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健康管理 / 病気

2020.10.10

【獣医師監修】老犬に多いクッシング症候群。初期から末期症状、病気との向き合い方

犬の内分泌疾患の「クッシング症候群」は、老犬がかかりやすいと言われている病気です。病気が進行し末期になると、さまざまな合併症を引き起こすリスクがあり、病状が悪化すると治療ができなくなることもあるので、早期に症状に気づき治療をしていくことが重要です。
この記事では、クッシング症候群の初期〜末期症状、病気との向き合い方を解説します。シニアのわんちゃんの飼い主さんは、念のために一度愛犬を観察してみましょう。

Author :新井 絵美子/動物ライター(監修:加藤 みゆき/獣医師)

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犬のクッシング症候群とは

犬 クッシング症候群 末期症状

犬のクッシング症候群とは、副腎皮質機能亢進症とも呼ばれ、腎臓の頭側にある副腎という臓器の皮質からコルチゾールというホルモンが過剰に分泌されてさまざまな症状を引き起こす病気です。犬の内分泌疾患(ホルモンの病気)の中で最も多く、500頭に1頭ぐらいの割合で発症すると言われています。

クッシング症候群の原因

クッシング症候群の主な原因には、以下が挙げられます。

・脳下垂体の腫瘍
・副腎の腫瘍
・他の病気の治療によるステロイド剤の長期投与

クッシング症候群の約9割が脳下垂体の腫瘍が原因と言われています。副腎は、脳の一部の下垂体という部分から出るACTH(副腎皮質刺激ホルモン)というホルモンの作用により、コルチゾールを分泌させます。そのため、脳下垂体に腫瘍ができてACTHの分泌が過剰になると、副腎がコルチゾールを過剰に分泌させてしまうのです。

また、脳下垂体には問題がなくても副腎そのものに腫瘍ができた場合でも、コルチゾールの分泌は過剰になります。

かかりやすい犬種や年齢

クッシング症候群は、8歳以上の犬がかかりやすい病気です。好発犬種はボストンテリア、ビーグル、ダックスフンド、プードル、ボクサーと言われています。

クッシング症候群の症状の進行(初期~末期)

犬 クッシング症候群 末期症状

クッシング症候群は病気が進行して末期になると、合併症を引き起こすことがあります。また、命にかかわる状態に陥ることもあるため、症状の早期発見が肝心です。

初期症状

初期症状は、多飲多尿、おしっこの回数が増える、ごはんをやたらと要求するなどです。以前よりも水をたくさん飲むようになり、それに伴っておしっこの回数が増えます。

お水をたくさん飲むようになっても、「喉が渇いているからだろう」と見過ごしがちなので注意が必要です。犬の体重1kgあたり100ml以上の水を飲むようであれば多飲の状態なので、診察を受けたほうがよいでしょう。

中期症状

中期になると、左右対称に脱毛、お腹が膨れる、息が荒いといった症状が見られます。老化のせいだと勘違いしてしまう飼い主さんも多いので、おかしいなと感じたら早めに動物病院を受診しましょう。

末期症状

病気が進行して末期になると、以下のような症状が見られるようになります。

・免疫機能が抑制される
・血糖値が高くなる
・自力で動けなくなってくる
・血栓ができやすくなる

また、以下のような合併症を引き起こす恐れもあります。

・皮膚炎
・糖尿病
・膀胱炎
・感染症

合併症を起こすと病状が悪化して治療ができず、死に至ることもあります。そのため、早い段階で気づいて治療を始め、進行を抑えることが重要です。

クッシング症候群との向き合い方

犬 クッシング症候群 末期症状

ここでは、クッシング症候群との向き合い方を解説します。

副作用に注意

コルチゾールの過剰な分泌を抑えるための薬を投与する際は、注意深く愛犬を観察するようにしましょう。下痢や嘔吐、食欲減退、元気消失などのいつもと違う様子が見られたら、薬が効きすぎてコルチゾールの分泌が必要以上に抑えられてしまっている可能性があります。速やかに動物病院を受診し、獣医師の指示を仰ぎましょう。

可能な治療法を獣医師と相談する

クッシング症候群の治療は、薬剤による内科的治療が中心となります。腫瘍が小さい場合は内服薬での治療ができますが、腫瘍が大きい場合は放射線治療や外科的手術が必要になってきます。

しかし、放射線治療の設備がある動物病院は非常に少ないのが現状です。また、脳下垂体の手術は難しく、脳外科手術ができる設備が整った動物病院も獣医師も限られています。

このような現状を踏まえ、獣医師にどんな治療の選択肢があるのかをよく説明してもらい、相談しながら治療方針を決めていきましょう。

犬のクッシング症候群は早期発見が非常に大切!

犬 クッシング症候群 末期症状

犬のクッシング症候群は、末期になると合併症により命にかかわる危険な状態に陥ることも少なくありません。また、放射線治療や外科的手術ができる動物病院が限られているので、腫瘍が大きい場合はこれらの治療が受けられない場合もあります。

早期に症状が気づけるよう、普段から愛犬の様子を観察することを心がけるようにしましょう。

  • 更新日:

    2020.10.10

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ライター・監修者プロフィール
  • 監修者:加藤 みゆき
  • 獣医師
  • 日本獣医生命科学大学(旧・日本獣医畜産学部)を卒業後、獣医師として埼玉県内の動物病院にて犬・猫・小鳥の小動物臨床とホリスティック医療を経験。その後、小動物臨床専門誌の編集者を勤めた後、現在は都内の動物病院にて臨床に従事。 日々発展する小動物臨床の知識を常にアップデートし、犬に関する情報を通じて皆様と愛犬との暮らしがより豊かなものとなるように勉強を重ねて参ります。