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犬種図鑑

2020.10.03

イギリス原産の犬「コリー種」に分類される犬の種類は4つ!実はあのコも

コリー種に分類される犬は4犬種あります。現在、ジャパンケンネルクラブ(JKC)に登録されているコリーと名のつく犬は、ラフコリー、スムースコリー、ボーダーコリー、ベアテッドコリーの4犬種です。その中でスコットランドの牧羊犬を祖先犬に持つ犬は、ベアテッドコリーを除く3犬種。残るもう1犬種は、コリーと名がつかないながらスコッチコリーの血を引く犬がシェットランドシープドッグです。今回は、スコットランドで牧羊犬として活躍していたコリー種4犬種について解説します。

Author :西村 百合子/ホリスティックケア・カウンセラー、愛玩動物救命士

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スコットランドの牧羊犬とは

コリー 種類

羊毛産業が盛んだったスコットランドでは、その土地の気候風土に見合った牧羊犬が飼育されていました。その一つ、スコットランドのハイランド地方で牧羊犬として働いていた犬がスコッチコリーです。スコッチコリーの詳しいルーツは未解明ですが、牧羊犬としての有能さだけではなく、人間に対する忠実さ、協調性、愛情深い性格を持ち、羊飼いから高い信頼を得ていた犬だとされています。

残念ながら、一時は絶滅の危機に瀕したこともある犬種ですが、現在はスコッチコリーの保存会が設立され、愛好者によって本来のスコッチコリーの保存を行う活動が行われています。数奇な運命を辿ったスコッチコリーですが、この犬種がいなければ、現在のラフコリーは誕生していなかったと言っても過言ではありません。

一方、イングランド北東部の低地で働く牧羊犬は、イングリッシュシェパードドッグから派生した犬であると考えられています。遠くにいる羊を追い込めるだけの俊敏さと体力が求められていました。寒冷地であるハイランド地方に比べ温暖であったため、低地で働く牧羊犬はショートコートが主流でした。

コリー種とは

コリー種の分類には、本国イギリスでもさまざまな考え方があり、現在でも研究の対象となっています。この記事では、さまざまな文献を調査した結果、日本コリークラブの分類を踏襲してコリーの原型となったスコットランドの牧羊犬に分類されるラフコリー、スムースコリー、ボーダーコリー、シェットランドシープドッグの4犬種をコリー種としてご紹介します。

コリー種を一躍人気者にしたラフコリー

コリーの種類・ラフコリー

有能かつ人間との協調性を持ち合わせているファームコリーのスコッチコリーから誕生した犬種がラフコリーです。小説「ラッシーカムホーム」で世界中の人気者となったラフコリーは、スコッチコリーの愛好者であったビクトリア女王によって、ヨーロッパ各地のみならず世界中へ紹介されました。

初期のドッグショーでは、その美しくエレガントな外観とノーブルな顔立ち、優しい性格、賢さからショードッグとして注目を浴びたのです。しかし、ワーキングドッグとして有能だったスコッチコリーは、ショードッグ向けに改良が重ねられ、ショーコリーとして活躍。やがて、スコッチコリーとは別の犬種である純血種ラフコリーとして登録されました。

特徴は美しい容姿と優しい性格

現在、ショードッグ、家庭犬として人気のラフコリーは、ショーコリーとして、外観の美しさを中心に改良が重ねられてきたため、かつてのワーキングコリーとしてのたくましさはありません。温厚で優しく、子供とも仲良くできる性格と優雅さな外観が大きな特徴です。被毛カラーはセーブル&ホワイト、トリコロール、ブルーマール。

希少犬種のスムースコリー

コリーの種類・スムースコリー

イングランド北部の農場で牧畜犬として働いていたスムースコリー。ラフコリーとの違いは、被毛の長さであると言われていますが、どのようにしてショートコートとなったのか、詳しいルーツを解説している文献はありません。

低地の農場では、働く犬に俊敏さが求められ、スムースコリーよりも能力の高いボーダーコリーの方が人気が高かったためか、人気のある犬種ではありませんでした。また、ドッグショーではラフコリーの方が圧倒的に優位だったため、ショードッグとして繁殖されることも少なく、現在では希少犬種となっているのです。

ラフコリーに比べアクティブな性格が特徴

本来、牛追いなどの牧畜犬であったスムースコリーは、現在のスムースコリーに比べ体高が低くずんぐりした体型だったとされています。しかし、ラフコリーがドッグショーで人気だったことから、エレガントなスムースコリーを作出しようと、多くのブリーダーがラフコリーとの交配を繰り返したことで、現在のスムースコリーが誕生したとされています。

性格は、陽気で訓練性が高い事が特徴で、現在は救助犬、セラピードッグとして活躍しています。被毛カラーはセーブル&ホワイト、トリコロール、ブルーマール。

スーパーアクティブなコリー種ボーダーコリー

コリーの種類・ボーダーコリー

現在ではすっかりスポーティングドッグとしての活躍やオーストラリアの牧羊犬として有名となったボーダーコリーですが、そのルーツはその他のコリーと同じように、はっきりとは分かっていません。もっとも有力な説として認められているのは、スコットランドとウェールズの国境地域ノーザンバーランドで働いていた牧羊犬を基礎犬として作出されたという説です。ボーダー(国境)地帯で働く牧羊犬であることからボーダーコリーと名付けられましたが、アメリカンケンネルクラブ(AKC)で最初の登録名は「スコッチシープドッグ」でした。

