夜中に吠える愛犬。認知症が原因の「夜鳴き」の可能性が高いと、動物病院で診断されました。愛犬の場合は深夜でなく20時30分~私が寝るまでの時間に限られているため、シニア化による「甘えの吠え」も関係していると思っています。
舌がチアノーゼ気味になっても吠え続ける愛犬。抱っこをしても、声を掛けてもおさまりません。唯一、吠えが止まるのは「食べているとき」だけです。
大好きな愛犬。吠え続ける愛犬。助けてあげられない自分。ぐるぐると頭の中をこのような言葉が、浮かんでは消えていきます。
このとき、吠えている愛犬を見守りながら「私と同じように、愛犬の夜鳴きや介護で困っている人も多いんだろうな」と強く感じました。
愛犬の夜鳴きがはじまった頃「どうやったら夜鳴きを軽減できるか」それだけを毎日考えていました。
ですが、それが逆に私の心を窮屈にし、愛犬の夜鳴きをよりひどくしていたのだと思います。
愛犬も歳をとったなと思うことは、今まで多々ありました。
ですが今までのシニアの悩みとは違い「吠え」は、私の思考をひどく鈍らせました。
「止めなきゃ、止めなきゃ」
吠える愛犬を前に、策を考える私。これが、シニア犬の生活をお手伝いするときにできる、心の闇なのだと気づきました。
「どうにかしなきゃ」と思うことが、自分も愛犬も苦しめていたのです。
「体の負担がない程度なら、吠えてもかまわない」そう思った瞬間、なにかから解放された気持ちになりました。
そのとき「思考を手放す」というのはこういうことなのか・・・と気づかされました。
愛犬の「吠え」をずっと心の中で握りしめていた私。つかんでいた手を放した瞬間、光が差し込んだような気がしたのです。
「愛犬の吠えを止めなければ」という思考がどこかへ行き、別の方向にスイッチしたとき、頭の中に新しい考えが浮かんできました。バッチフラワーレメディの先生に相談した
り、私と同じようにシニア犬と暮らしている友人と話をしたりしました。
思考を切り替えただけなのに、どんどん新しい方向へ進むようになっていったのです。
ひとりで愛犬の悩みを悶々と考えていた頃と違い、気持ちが楽になりました。
不安定な気持ちでいる私を見て、愛犬も不安だったのだと思います。
愛犬のことは大好きです。親ばか選手権(そのようなものはありませんが・・・)があれば、上位にランクインできる自信があります。
ただ、ひとりで介護の問題に直面した時、心にできる闇はとても大きく、ひとりで支えようとする自分が、こんなに頼りないものなのだと気づかされました。
愛犬の生活の中で、私のお手伝いが必要になるようになってから、3年ほどたちました。 もっと長く大変な介護をされている方もいらっしゃると思います。
【シニア犬と暮らしている方へ】
ひとりで悩んだとき、同じ悩みを抱えている仲間がいることを、思い出してください。
私のように誰かに話すことで楽になるケースもあります。
新しいやり方を取り入れることで、愛犬も飼い主さんも楽になることがあります。
おなじ境遇にある仲間がいることを、忘れないでほしいと心から願っています。
この先私と愛犬の生活も、今まで以上に大変なことが起きるかもしれません。
また悩み、同じことを繰り返すかもしれません。
ですが悩んでいるのは私だけではないと思い、それを支えにして、限られた時間を大好きな愛犬と一緒に乗り越えていきたいと思っています。
只野 アキ/ドッグライター
犬の素晴らしさを皆様にお伝えし、犬を手放さない社会の実現を目指すドッグライターです。
家庭犬ドッグトレーナーとして、トレーニングやイベント運営を経験。愛犬の病気をきっかけにトレーナー業は休止し、現在はドッグライターとして活躍中。
趣味は犬とたわむれること。愛犬との生活が豊かになる情報や、皆様のこころがほんのりと温かくなるような記事をお届けします。
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