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健康管理 / 病気

2020.09.22

【獣医師監修】犬が咳をしている原因は?考えられる病気と危険度をチェック!

犬が咳をしているところを見たことがありますか?犬の咳は人の咳とは違って「ケッケッ」と何かが詰まって吐き出すような咳をします。犬の咳は頻繁に出るものではありませんので、常態化していることに気付かず、いつの間にか病状が悪化し、取り返しのつかない事態になってしまうかもしれません。ここでは犬に咳が出たときの原因や考えられる病気、危険性の高い状態について解説します。

Author :監修:加藤 みゆき/獣医師(文:泉 能子)

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犬が咳をしているときに考えられる原因とは?

犬 咳

犬の咳には心配のないものや重篤な疾病からおこるものまで、さまざまな原因が考えられます。犬が咳をしている場合の原因について見ていきましょう。

原因|1.生理的現象によるもの

咳とは気道に異物を感じたときに、その異物が侵入してくることを防いだり、吐き出したりするための防御反応です。 フードや水でむせたり、ほこりを吸い込んでしまって出る咳は一過性のもので心配はありません。

原因|2.誤嚥性肺炎

異物や食物、水分などが食道につかえてしまい吐き出そうとした際に、誤って肺に入ってしまうと誤嚥性肺炎を発症し、呼吸困難になったり咳が出たりします。

原因|3.疾病からくるもの

子犬であればケンネルコフやアレルギー性肺炎、中・高齢犬になるとになると心臓病や気管虚脱などのさまざまな疾病でも咳が出ます。

犬が咳をしているとき、こんな症状が出ていたら要注意!

犬 咳

犬が咳をしているときは、他にどのような症状があるかを注意して見ておく必要があります。ぐったりしている、舌や歯茎が白くなった、口呼吸をしている、横になることができない、などの症状が出ている時は、呼吸困難や酸素不足になっていると考えられ、緊急性が高いのですぐに動物病院に連れて行きましょう。

犬が咳をしているときに考えられる病気

犬 咳

犬の咳がいつまでも続くときや、咳と同時に他の身体的症状を伴うときは病気の可能性があります。考えられる病気やその対処法について詳しく解説します。

考えられる病気|1.ケンネルコフ

生後6週~6か月齢の子犬によくみられる疾病で、伝染性の気管支炎と呼ばれています。ウイルスやマイコプラズマ、細菌などさまざまな病原菌によって発症します。咳が主な症状です。

単独の細菌感染であれば、10日から2週間程度で回復しますが、他のウイルスにも感染しているときは、重症化して肺炎や重度の気管支炎をおこす場合もあります。

<治療法>

咳止め薬や抗生剤などの内服薬を1週間ほど投与します。子犬の免疫力を高め、ウイルスの活性化を弱めるための注射をすることもあります。その他、ネブライザーを使って液体薬を霧状にして吸引する治療法もあります。重度の気管支炎や肺炎などの合併症をおこした場合は治療や回復に時間がかかります。

考えられる病気|2.心臓病

犬の心臓病では僧帽弁閉鎖不全症が最も多く見られます。犬の心臓にある僧帽弁がしっかり閉じなくなることで、血液の逆流が起こり、さまざまな障害が出る病気です。初期では無症状ですが、進行すると喉が詰まったような咳が出るようになります。さらに進行すると肺水腫になり、チアノーゼや呼吸困難を起こし、突然倒れてしまうこともあります。

<治療法>

犬の僧帽弁閉鎖不全症は初期では無症状なので飼い主が気付くことはありません。定期健診などで獣医師が聴診器で心臓の雑音を聞くことで見つけることがほとんどです。犬の僧帽弁閉鎖不全症の治療には内科的治療と外科的治療があります。

外科的治療

僧帽弁閉鎖不全症の完治を望むのであれば、外科的治療が適切です。外科治療にはいくつかの術式がありますが、最もよく行われるのが、弁を縫い縮めることで逆流を減らす「弁輪縫縮」と、弁と心臓内壁をつなぐ腱索を再建する「僧帽弁修復術」ですが、非常に難しい高度な手術になります。

この手術ができる動物病院も限られており、高額な治療費を必要とすることから、誰でもが簡単にできる治療法ではありません。またすべての段階の僧帽弁閉鎖不全症が手術できるわけではなく、手術をしても完全に血液の逆流を止められないこともあります。

内科的治療

僧帽弁閉鎖不全症の内科治療は心臓の負担を軽くすること、病気の進行を緩やかにすることを目的とします。病態にあわせて、心臓の収縮力を高める薬や、血管を拡張して循環を促し血圧を下げる薬など、いくつかの内服薬を服用します。また肺水腫をおこした場合は利尿剤なども投与します。

考えられる病気|3.気管虚脱

気管虚脱とは気管が潰れてしまって狭くなったり細くなってしまう病気です。 チワワやトイ・プードルなどの小型犬に多い病気で、初期では水を飲んだ時などに、むせるような咳をしたり、喉が詰まったような咳がでたりします。

進行してくると運動したり興奮したとき、リードを強く引いたときなどに、ガーガーというガチョウの声のような乾いた咳や、喘息のときのようなヒューヒューという呼吸音が出たりします。さらに進むと呼吸困難やチアノーゼを起こして突然倒れてしまうこともあります。

<治療法>

気管虚脱は遺伝的要素が関係しているといわれていますが、はっきりとした原因はわかっていません。気管虚脱は、どのような治療を行うときも、まずは症状を悪化させる要素をしっかりと取り除く必要があります。肥満があればダイエットが必要ですし、首輪をやめてハーネスにしたり、歯石を取ったり、家族にタバコを吸う人がいれば、犬のそばでは吸わないようにすること、などが必要になってきます。

気管虚脱のほとんどが内科治療ですが、あくまでも対処療法であり完治はできません。外科治療をすれば気管の狭窄は解消されますが、合併症を発症するリスクがあるため、その後も定期的な受診が必要となります。

内科的治療

症状が軽い場合は、鎮咳剤、去痰剤、気管支拡張剤、ステロイドなどの抗炎症剤などの内服薬を投与することである程度の改善が見られますが、病気の進行そのものを抑えることはできません。

外科的治療

外科治療としては、虚脱部分が頚部の気管の場合には、気管が正常な形を保つのを助ける気管外リングプロテーゼがおこなわれ70~80%で好結果が出ています。他にも気管の虚脱部を内側から広げる器具(ステント)を挿入するステント治療も行われます。こちらも結果は良好ですが、定期的に気管内視鏡検査や薬剤を気道内に吸引させるネブライジングが必要になります。

犬の咳が続いたら迷わず動物病院へ!

犬 咳

犬が咳をするということは、そんなに頻繁に起こることではありません。リードを引っ張ったり、水を飲んでむせたりすることでおこる一過性の生理的な咳以外に、普通にしていても咳が出たり、咳がいつまでも続いたりするときは、疾病からくる咳の可能性が高いので、迷わず獣医師の診察を受けましょう。

◎監修者プロフィール
加藤 みゆき 獣医師

加藤 みゆき/獣医師

日本獣医生命科学大学(旧・日本獣医畜産学部)を卒業後、獣医師として埼玉県内の動物病院にて犬・猫・小鳥の小動物臨床とホリスティック医療を経験。その後、小動物臨床専門誌の編集者を勤めた後、現在は都内の動物病院にて臨床に従事。
日々発展する小動物臨床の知識を常にアップデートし、犬に関する情報を通じて皆様と愛犬との暮らしがより豊かなものとなるように勉強を重ねて参ります。

  • 更新日:

    2020.09.22

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