国境地帯の広大で岩の多い丘陵地帯にある農場で働く牧羊犬に求められたのは、小回りのきく中型サイズ、そして俊敏さとスタミナでした。また、ボーダーコリーは、特有のハーディング(動物の群れを集め、移動させる)ポーズが特徴です。

全犬種中トップクラスの運動欲求の高さが特徴

知性が高くかつ運動能力に優れた犬種がボーダーコリーです。1998年に公開された映画「ベイブ・都会へ行く」でその賢さが脚光を浴び、人気犬種となりました。ボーダーコリーの特筆すべき特徴は「仕事を必要としている」こと。非常に賢く高い運動能力を持ち、働くことに生きがいを感じている性質なのです。広大な農場で羊をまとめ一か所に集める能力の高さ抜群で、この作業で右に出る犬はいません。知能が高いことから、飼い主のリーダーシップが発揮できない場合は、コントロール不能な犬となる可能性もあることでも知られています。被毛カラーはセーブル&ホワイト、トリコロール、ブルーマールなどさまざま。

イギリスを代表する牧羊犬シェットランドシープドッグ

コリーの種類・シェットランドシープドッグ

小型のラフコリーと間違われることも多いシェットランドシープドッグは、北極に近い寒冷地シェットランド諸島で誕生した犬種で、シェルティーの愛称で親しまれています。ラフコリーとそっくりな容姿ですが、一説によるとスピッツ系の牧羊犬を基礎犬として、スコットランドコリー、キャバリアキングチャールズスパニエル、ポメラニアン、グリーンランドヤッホなど国境を超えた多くの品種との交配が行われたとされています。

最終的に、小さなラフコリーとの交配により、現在のシェットランドシープドッグが誕生しました。そのため、当初は「シェットランドコリー」として犬種登録されましたが、コリークラブからの反対を受け、シェットランドシープドッグと変更されたのです。

賢くアクティブな性質が特徴

知能とプライドが高く、活発なシェットランドシープドッグは、羊の周りをぐるぐる回りながら追い込んでいく牧羊犬です。そのため、普段の生活では車、バイク、電車など動くものを追いかける習性があります。また、トレーニング性が高いことも特徴ですが、勘が鋭く神経質な面も持ち合わせているため、毅然とした態度で接することができる飼い主が必要な犬種です。被毛カラーはセーブル&ホワイト、トリコロール、ブルーマール、ブラック&ホワイト、ブラック&タン。

育種を重ねて作出されたコリー種

コリー 種類

牧羊犬の代表でもあるコリー種は、古くから人間と共に働いてきた犬種です。コリー種は、外観よりもワーキングドッグとしての能力を追求した繁殖が重ねられてきました。これは同じ牧畜犬として活躍していたシェパードと同じ目的ですね。しかし、犬好きのヴィクトリア女王に注目されたことから、コリー種の運命は一変します。

特に、ラフコリーは本来の牧羊犬としての姿よりも、ショードッグとしての美しさを追求し作出され、新しい犬種として登録されました。そしてその他のコリー種も、ラフコリーと同じようにドッグショーを目的とした繁殖が繰り返された結果、残念ながら遺伝疾患を持つことになってしまいました。現在コリー種には、コリーアイ、股関節形成不全、進行性網膜萎縮症、イベルメクチン(フィラリア予防薬)不耐性などの遺伝疾患が確認されています。

コリー種は可愛いだけで迎えないで

コリー 種類

家庭犬として人気の高いコリー種ですが、本来は広大な農場を1日中羊を追って走り回っていた犬種です。そのため運動欲求の高さは、全犬種の中でもトップクラス。映画やCMなどで、その可愛さや美しさが強調され人気となっている犬種ですが、愛玩犬と同じような生活スタイルではストレスが溜まります。特に、ボーダーコリーは賢い犬種だけに初めて犬を飼う方には難しい犬種と言えます。もし、コリー種を迎えたいと考えているのでしたら、まずは牧羊犬の性質を理解し、運動欲求を満たせる生活環境が作れるのか、しっかりとリーダーシップを発揮し訓練できるかを今一度確認してみましょう。

  • 更新日:

    2020.10.03

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ライター・監修者プロフィール
  • ライター:西村 百合子
  • ホリスティックケア・カウンセラー、愛玩動物救命士、犬の東洋医学生活管理士2級
  • ゴールデンレトリバーと暮らして20年以上。今は3代目ディロンと海・湖でSUP、ウインドサーフィンを楽しむ日々を過ごす。初代の愛犬が心臓病を患ったことをきっかけに、ホリスティックケア・カウンセラーの資格を取得。 現在、愛犬のためにハーブ療法・東洋医学などを学んでおり、2014年よりその知識を広めるべく執筆活動を開始。記事を書く上で大切にしていることは常に犬目線を主軸を置き、「正しい」だけでなく「犬オーナーが納得して使える」知識を届ける、ということ。