magazine

住まい / 生活

2020.08.14

日本のペット産業に潜む闇を考える

ペットショップの「闇処分」はなぜ減らない?子犬の命を救うためにできること

ペットショップで売れ残った子犬がその後どうなるのかは、あまり明るみに出ませんが、信じがたいことに多くの子犬が「闇処分」されるという事実があります。今回の記事では、悪徳なペットショップの裏側で起こっている闇処分について知り、わたしたちに何ができるのかを考えていきたいと思います。

Author :新井 絵美子/動物ライター

この記事をシェアする

データに見る!ペットショップをとりまく日本の現状

ペットショップ 闇

はじめに、日本におけるペットショップをとりまく現状を、統計データをもとにご紹介していきます。

生体販売の登録店舗数

犬猫の生体販売をするには、第一種動物取扱業者の登録が必要です。2019年4月時点において日本で第一種動物取扱業者登録業に登録している、犬猫などの販売業者は16,335件です。都道府県別に見ると東京が最も多く1,081件、次いで埼玉県が844件、3位が愛知県767件となっています。(※1)

  • 東京都:1,081件
  • 埼玉県:844件
  • 愛知県:767件

ペットショップでの犬の販売数

朝日新聞社が行った調査によると、2015年度から2017年度の犬の流通量は以下の通りです。(※2,3)

  • 2015年度:約692,000頭
  • 2016年度:約663,000頭(前年比-4%)
  • 2017年度:約675,000頭(前年比+2%)
  • 2018年度:約696,000頭(前年比+3%)

2016年度は前年に比べ約4%減、2017年度は2016年より約1.9%増、その翌年の2017年度は約3%増となっています。(※4)

ペット関連総市場の規模

ペット関連総市場の市場は年々増加しており、2018年度は約1.5兆円の規模でした。2021年度には約1.6兆円へ推移していくと予測されています。

  • 2018年度:約1.5兆円
  • 2021年度:約1.6兆円見込み(2018年度比+6.7%)

生体販売+サービス分野の市場規模

生体販売+サービス分野においては2018年度は7,654億円の規模でしたが、2020年度は7,733億円に、2021年度は7,792億円に増加すると推定されています。

  • 2018年度:7,654億円
  • 2020年度:7,733億円(2018年度比+1%)
  • 2021年度:7,792億円見込み(前年比+0.7%見込み)

市場の成長としては堅調な動きであると言えます。

また、2020年度の新型コロナウイルス感染症の影響により、在宅勤務制度が一定の企業のあいだで定着することを考えると、ペットの飼育者が更に増加する可能性も十分に想像できます。

ペットショップの闇処分、その実態とは?

ペットショップ 闇

犬の販売量は増加傾向にありますが、その裏ではペットショップで売れ残った子犬の命が犠牲になっているという悲しい現実があります。
売れ残った子犬はどうなるのか、また、日本における犬の殺処分数の現状について把握しておきましょう。

売れ残りはどうなる?

子犬は生後2~3ヶ月の小さいうちが最も売れどきで、それ以降になるとだんだん売れなくなっていくと言われています。
販売価格を引き下げ、飼い主が見つかるまで努力をされているペットショップももちろんあります。しかし、売れ残った子犬が以下のような業者の手に渡り、劣悪な環境に置かれてしまう実態も同時に存在しています。

繁殖業者

繁殖業者といっても優良ブリーダーのことではなく、利益最優先で子犬をどんどん繁殖させる、パピーミルと呼ばれる悪徳ブリーダーのことです。

利益になりそうな犬種であればペットショップから引き取り、コストがかかることから食事はごくわずかしか与えず、犬の健康状態も考慮せずに不衛生な環境下で子犬を産ませます。犬にとっては、まさに飼い殺されているような悲惨な状態です。

引き取り屋

問題が浮き彫りになっている「引き取り屋」にわたることも少なくありません。以前は売れ残った子犬は保健所に持ち込まれることが多くありました。
しかし、2013年9月から保健所は、ペットの販売業者やブリーダーなどが持ち込む動物の引き取りを拒否できるようになったため、実質的に持ち込みができなくなりました。よって、売れ残った子犬の受け皿がなくなり、引き取り屋にお願いせざるを得ない状況になっているのです。

