magazine

犬の生態 / 気持ち

2020.10.31

犬は飼い主をどう認識している?匂いだけじゃない犬の認知能力

嗅覚に優れている犬は、飼い主の匂いに敏感に反応し、自分の飼い主であるということを認識できます。しかし、匂い以外でも飼い主のことを認識できることが、犬の認知能力に関する実験でわかっています。今回は、飼い主に対する犬の認識能力についてお届けします。

Author :監修:みなみ愼子/名古屋ECO動物海洋専門学校非常勤講師(文:新井 絵美子/動物ライター)

この記事をシェアする

犬は匂い以外でも飼い主を認識できる!

犬 飼い主 認識

犬の嗅覚が優れていることは周知の通りで、その優れた嗅覚により飼い主と他の人を区別しています。しかし、嗅覚だけで飼い主かどうかを認識しているわけではなく、視覚や優れた聴覚も駆使して識別しています。

そもそも犬の視覚や聴覚はどれぐらい優れているのか、まずはそこからご紹介します。

犬の聴覚はどれぐらい優れている?

犬の聴覚は人間よりもはるかに優れており、およそ15~50,000ヘルツまでの音を聞くことができます。ちなみに人間が聞き取れるのは約20~20,000万ヘルツが限界です。

また、多方向からの音を集めて聴き分けることもでき、人間は16方向からなのに対し、犬は32方向から集音することができます。

このように犬は優れた聴覚によっても、さまざまな情報を判断しているのです。

犬が見えている範囲

嗅覚や聴覚は非常に優れている犬ですが、犬の視力は人でいうと0.3ぐらいといわれています。

近視であることが多く遠くのものを見るのは得意ではありませんが、30cm~1m以内であればはっきりと見えています。

犬の視力は犬種によって若干差があり、猟犬として活躍し遠くの獲物を追う必要があった犬種は、やや遠視気味だそうです。

犬は「声」や「顔」で飼い主を認識できる

犬 飼い主 認識

飼い主が向こうから近づいてくると愛犬が喜んで尻尾を振る、電話口から聞こえる飼い主の声を聞いてキョロキョロと見回すなど、犬は飼い主の顔や声でも、飼い主だということを認識できます。そのことを裏付ける実験結果についてご紹介します。

声によって飼い主を認識している実験結果

京都大学が行った飼い主の声への反応に関する研究で、犬は飼い主の声を認識していることがわかりました。実験では、まずスクリーンに映し出された以下の4パターンを犬に見せ、併せて音声も聞かせました。

飼い主の姿飼い主の
飼い主の姿他の人の
他の人の姿飼い主の
他の人の姿他の人の

飼い主の姿と声が一致していないパターンと一致しているパターンを比ベたところ、一致していないパターンを見ている時間のほうが長く、かつ不思議そうに見つめていたとのことでした。

このように犬が違和感を覚えながら見つめていたのは、飼い主の声を認識しているからこそだと考えられます。

顔によって飼い主を認識している実験結果

イタリアの大学が行った実験で、犬は視力がそこまでよくないにもかかわらず、飼い主の顔を見て他の人と飼い主を区別できるという結果が出ています。

この実験は実にシンプルで、犬がいる部屋に飼い主と知らない人が交互に入り、それぞれ別のドアから出てもらいました。その結果、飼い主の顔を見つめている時間が長く、飼い主が出て行ったドアの方に近寄って行きました。

しかし、飼い主の匂いによってこのような結果になっているのではないかということから、今度は飼い主と知らない人の両方にマスクを被せて同様に実験しました。すると、飼い主を見つめる時間が短くなり、飼い主が出て行ったドアに近寄る犬も減ったという結果になりました。

これにより犬は飼い主の顔を覚えていて、他の人と飼い主を区別できるのではないかと考えられます。

犬は飼い主の感情も認識できる?

犬 飼い主 認識

近年の研究で、犬は人間の感情を認識できることがわかっています。

ハンガリーの大学が行った研究によると、犬に人の笑い声や楽しい声を聞かせたところ聴覚野の活動が活発になり、ネガティブな声を聞かせたところ活動が低下しました。このような脳の仕組みは人間と似ていることから、犬も声によって感情を読み取れると考えられています。

この研究結果を踏まえて考えると、愛犬と飼い主さんの関係はとても親密なので、犬は飼い主さんの感情も認識できるといえそうです。

犬は嗅覚・聴覚・視覚の全てを使って飼い主を認識している

犬 飼い主 認識

犬は飼い主の匂いだけでなく、飼い主の顔や声もしっかりと見て聞いて「大好きな飼い主だ!」と認識しています。さらに飼い主の感情も認識できると考えられる研究結果もあります。愛犬が嗅覚・聴覚・視覚の全てを使って飼い主を認識していると思うと、ますます愛おしく感じるのではないでしょうか。

  • 更新日:

    2020.10.31

この記事をシェアする
ライター・監修者プロフィール
  • 監修者:みなみ 愼子
  • 名古屋ECO動物海洋専門学校非常勤講師 動物福祉・倫理学、ホリスティックケア・インストラクター
  • 非常勤講師のほか、ペットマッサージやアロマテラピーの教室を開講しており、犬の保護施設でもペットマッサージのボランティア活動を実施中。一緒に暮らしている犬はロットワイラー、フレンチブルドッグ、MIX犬の3頭で、犬との伸びやかな暮らしを楽しみたいと思っています。