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2020.10.03

犬に「水溶性ビタミン」はなぜ必要?過剰摂取や欠乏症について知ろう

犬に必要な栄養素の中で、エネルギー源となるタンパク質、脂質、糖質は三大栄養素と呼ばれています。さらに犬の体調を整えるために必要となる栄養素が微量元素であるビタミンとミネラルでこれらを総称してを5大栄養素と呼びます。中でもビタミンは、体の機能を正常に働かせるために必要不可欠な栄養素。ビタミンにはその特性によって水溶性と脂溶性の2タイプに分かれます。今回は、必要な量を毎日摂取する必要がある水溶性ビタミンについて詳しくご紹介します。

Author :西村 百合子/ホリスティックケア・カウンセラー、愛玩動物救命士

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犬にとって水溶性ビタミンはどんな役割を果たす?

犬 水溶性ビタミン

ビタミンは、犬の体を整える働きをする栄養素です。水に溶けやすく、過剰に摂取しても体外に排泄されることが特徴の水溶性ビタミンは、適量をこまめに摂取する必要があるビタミンとして知られています。まずは水溶性ビタミンの性質を知っておきましょう。

別名で呼ばれることも多いビタミンB群

ビタミンB群は、犬の体内のアミノ酸の生成や神経の活動に関与している犬にとって大切な栄養素。他のビタミンと違い、ビタミンB1やB2と呼ばれることよりも、チアミン、リボフラビンなどの名称で呼ばれることの方が一般的なビタミンです。
ビタミンB群は、疲労回復のビタミンとも呼ばれ、全部で8種類あります。ビタミンB群は、エネルギー代謝に働きかけるビタミンで、8種類それぞれが重要な役割を果たしています。

ビタミンB1:チアミン

豚肉、うなぎ、ナッツ類に多く含まれています。
分解された糖質をエネルギーに変える過程で必要となるビタミンです。脳や神経機能を正常に働かせるために必要なエネルギーの生産に役立ちます。また、疲労や食欲不振、集中力が足りない時などにも効果があるとされています。

ビタミンB2:リボフラビン

レバー、うなぎ、牛乳に多く含まれています。
エネルギーを生産するための脂質の代謝に使われることが多く「成長のビタミン」とも呼ばれています。脂肪分を多く摂取していると不足しがちになるビタミンで、老化の原因となる有害物質の蓄積を防ぐ働きがあります。また、皮膚や被毛の健康維持に役立つ栄養素です。

ビタミンB3:ナイアシン

豚レバー、カツオなどの魚介類、エリンギなどに多く含まれます。
犬にとってエネルギー源となるタンパク質や脂質、糖質などを退社する際に酵素のサポート役として働きます。また、血行を良くする働きや他のビタミンB群とともに、皮膚を外部の刺激から守るセラミドを形成を促進し、皮膚の乾燥を防ぐ役割があります。

ビタミンB5:パントテン酸

レバー類、イワシ、納豆、干し椎茸などに特に多く含まれますが、あらゆる食品に含まれています。
「広くどこにでもある」というギリシャ語の意味を持つパントテン酸。副腎皮質ホルモンの分泌に関わり、副腎の働きを助け免疫力向上に貢献するビタミンです。また、ストレスや疲労にも効果を発揮します。

ビタミンB6:ピリドキシン

カツオ、マグロ、さんま、牛レバー、バナナに多く含まれています。
たんぱく質をアミノ酸に分解する過程で必要となるのがビタミンB6です。たんぱく質を多く摂取する犬にとっては、必要不可欠なビタミンともいえます。ビタミンB6は、皮膚や被毛の健康や成長促進に役立つビタミンで、免疫機能の維持にも働きます。

ビタミンB12:コバラミン

牛レバー、鳥レバー、書き、さんま、あさりなどに多く含まれています。
赤血球の生成に欠かせないビタミンで葉酸とともに「働き、造血のビタミンとしても知られています。また、ビタミンB12には、ミネラルの一種であるコバルトが含まれているためコバラミンとも呼ばれています。このビタミンは、悪性貧血の予防や、タンパク質、DNAを合成を助ける働きなどさまざまな代謝に関わっています。ビタミンB12は、他のビタミンとは異なり、緑黄色野菜などに含まれず、動物性食品にのみ含まれ、水溶性ながら肝臓に蓄積されることが大きな特徴と言えます。

