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犬の生態 / 気持ち

2020.10.15

犬と人の絆を証明?!愛情ホルモン「オキシトシン」が働く仕組みと研究結果

近年、愛情ホルモンとも呼ばれている「オキシトシン」と犬に関する研究が進み、オキシトシンは犬と人との絆に大きく関連していることがわかっています。そもそもオキシトシンって何?という方もいるかと思いますので、オキシトシンが犬や人にもたらす作用、オキシトシンと犬に関する研究結果などをご紹介します。

Author :監修:加藤 みゆき/獣医師(文:新井 絵美子/動物ライター)

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オキシトシンって何?

オキシトシン 犬

オキシトシンとは、脳内の視床下部で産生されて脳下垂体から分泌されるホルモンです。「幸せホルモン」や「愛情ホルモン」とも呼ばれ、脳や体に働きかけてメリットとなるさまざまな作用をもたらします。

オキシトシンがもたらす効果

オキシトシンは、以下のような作用をもたらすことがわかっています。

幸福感をもたらす

オキシトシンがもたらす効果としては、「幸福感を得られること」が挙げられます。オキシトシンの分泌が促進されると、セロトニンが分泌されます。セロトニンは、精神の安定に大きく影響を与える神経伝達物質の1つで、セロトニンの分泌量が増えると心が癒され幸福感をもたらします。

ストレスや痛みを和らげる

オキシトシンは、ストレス反応を引き起こすホルモンの分泌を抑制し、ストレスを和らげることが研究により判明しました。 また、脳内で働く神経伝達物質の1つで脳内麻薬とも呼ばれるエンドルフィンの分泌を促進し、体の痛みを軽減させる作用ももたらします。

オキシトシンと犬に関する研究結果

オキシトシン 犬

オキシトシンは犬と人間の関係にも深く関連していることが、近年の研究により分かってきました。ここでは、その研究結果の一部をご紹介します。

愛犬と見つめ合うだけで幸せな気持ちになる

麻布大学が30組の飼い主と愛犬を対象にした実験で、愛犬と飼い主が見つめ合うだけでオキシトシンの濃度が上昇するということがわかりました。

研究室で飼い主と愛犬を自由に交流させて、愛犬とよく見つめ合っていた飼い主と、あまり見つめ合わなかった飼い主の交流前後の尿中のオキシトシン濃度を測定したところ、愛犬とよく見つめ合っていた飼い主と愛犬は、どちらもオキシトシン濃度が上昇していました。

つまり、見つめ合うだけで犬も飼い主も幸せな気持ちになるということです。

高齢者とセラピー犬の触れ合いでオキシトシン分泌量が増加

ユニ・チャーム株式会社が高齢者施設入居者37名とセラピー犬35頭を対象とした実験では、高齢者がセラピー犬と触れ合うことで高齢者の83.8%、セラピー犬の77.1%が実施前よりもオキシトシンの分泌量が増加しているという結果が見られました。

この実験を実施中、セラピー犬と触れ合う高齢者は笑顔になり、喜んでいる様子が見られたとのことです。そして、犬もオキシトシンが増加していることから、犬にとっても人から喜びがもたらされているということが示されました。

オキシトシンは社会貢献も果たす

オキシトシン 犬

オキシトシンによる犬と人との関係性は、以下のような社会貢献も果たしています。

医療や介護の現場で患者や入居者に癒しを与える

オキシトシンによる犬と人との相互作用は、医療や介護の現場で社会貢献を果たしています。

近年、医療や介護の現場では、病気に苦しむ子どもたちや、介護・リハビリが必要な高齢者を癒す精神的な治療として、セラピー犬を取り入れいるところもあります。実際、犬と触れ合うことで笑顔になり苦痛が軽減したという患者や、認知症の高齢者の症状が改善されたなどの事例もあります。

このようにオキシトシンがもたらす作用は、医療や介護の現場で役に立っているのです。

自信を取り戻すきっかけになる

不登校の児童やメンタルが不安定な児童が犬と触れ合うことで、本来の自分でいることができて安心感を得られ、自信を取り戻していくという犬との触れ合い効果の研究結果もあります。

オキシトシンのもたらす作用や犬が人に共感する能力が、思春期の児童によい効果を与えているのではないかと考えられています。

犬にも人にも幸せな気持ちをもたらすオキシトシン

オキシトシン 犬

オキシトシンは、犬と人間の関係にも深く関連していることが研究によりわかってきました。そして、オキシトシンによる犬と人との相互作用は、愛犬と飼い主の幸福度を高めてくれるほか、医療や介護の現場などでも役立っています。
これからもたくさん愛犬と見つめ合って、愛情ホルモンの分泌を感じてくださいね。

  • 更新日:

    2020.10.15

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ライター・監修者プロフィール
  • 監修者:加藤 みゆき
  • 獣医師
  • 日本獣医生命科学大学(旧・日本獣医畜産学部)を卒業後、獣医師として埼玉県内の動物病院にて犬・猫・小鳥の小動物臨床とホリスティック医療を経験。その後、小動物臨床専門誌の編集者を勤めた後、現在は都内の動物病院にて臨床に従事。 日々発展する小動物臨床の知識を常にアップデートし、犬に関する情報を通じて皆様と愛犬との暮らしがより豊かなものとなるように勉強を重ねて参ります。