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柴犬 小説
連載 / ブログ

2020.11.27

アマチュア小説ライターが綴る、犬と暮らした日々のこと|vol.3

豆しば暮らし|そういうことじゃないと思うよ

カーテン越しに漏れる休日の朝の光は、とても穏やかです。

#柴犬 / #豆しば暮らし

文:笠井 ゆき/ライター、葬儀司会者

この記事は、アマチュア小説家が「犬と暮らした日々のこと」をもとに綴る創作物語の連載第3話です。

昨日の反省を踏まえ、メロンを休ませなくては……

朝からバタバタと走り回らなくていい、時間に追われることもない。
休日の朝のゆとりという小さな幸せを噛みしめながら、ママはもう一眠り。

というのは、これまでのこと。でも、今日は違います。

目が覚めた瞬間から、メロンのことを考えていました。
抱っこしたい、ほっぺをにゅーっと引っ張りたい、わちゃわちゃと遊びたい! それからそれから……!

ママは、がばっと起き上がり、首を振りました。

「ダメ! 疲労とストレス! 新しい環境に慣れるまでは、しっかり休ませてあげましょう! かまいたくなりますが、ぐっと我慢です!」

早速やらかした昨日の反省を、踏まえなければなりません。

振り返ると、そこにはメロン

パパを起こさないよう、そっと部屋から出て、ママは洗面所にむかいました。
その途中には、メロンのケージ。
ううう、覗き込みたい。でも、我慢我慢。

それでも、ケージの手前で歩くスピードをちょっと緩めて、ママはチラッとケージに目をやります。メロンが、ママをじっと見つめていました。
目が合うと、ママの胸は高鳴ってしまいます。

「やだ、これって恋なの? 片想いなの?」

歯を磨きながら、ママはクスリと笑いました。ふと視線を感じ、振り返ると、開けたままの洗面所のドアの向こうに、メロンがお座りをしています。
ママは、慌てて前に向き直りました。ダメダメ、休ませなきゃ! メロンに気付いていないフリをしないと!

「えーっと…あっそうだ、顔を洗わなくちゃあねー」

棒読みで言って洗顔をし、タオルで顔を拭きながら、また振り返りました。
やっぱりそこにはメロンがいます。前よりも近い位置に……。

どうする、ママ?!

「え、えーっと…。あ、歯を磨いたばかりだけど、コーヒーが飲みたいぞー」

棒読みで言いながら、鼻歌を歌いながら、キッチンへとむかいました。もちろん、メロンの横を通る時には目が合わないようにします。

コーヒーメーカーをセットし、コーヒーカップを棚から取り出して……。
ちょっとだけ振り返ると、思った通りやっぱりメロン。

「こ、こ、コーヒーまだかなー。あっ、できたー! わーい」

出来立てのコーヒーをカップに注ぎ、ママはリビングへと移動しました。ソファに座り、コーヒーをひと口。
メロンがついてきているのは、気配だけでわかります。

「わーおいしいなー。えっと…休日の朝っていいなー」

足元に、フワッとしたものが触れました。
メロンが! メロンが足の上に乗っている!
くぅーっ、我慢だよ我慢!

パパのツッコミ

「う、うーん、ソファだけど正座したくなっちゃったなー。足を、足を上に……」

「何してんの?」

パパの冷静な声が聞こえました。

「え?! いつからそこに?!」

「こ、こ、コーヒーまだかなー、から。すごい棒読みだったけど、笑っちゃ悪いと思って黙って見てた」

ママは、棒読みの理由を話しました。パパは大笑い。

「まるでコント! 休ませるって、そういうことじゃないと思うよ!」

「だって、疲労とストレスが……」

「メロンが後をついて来るのは、遊びたいからでしょ? それは、疲労でもストレスでもないと思うよ」

「そうだね! よーし、おいでメロン!」

ママはメロンを抱き上げます。
メロンは、小さな尻尾をふりふり揺らして、ママの膝の上にちょこんと座りました。

  • 更新日:

    2020.11.27

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ライター・専門家プロフィール
  • 笠井 ゆき
  • ライター、葬儀司会者
  • 年中無休の犬好き、犬バカです。只今、自宅警備員まめお(パピヨン)と同棲中!犬を愛する喜びを、皆さまと分かち合ってゆけたら幸せです。どうぞよろしくお願いいたします。