ビタミンBc:葉酸

モロヘイヤ、干し椎茸、パセリ、ほうれん草、アスパラガス、レバーなどに多く含まれています。
ビタミンB12とともに造血を助ける葉酸。葉酸、ビタミンB12どちらが欠けても赤血球が正常に作られず貧血の原因となります。また、DNAやたんぱく質の合成を促進し、細胞分裂や生産、再生に役立ちます。特に、妊娠中の母犬には欠かせない栄養です。

ビタミンH:ビオチン

レバー類、卵、イワシなどに多く含まれています。
別名ビタミンHとも呼ばれるビオチンは、皮膚のビタミンとも言われ、皮膚炎の予防、健康な被毛の維持に役立ちます。またたんぱく質や糖質、知っ質の代謝を助け、体内でアミノ酸からブドウ糖を生成する働きもしています。

ビタミンC:アスコルビン酸

赤ピーマン、ブロッコリー、キウイフルーツ(黄色)、菜の花などに多く含まれています。
ビタミンCは、血液などの抗酸化に働く栄養素です。また、鉄や酵素の働きを助け、免疫力を高める作用もあります。ビタミンEとの相乗効果から、細胞膜の抗酸化に働きます。
犬は自分の体内でブドウ糖からビタミンCを生成できますが、加齢や病気などによって生成する量が減少するため、食材やサプリメントで摂取することがおすすめです。

水溶性ビタミンの過剰摂取で起こる問題

水溶性ビタミンは、過剰に摂取しても体外へ排泄されてしまうため、健康な犬では大きな問題は起こりません。水溶性ビタミンの中で過剰摂取に注意したいのは、ビタミンB6とビタミンC。通常は、体調不良が起こるほど大量に摂取することはないはずですが、過剰摂取による問題が起こる場合もあるので注意しましょう。

ビタミンB6

ビタミンB6を大量に摂取した場合は、神経障害、皮膚疾患、光線過敏症などを発症する場合がありますが、通常の摂取量ではほとんど起こりません。また、一部のてんかん薬との相性が悪く、発作を制御する力を弱める可能性もあります。

ビタミンC

ビタミンCは、犬が体内で生成できることから、健康な犬の場合はサプリメントなどから大量に摂取することはありませんが、腎臓機能が低下している犬や尿路結石症が慢性化している犬の場合は、シュウ酸を増加する可能性があるため注意が必要です。

欠乏すると起こる問題

水に溶けやすく熱に弱い水溶性ビタミンは、加熱調理によって壊れてしまいやすい性質を持っています。総合栄養食のドッグフードを食べている場合は、適量が配合されていますが、手作り食の場合や薬を常用している場合などは意識的に摂取するようにしたい栄養素です。

水溶性ビタミンに限らずビタミンは、犬の体の調子を整え、新陳代謝に役立つ栄養素です。そのため不足によって、深刻な体調不良や病気を発症する可能性があるため注意が必要です。ここでは、欠乏すると体調に変調を来す恐れのあるビタミンを1つずつご紹介します。

ビタミンB1(チアミン)

神経機能を正常にはたからかせるために必要不可欠なビタミンであるチアミンは、不足すると脚気の症状である筋力低下、歩行障害といった四肢の失調症、疲労感、視力障害、心臓肥大などを発症する可能性があります。

ビタミンB2(リボフラビン)

皮膚や被毛の健康維持に欠かせない栄養素のリボフラビンは、欠乏すると皮膚や被毛が乾燥する乾皮症や光線過敏症を発症する可能性があります。

ビタミンB3(ナイアシン)

皮膚のバリア機能でもあるセラミドの形成を促進するナイアシンが不足すると、皮膚炎を起こす可能性があります。また、動物性タンパク質が不足することで、この栄養素が欠乏する可能性があります。

ビタミンB5(パントテン酸)

あらゆる食品に含まれているパントテン酸は、めったに欠乏することのないビタミンですが、欠乏した場合には皮膚炎、異常な食欲、成長低下、脂肪肝、免疫低下、低コレステロール血症などを起こす可能性があります。

ビタミンB6(ピリドキシン)

アミノ酸の代謝に関わる犬にとっては欠かせない栄養素であるビタミンで、欠乏すると成長低下、筋力低下、貧血、痙攣、腎機能障害などを発症する可能性があります。

ビタミンB12(コバラミン)

