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動物由来感染症
健康管理 / 病気

2020.10.26

【獣医師監修】動物由来感染症にはどんな種類がある?知っておきたい予防法

犬猫などのペットをはじめとした動物から人間に感染する動物由来感染症には、さまざまな種類があります。その中から今回は代表的なものをいくつか取り上げ、それぞれの動物由来感染症の原因や症状、感染経路、予防法を解説します。

Author :監修:加藤 みゆき/獣医師(文:新井 絵美子/動物ライター)

動物由来感染症とは?

動物由来感染症

動物由来感染症とは、動物から人間に伝播する感染症の総称のことです。「人畜共通感染症」や「人と動物の共通感染症(zoonosis:ズーノーシス)」とも言われています。

動物由来感染症の種類

動物由来感染症

動物由来感染症の種類は、以下の4つに大きく分かれます。ここでは、それぞれの代表的な感染症について解説します。

1.直接伝播するもの|噛まれる、引っかかれるなど

犬から直接人間に伝播する動物由来感染症には、パスツレラ菌が原因で引き起こるパスツレラ症があります。パスツレラ菌は犬や猫の口内にいる常在菌で、犬の約75%は保菌していると言われています。

犬に噛まれる、引っかかれる、犬とキスをするなどにより、パスツレラ菌が人の体内に侵入することで発症します。主な症状は噛まれた箇所の腫れや赤み、痛み、発熱などです。しかし、パスツレラ症は宿主の抵抗力が弱っている場合に発症し、体が健康で抵抗力がある状態であれば症状を示しません。

2.ノミダニハエなどが媒介するもの

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、マダニを介して発症する動物由来感染症です。ウイルスを持っているマダニに噛まれることで感染します。発症すると嘔吐や下痢、腹痛、発熱、白血球および血小板減少などの症状が見られます。ヤギやウシ、イヌなどのSFTSウイルスを保有する動物の血を吸血したマダニが人を吸血することにより伝播します。

3.環境が媒介するもの|水、土壌など

環境を媒介とする動物由来感染症には、破傷風などがあります。破傷風は、土の中などに広く存在する破傷風菌が体の傷口などから侵入して感染します。破傷風にかかると神経毒を産生することから、筋肉の緊張を引き起こします。

破傷風のワクチンは、人間に対してはありますが犬にはないので、愛犬に傷口があるときは土壌に触れさせないようにしましょう。

4.動物性食品が媒介するもの|肉、卵、魚など

食品に由来し動物由来感染症になりうる感染症としては、サルモネラ症が挙げられます。サルモネラ菌が繁殖した生の肉や卵、魚などを食べることで発症します。主な症状は下痢や嘔吐、食欲減退などです。

サルモネラ菌が混じった愛犬の糞便を触れた後に手洗いが不十分で、その手でうっかり口や食品などを触ってしまうと人間にも感染します。

動物由来感染症から愛犬や自分の身を守るためにできること

動物由来感染症

愛犬や自身の健康を守るために、動物由来感染症の予防策について理解を深めておきましょう。

愛犬と節度を持って接する

パスツレラ症を防ぐために、愛犬と節度を持って接するようにしましょう。愛犬とキスをしたりなどの過剰なスキンシップは感染リスクを高めるので注意が必要です。 また、噛み癖のしつけをしておく、定期的に愛犬の爪を切るなどして、噛んだり引っかいたりしないようにもしておくのも予防になります。

ノミ・マダニ駆除薬を定期的に投与する

マダニだけでなく、ノミを媒介する動物由来感染症もあるので、ノミの駆除も一緒にできるノミ・マダニ駆除薬を定期的に投与しておきましょう。また、草が茂っているところなど、マダニが生息する場所に愛犬を安易に立ち入らせないようにすることも予防につながります。

肉や魚、卵は火を通してから与える

生の肉や魚、卵には細菌が繁殖していたり、寄生虫が寄生していたりすることがあり、それを摂取すると感染症を招いてしまいます。サルモネラ症の原因となるサルモネラ菌や、生の魚類に寄生するアニサキスという寄生虫は70度以上の加熱で死滅するので、愛犬には火を通してから与えるようにしましょう。

また、愛犬の排泄物を始末した後は、しっかりと手洗いをして衛生的に保つことも重要です。

動物由来感染症ハンドブック2020を読んでおこう!

動物由来感染症

厚生労働省が刊行した「動物由来感染症ハンドブック2020」には、ペット由来の主な感染症の種類やそれぞれの感染症の特徴、感染経路、予防法などがわかりやすく書かれています。飼い主にとっての有益な情報が多数掲載されているので、一読しておくことをおすすめします。

「動物由来感染症ハンドブック2020」

動物由来感染症の知識を深めて予防をしよう

動物由来感染症

動物由来感染症には、犬に噛まれたりすることで直接伝播するものと、ノミやマダニ、食品などを媒介して伝播するものがあります。今回ご紹介した動物由来感染症はほんの一部で、「動物由来感染症ハンドブック2020」に他の種類も詳しく掲載されています。適切に予防をするために、ぜひ一読しておくことをおすすめします。

  • 更新日:

    2020.10.26

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ライター・監修者プロフィール
  • 監修者:加藤 みゆき
  • 獣医師
  • 日本獣医生命科学大学(旧・日本獣医畜産学部)を卒業後、獣医師として埼玉県内の動物病院にて犬・猫・小鳥の小動物臨床とホリスティック医療を経験。その後、小動物臨床専門誌の編集者を勤めた後、現在は都内の動物病院にて臨床に従事。 日々発展する小動物臨床の知識を常にアップデートし、犬に関する情報を通じて皆様と愛犬との暮らしがより豊かなものとなるように勉強を重ねて参ります。