オイルと言えば、脂肪。私たち飼い主は、肉を与える時などに「脂肪分が少ないこと」を意識しますよね。そう考えると、オイルのような脂肪分をあえて与えることに抵抗を感じます。
脂肪分は犬にとって悪いもののように捉えられがちですが、実際のところはどうなのでしょうか。
犬の脂肪分の摂り方に対する考え方は、人間と同じです。
摂り過ぎは、肥満や脂肪肝などの生活習慣病を引き起こします。逆にセーブし過ぎれば、一番欠乏しやすいリノール酸の不足から皮膚がカサカサになって被毛の質が低下し、ひどくなるとハゲてしまうこともあります。
また脂肪不足になることで逆に皮膚が脂っぽくなり、そこから最近感染を引き起こすこともあります。
その他にも、α-リノレン酸が不足すると認知症や視覚に関する異常などの神経系に影響を及ぼす可能性があるという研究結果も報告されています。
リノール酸やα-リノレン酸のような必須脂肪酸は、体内で作ることができません。そのため、食べ物から摂取する必要があります。
オイルは良質なものを適量摂ることが大切です。
しかし、仮に良質なものであっても、管理が悪いと酸化してしまい逆に体に悪いものになってしまいます。
「良質なものを新鮮な状態で」与えられるよう、使用するオイルは、それぞれ適した状態で保存することが大切です。
皮膚を健やかに保つ効果が期待できる脂質として、以下の2つの必須脂肪酸があります。
細胞膜の材料となり、皮膚などに起きた炎症を和らげる効果があります。
白血球の暴走を抑えたり、血流を良くする効果も期待できます。
オメガ3脂肪酸は、エゴマ油、アマニ油などに多く含まれるα-リノレン酸と、EPA、DHAを多く含むサーモンオイルなどの魚油があります。
α-リノレン酸は、体内でEPAやDHAに変換されることもわかっています。
白血球を元気にして、病気や炎症と闘う力を体に与えてくれる栄養素です。
代表的なものはリノール酸で、大豆油やゴマ油に多く含まれます。
犬はこのリノール酸から、同じオメガ6脂肪酸で主に脳神経に作用するアラキドン酸を作り出すことができます。
オメガ3脂肪酸は白血球の暴走を抑制し、逆にオメガ6脂肪酸は白血球を活発にする作用を持ちます。
オメガ6脂肪酸を摂り過ぎれば、白血球が強くなり過ぎて、炎症を悪化させてしまうこともあります。
そこで、オメガ3脂肪酸と6脂肪酸のバランスがとても大切になります。
犬では1:5から1:10ほどが理想とされており、ドッグフードなどもほぼこのバランスで配合されています。
オイルは基本的にどれも高カロリーです。ドッグフードをきちんと食べている犬であれば、あえて与えなくても良いものです。
しかし皮膚の乾燥が気になる時は、体重5kg当たり小さじ1杯以内を1日の目安としてオイルを与えてみてはいかがでしょうか。
週に1~2回、もしくは集中的に3日間、という感じで与えれば、オイルの過剰摂取を防ぐことができます。
オイルにはそれぞれ匂いに特徴があり、犬にも好みがありそうです。せっかくなら愛犬が喜ぶオイルをあげたいですよね。
うちのコ基準にはなりますが、オメガ3脂肪酸のアマニ油、サーモンオイル、オメガ6脂肪酸のゴマ油の3種類で好みを比較してみたいと思います。
アマニ油は無味無臭でクリアなオイル、サーモンオイルはイクラをつぶした時のような赤い色としっかりした鮭の匂いが特徴的です。
ゴマ油はみなさんがよくご存知の香ばしいゴマの香りがします。
好きなフードだと匂いに関係なく食べてしまうので、あえて単品では食べたがらないフードを使って実験してみました。
左から、アマニ油、サーモンオイル、ゴマ油の順に並べてみました。掛けたオイルは一滴ずつ。
さあ、どんな結果になるかご覧ください。
意外にも、無味無臭のアマニ油が1番でしたね。お皿までペロペロしていました。私の予想では、サーモン、ゴマ油を食べると思っていましたが、サーモンは食べたものの、ゴマ油は一切口にしませんでした。
犬は匂いの強さに反応すると思っていましたが、好みがあるようです。人間の「おいしそう」と犬の「いい匂い」は、やはり違うのですね。
うちのコは体質的にサーモンの脂が多く摂れないので、アマニ油を中心に与えてみたいと思います。
今回の実験のためにわざわざ買った高品質の(高価な)ゴマ油は、人間が使うことにします(笑)
冒頭でもお話しした通り、皮膚の乾燥対策として即効性があるのは犬用のクリームやオイルを塗ることかもしれません。しかし、体を強くしてやることで皮膚に必要な栄養素が行きわたって症状が改善されることは、乾燥対策以上の健康効果があるように思います。
愛犬の好きな「食べるオイル」が元気な体作りのきっかけになれば良いな、と思います。
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