を選ぶことができません。
ひどい飼い主さんの元へ引き取られたコは、そこで生きていくしかないのです。人間なら、努力次第で自分を取り巻く環境を変えるということも可能ですが、残念ながら動物には難しい。
だからこそ、動物たちと一緒に生活する人には最低限の教育が必要だと思います。
ペット先進国と言われるヨーロッパ諸国に比べると、日本はまったくのペット後進国です。こんなにも飼育数が多いのに、動物に対する知識や環境などが向上しないのはどうしてなのだろう?とよく考えます。
日本は良くも悪くも保守的で、あまり改革を望まない国民性がうかがえます。ですが一方で、何かが流行ると全員右へならえというミーハー気質でもありますよね。
タピオカや鬼滅の刃のように動物愛護も浸透すれば良いのですが、今のところ方法がわかりません・・・。
最近は日本でも、ペットショップの存在や販売方法などについての議論が聞かれるようになりました。
ちなみに私は、ペットショップがすべて悪だとは思っていません。もちろん、命を販売するには規制がゆるすぎるとは思いますが、これだけペットショップが溢れている中でこのシステムを廃止するのは現実的ではないし、むしろこの対面販売を利用して、すべてのペットショップで販売前に飼い主さんにしっかりと教育をすることを義務化すればそれだけで、まったく知識や準備のないまま動物を迎え入れるということがなくなるのになと思います。
そして衝動買いを避けるために、少なくとも当日に引き渡しは行えないようにするべきだと個人的には思います。
みなさんもご存知の通り日本の法律の下では、動物たちは「物」として扱われることになります。
これに違和感を覚える方は多いと思いますが、ペットショップで気軽に命が買えてしまうというのも、結局動物たちを「物」として扱っているという裏付けになってしまっているようで、なんだかモヤモヤしたものが残ります。
家族がいなくなってしまった動物たちのために何かしたいけど、何から始めればいいのかわからないという方も多いと思います。
でも、本当に何からでもいいです。最初からハードルを上げずに自分ができることをしていれば、それが命を救う活動につながっていきます。
例えば、里親探しのツイッターを拡散するのなら、指先だけでできますよね。あなたが拡散した記事が他の方の目に留まって、里親さんが見つかるかもしれません。難しく考えず、まずは行動してみましょう。
動物愛護と言うと、動物を虐待してはいけないとか飼育放棄はダメとか極端な事が取り上げられがちですが、私の考える動物愛護は、もっと広い意味で人と動物とのよりよい共生のことだと思っています。
身近な事で言えば、いかに愛犬と幸せに過ごせるかということ。愛犬の幸せは私達にとっての永遠のテーマですよね。
でも、幸せは一方通行では成り立たちません。なので、愛犬を幸せにしてあげるという考え方ではなく、お互いが幸せになる道をこれからも探していけたらいいなと思います。