引き取り屋は売れ残った子犬を有料で引き取りますが、それは違法ではありません。問題にされているのは、適正飼養を怠り病気になっても治療もせず放置や遺棄などの虐待行為をしていることが多いという事実です。実際、販売業者などから引き取った犬80頭を遺棄した事例もあります。このような引き取り屋の行為は、有料で殺処分をしているも同然と言えます。

売れどきからほんの数ヶ月経って売れ残っただけで、このように残酷な末路になってしまう犬もいるのです。

日本における犬の殺処分件数

保健所が引き取り拒否をできるようになった翌年の2014年度における犬の殺処分数は97,922頭、殺処分率67.1%でしたが、2018年度は殺処分数は7,687頭、殺処分率41.8%で、大幅に減少しています。(※5)しかし、持ち込まれた犬の9割近くが飼い主不明の犬です。その中には迷子犬や野犬だけでなく、遺棄された売れ残りの犬も含まれているのではないかと言われています。

ペットショップの闇処分問題|私たちにできること

ペットショップ 闇

一部のペットショップの裏側で起きている闇処分をなくすために、私たちにできることはあるのでしょうか。

犬の迎え入れ先をよく考える

犬の購入先/迎え入れ先には、ペットショップのほかにも、優良ブリーダーから直接購入する、保健所に保護されている犬を譲り受ける、動物保護団体が開催する譲渡会に行ってみるなど、多岐に渡ります。

大切なことは、飼い主となる方一人ひとりがペットショップに限らず迎え入れ先のことをよく見極めて、最終的には担当者とコミュニケーションを取る中で本当に信頼できる機関・企業であるかどうかを判断することではないでしょうか。

その見極めを怠り衝動的に購入してしまうと、その購入先が悪徳業者と取引をおこなっていた場合、動物虐待や殺処分に加担する恐れもあります。

ペット先進国の状況を調べてみる

海外には、いわゆる「ペット先進国」と呼ばれる、ペットフレンドリーな社会を実現し動物愛護の認識が商業的にも広く浸透している国々があります。そういった国々のペット事情を調べ、日本の現状と照らし合わせて考えてみるのも、問題解決の一歩につながるかもしれません。

欧米諸国では、商業目的とする犬猫をペットショップで販売するのを禁止し、販売できるのは保護犬や保護猫に限るとしている国もあります。

ペットショップと聞くと「動物が販売されている場所」という認識が日本では一般的ですが、一方海外では「ペットショップ=里親との出会いの場」というのが普通な国も存在します。

優良ペットショップの取り組みにも目を向ける

悪徳業者と取引をおこない動物の虐待や殺処分の一助となっているペットショップが存在する一方で、動物と飼い主の幸せを願いながら、悲しい事件が少しでも減るよう努力を重ねているペットショップが存在することも事実です。

優良なペットショップでは、捨て犬の防止にも繋がるマイクロチップの装着やワクチン接種などをおこない、動物が飼い主のもとに渡ってからも丁寧なアフターケアをおこなっています。

飼い主となる人が購入を検討しているペットショップの実情をよく調べ、しっかりと担当者と話をして信頼できる企業であるかどうかを見極める努力が大切ではないでしょうか。

一部のペットショップの裏側で起きていることにも意識を

ペットショップ 闇

ペットショップで売れ残った子犬の中には、悪質ブリーダーや引き取り屋のもとに渡るという、悲しい運命を辿る子が少なからず存在します。飼い殺しのような末路をたどる犬たちがいる現実に胸が苦しくなりますが、優良ペットショップと悪徳業者とを判別しないまま安易に子犬を購入する消費者がいる限り、子犬は大量生産されて流通していきます。
闇処分を少しでも減らすためにできることを、一人ひとりが真剣に考えることこそが問題解決への糸口ではないでしょうか。

参考文献
◎ライタープロフィール
新井 絵美子 動物ライター

新井 絵美子/動物ライター

2017年よりフリーランスライターとして、犬や動物関連の記事を中心に執筆活動をおこなう。
過去に、マルチーズと一緒に暮らしていた経験をもとに、犬との生活の魅力や育て方のコツなどを、わかりやすくお伝えします。

  • 公開日:

    2020.08.06

  • 更新日:

    2020.08.14

この記事をシェアする