人間に必ずしもおやつが必要ではないように、犬にとってもドッグフードさえしっかり食べられてれば、おやつは必要ではありません。でも公園で他の飼い主さん達からおやつをいただくと、うちのコは本当に嬉しそうな顔をします。犬にとって食べることは幸せなことの1つです。犬にとっての「おやつ」のことを考えてみましょう。
私の弟のお嫁さんは看護師です。姪っ子が生まれた時「3歳まではおやつを食べさせない」と公言し、それを貫きました。クリスマスプレゼントがお菓子の入ったブーツでごまかせなくなったことは少々困りましたが、お嫁さんの教育方針のお陰で、姪っ子は歯も体もとても美しく成長しています。
犬も同じで、成犬になる1歳までフードのみで育てると、綺麗で健康な体に育つと言われています。成長期は生き物にとってとても大切な時期であり、去勢や避妊なども成犬になってから行うことを薦めている獣医さんもいます。
ただし、多頭飼いの場合の2匹目に同じことをするのは難しいかもしれません。うちのお嫁さんも下の子が生まれたらお姉ちゃんと同じものを欲しがるので、3歳までおやつなしの教育は断念していました……
食べることが大好きな犬にとって、おやつはご飯以外にもらえる特別な食べ物です。うちのコの場合は、「ご飯以外の時」というシチュエーションが重要らしく、フードをおやつ代わりにあげても喜んで食べることがあります。ただし、おやつでもフードでもなく水でごまかすことはできません。「ちがうよ」とそっぽを向かれます。
犬も人間と同じでタンパク質、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラル、そして水が必要です。中でもタンパク質と脂質は、AFFCO(全米飼料検査官協会)で必要摂取量が多い栄養素として定められています。
具体的には、タンパク質が22.5%(成長期)、18%(維持期)、脂質が8.5%(成長期)、5.5%(維持期)です。
タンパク質と言えば、肉や魚。そして植物性で糖の比率が低い大豆が犬に適しているとされています。また、卵にもタンパク質と脂質が豊富に含まれています。特に制限がないなら、肉、魚、大豆、卵などは良いおやつになります。
魚は犬にとって大切な栄養源になりますが、体重5kg当たり10gが目安です。与え過ぎは体調を崩す原因になることがあります。
卵は必ず火を通し、体重5kgでは25g、10kgでは40g、20kgでは70g、30kgでは90gを目安にしてください。卵はカロリーが高いため、たくさん与えると肥満の原因にもなります。
大豆は穀物です。犬は穀物を大量に消化するのが苦手なため、一度にたくさん与えると消化不良を起こすことがあります。水煮大豆を1〜3粒ほどから様子を見て与えるようにしてくださいね。
通常、市販のおやつは、動物の筋肉、内臓、軟骨などを部分的に加工して作られています。もちろんそれは悪いことではないのですが、少ない量でバランス良く栄養を摂ることを目的として、おすすめのおやつをご紹介したいと思います。添加物にも配慮されているので、我が家でもメインで与えています。
馬肉専門メーカーによる犬用の馬肉専門店「ディアラローフードプロズ」のおやつ『ディアラ ドライ馬肉パーフェクトスティック』です。
横浜に実店舗を構えているので来店したことがあるのですが、小さなお店の中にギッシリと犬が喜ぶ生肉やドライトリーツなどが並んでいて、そのどれもが安心・安全な馬肉から作られていました。
その中で私が最もおすすめしたいのが、こちらのおやつです。原材料は馬肉赤身、馬レバー、馬ハツ、馬肺、馬脾臓、馬腎臓、馬骨、馬軟骨と、様々な部位がしっかりまとめられ、添加物は一切無し。それでいて硬さはなく、サクッとした仕上がりです。シニア犬でも無理なく食べられます。
こちらは鹿の丸ごとおやつです。原材料は鹿肉、鹿胃、鹿骨、鹿レバー、鹿肺、鹿脾臓、鹿ハツ、鹿胆嚢と、鹿づくし。もちろん無添加です。
このおやつの特長として、鹿の胃があります。匂いを嗅ぐと、トライプ(胃の内容物)の匂いがするため、鹿の体全体に加え、植物性の栄養も摂れるのではないかと思います。少し硬さはありますが、手で折れる程度なので、たいていの犬は食べられると思います。
ラム肉とサバを主原料とし、関節に良いとさせる緑イ貝や、免疫力向上や胃に優しいケルプが入っています。穀物も不使用です。酸化防止剤は使われていますが、天然由来の成分なので安全です。
ただ、栄養価が高いためカロリーもかなり高くなります。動画でも、うちのコは真っ先にこのおやつを食べています。食感も柔らかく食べやすいのでしょうが、与えすぎには十分ご注意ください。
栄養価の高いおやつを選んだとしても、やはりおやつには与える量に限度があります。一般的には1日の食事量に対して10〜20%がおやつ量の目安とされていますが、フードにトッピングしている場合はさらに抑える必要もあります。
限られた量のおやつで愛犬が満足できる食べさせ方を考えてあげたいですよね。具体的にどんな工夫ができるかを挙げてみたいと思います。
散歩の休憩などの時に、おやつをあげることがあるかもしれません。そんな時は大きなカケラを1回で与えるよりも、小さく切って何回かに分けて食べさせた方が犬は喜ぶようです。うちの子は小型犬で小さいので、2cmくらいのおやつでも4つ以上に割ってあげています。何度ももらえると満足感が違うようです。
しつけの考え方で変わるとは思いますが、犬は飼い主さんが食べている時は自分も食べたくなることが多いように思います。同じものは食べられなくても、「一緒に食べた」という気持ちになれると嬉しくなるようなので、おやつのタイミングとしてはとても良いのではないでしょうか。
私は、人間にとっておやつが気分転換や楽しみの1つであるように、犬達も同じ喜びや楽しみを味わってもらうのも良いのではないかと思います。今回はおやつのことを細かく書きましたが、太らせないこと、体調を崩さないようにすること、この2つが守られれば、毎日グラム数を量ってまでおやつを管理する必要はないと思います。
神経質にならずに、おやつタイムを楽しみたいですね。
さの さえこ/ドッグライター
子供の頃はアレルギーで飼えなかった犬を、大人になって初めて迎えることができました。しかし里子で迎えた初めての愛犬は、外耳炎、歯肉炎、膿皮症、膝蓋骨脱臼を持っていました。
この子をきれいな体にするにはどうしたら良いか。そんな気持ちから得た経験を、「犬の食」を通してお伝えできればと思っています。
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