動物性食品にのみ含まれる栄養素で、タンパク質の合成や赤血球の形成に大きく関与しているビタミンです。酵素のサポート役として働いているため、このビタミンが不足すると神経障害や成長抑制が起こる可能性があります。手作り食などで野菜中心の食生活を続けていることで欠乏症を発症する可能性があります。

ビタミンH(ビオチン)

皮膚や粘膜を健康な状態に保つ働きのあるビタミンで、卵黄に多く含まれていることで知らていますが、生の卵白にはビオチンの吸収を阻害するアビジンが含まれているため、生卵の与えすぎには注意が必要です。

ビオチンが欠乏すると、抜け毛や白髪などの被毛トラブルやアトピー性皮膚炎などの皮膚トラブル、無記録、神経異常などを発症する可能性があります。ビオチンは、抗菌薬、抗てんかん薬などによっても不足する可能性があるため注意が必要です。

ビタミンBc(葉酸)

細胞の分裂、生成や再生に役立つ葉酸は、犬の体の発育に関わるため、妊娠中の母犬にこのビタミンが欠乏すると生まれてくる子犬の発達異常をきたすことがあります。また、口蓋裂や脊髄などに先天性の異常、悪性貧血、食欲不振、白血球減少などが見られることがあります。

ビタミンC(アスコルビン酸)

抗酸化作用が高く、免疫機能に働きかけるビタミンCは、犬の体内で合成されるため健康な犬では不足することは考えられませんが、肝臓機能が低下していたり、ガンの治療中、加熱された手作り食の場合は不足する可能性があります。ビタミンCは5歳を過ぎると生産量が減るとされ、欠乏すると老化が早まったり、白内障や歯周病を発症しやすくなると言われています。

犬の水溶性ビタミンの必要な摂取量とは

犬 水溶性ビタミン

犬の健康にとって大切な働きをする水溶性ビタミンですが、犬がどのぐらいの量を必要としているかは、はっきりと分かっていません。総合栄養食であるドッグフードには、AAFCO(米国飼料検査官協会)が定めている必要最小要求量を超える量が配合されていますが、ドッグフートごとに配合されているビタミンの量が異なるため、パッケージなどに記載されているビタミンの量を確認してみましょう。

なお、AAFCOでは犬の体内で合成できるビタミンCの基準を定めていないため、シニアや病気の犬などはサプリメントなどで補うことがおすすめです。また、加熱して作っている手作り食の場合は水溶性ビタミンが不足している可能性があるため、水溶性ビタミンを意識的にトッピングするように心がけましょう。

水溶性ビタミンを摂取する際の注意点

水溶性ビタミンは、水に溶けやすく加熱によって壊れてしまう性質があります。また、一度にたくさん与えても、過剰に摂取した分は体外へ排泄されてしまいます。食材から水溶性ビタミンを摂取する場合は、毎日、必要な量を食事から摂取できるように工夫することが大切です。

気になる愛犬の不調。もしかするとビタミン不足かも

犬 水溶性ビタミン

動物病院に連れて行くほどではないけれど、なんとなく元気がない、食欲がないなど愛犬の不調が気になることはありませんか?そのような状態は、もしかすると水溶性ビタミンが不足しているのかもしれません。水溶性ビタミンは、犬の健康に大きく関与する大切な栄養素です。今回ご紹介した水溶性ビタミンが、いつもの食事にどのぐらい含まれているか確認してみることがおすすめです。もし、ビタミン不足だと感じた時には、サプリメントや食材を工夫して、バランスよく水溶性ビタミンを摂取できるようにしてあげてくださいね。

参考文献
  • 更新日:

    2020.10.03

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ライター・監修者プロフィール
  • ライター:西村 百合子
  • ホリスティックケア・カウンセラー、愛玩動物救命士、犬の東洋医学生活管理士2級
  • ゴールデンレトリバーと暮らして20年以上。今は3代目ディロンと海・湖でSUP、ウインドサーフィンを楽しむ日々を過ごす。初代の愛犬が心臓病を患ったことをきっかけに、ホリスティックケア・カウンセラーの資格を取得。 現在、愛犬のためにハーブ療法・東洋医学などを学んでおり、2014年よりその知識を広めるべく執筆活動を開始。記事を書く上で大切にしていることは常に犬目線を主軸を置き、「正しい」だけでなく「犬オーナーが納得して使える」知識を届ける、ということ。