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安亮磨
連載 / ブログ

2021.01.27

動物と人の未来を創る獣医師によるコラム|vol.3

飼い主が知ることで、悪化を防げる動物たちの病気がある。この想いを胸に

前回の記事では、わたし安 亮磨ほか獣医師が中心となって設立した一般社団法人動物予防医療普及協会の設立背景や主な活動についてお話をさせていただきました。
さまざまな情報があふれる現代において、うちの子の寿命を健康寿命にするために、獣医師が慎重に選別した情報を飼い主さまに届けることが主な活動です!
今回は、この動物予防医療普及協会を設立しようと決断した私の個人的なストーリーや、どのようにして予防医療の情報を、その情報が必要な飼い主さまに届ける活動をおこなっているのかをお話させていただきます。

#安亮磨 / #専門家コラム / #獣医師

安 亮磨/獣医師、動物予防医療普及協会 理事

命に関わる状態で動物病院に運び込まれる犬たち

獣医大学を卒業後は、CT・MRIの設備のある高度獣医療を提供する動物病院に勤務しておりました。その中で、体調を崩してから初めて動物病院を受診するこんな子たちがいました。

肺水腫のチワワ

突然呼吸が荒くなり、舌の色が真っ青、今にもなくなってしまいそうなチワワさん。
この子は心臓病がかなり悪化し、肺にお水が溜まってしまう『肺水腫』という状態でした。

尿毒症のトイプードル

数日前から食欲が落ちてきて、今日は嘔吐が続いているトイプードルさん。
この子は腎臓の機能が低下し、慢性腎不全による『尿毒症』という状態でした。

末期歯ろうのミニチュアダックスフンド

ほっぺが腫れて、目の下に穴が開いて膿がでてきたミニチュアダックスフントさん。
この子は上の奥歯の歯周病が悪化した、末期『歯ろう』という状態でした。

定期健診や飼い主の気付きで、2次予防

私たちの協会の名前の中にある、予防というキーワード。
実は予防には0次予防から1次、2次、3次予防とった予防医学用語があります。この内容については連載の記事内で予防の大枠としてお話させていただきますね。

この中の『2次予防』は、早期発見・早期治療をうながして病気が重症化しないように行われる処置や指導のこと。
具体的には定期的な動物病院での健康診断や、さまざまな疾患の初期症状への飼い主さまの気付きのことを指します。

見逃さないで!ペットの病気の初期症状

ペットの高齢化とともに、発症する病気も多様化してきました。その中には、大きく調子を崩してしまう前の初期症状のサインがあります。

心臓病の初期症状

例えば心臓病には、最近疲れやすい、咳をする、呼吸が荒くなる時がある、といった初期症状があります。

慢性腎臓病の初期症状

また、慢性腎臓病には、おしっこがたくさん出る・色が薄い、お水をたくさん飲む、食欲が低下してきた、痩せてきた、といった初期症状があります。

進行した歯周病の初期症状

そして進行した歯周病には、口臭が強い、やわらかいものしか食べなくなった、くしゃみをするなどの症状があります。

このような症状は、一見すると大きく体調を崩しているわけではないですが、実は病気の初期症状である可能性もあります。

飼い主が知ることで、防げる動物の病気がある

体調が急激に悪化してぐったりしてしまっている子の飼い主さまに、いろいろと問診を進めてみると、やはり以前に初期症状のサインがあったことがわかります。

そして、初めて動物病院を受診する動物たちの中には、そのまま容態が急変しあっという間に亡くなる子もいます。

突然のお別れに、悲しく辛い思いをされる飼い主さまと、私は数多く出逢ってきました。

「動物達と飼い主さまご家族に、こんなつらい思いをさせてはダメだ。すべての病気ではないけど飼い主さまが知ることで、悪化を防ぐことができる病気がある。もっと発信しなければ。」

これが、私個人が動物予防医療普及協会を設立するに至ったストーリです。

動物の予防医療を普及するために

ペットの健康や予防に関するさまざまな団体が、それぞれ啓発活動をおこなっていますが、まだまだ情報が必要な飼い主さまに届いていないのが現実です。業界としての力不足を感じました。

動物病院からの発信だけでは、アンテナを持った飼い主さまにしか情報を届けられない。
もっと多くの飼い主さまに、知ってもらうためには、動物に関わるさまざまな方やメディア、行政との連携が必要だ!

提携先の団体は100を超える

おかげさまで動物予防医療普及協会は現在、100社を越える企業や大学、行政と連携し、さまざまな方法でプロジェクトを進め、発信をしております。

次回は

次回の記事では、愛犬の健康を守るために『飼い主さまご家族が健康でいることの大切さ』についてお話いたします。

読んでいただきありがとうございました!安亮磨より、飼い主様と動物たちに愛をこめて。

  • 公開日:

    2020.11.29

  • 更新日:

    2021.01.27

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ライター・専門家プロフィール
  • 安 亮磨
  • 獣医師、動物予防医療普及協会 理事
  • 神奈川県の動物病院勤務(総合診療科・歯科担当)。多くの救急症例と対峙する診療経験を経て、予防医療・予防ケアを普及させるため『飼い主さまが知ることで、行動することで防ぐことができるペットの病気や怪我があります』というメッセージとともに情報発信を開始。2018年に一般社団法人 動物予防医療普及協会を設立し、現在は全国各地で予防医療の啓発活動を行う。