犬は賢く感受性も豊か。感情を表現できる動物としても知られていますよね。そして犬が生まれて数か月経つと、人間と暮らしていくために「しつけ」が必要になります。まるで水をたくさん吸い込むスポンジのように色々なルールや社会性を吸収し覚えてくれる時期になるため、子犬期は犬にとっても人間にとっても大切な時期と言えます。そんな犬たちと接していくには人間もまた感情を表に出して向き合うことが大切です。
そして「褒める」というワードはしつけには必要不可欠なものになりますが、果たしてどのようなタイミングでどのような言葉・合図で愛すべき犬たちを褒めていけばいいのでしょうか?今回は犬のしつけにおける「褒め方」にフォーカスを当ててご紹介していきます。
犬種の違いによって性格の傾向が異なることもありますが、それぞれの犬の個性も違うもの。しかしどんな犬にも共通していることがあります。それは「褒めれば褒めるほど伸びる」ということです。ここで言う「伸びる」とは能力ではなく、いかに人間の言葉を理解して行動できるか?ということ。それに尽きます。具体的に愛犬をどのように褒めてあげれば良いのか?解説していきましょう。
犬にとって最もうれしいことは、大好きな飼い主から褒められること。言葉で褒める場合、名前と合わせて褒めてあげるとより効果的です。「〇〇!いい子だね!」「〇〇、よく出来たね!」という風に名前を呼んであげることで、犬は自分のことを褒めてくれるのだと認識します。
また多少大げさに1オクターブ高めの声で褒めてあげてください。そうすることで飼い主さんが普段話している声色との差別化ができ、より自分が褒められていると犬は認識することができます。
犬が認識しやすいコマンド(単語)を決めておきましょう。例えば犬が「散歩!」というワードに過剰に反応するのも、「散歩」というワードの後に自分にとって楽しいお散歩が待っていると認識しているからなのです。
「いい子!」という言葉のあとに、オヤツという犬が喜ぶものをセットにしてあげることで、褒めるしつけがより効果的なものになります。
しつけの中で叱る時ももちろんあるでしょう。そんな時は叩いたり、長々と説教するように叱ることはNGです。叩くことで一時はおとなしくなるかも知れませんが、根本的な解決にはなりません。また長く叱っても犬は何をしていたのか忘れてしまいます。
どうしても叱る場合は、短く強めにしておきましょう。「ダメ」「いけない」それだけで十分です。
犬を言葉で褒めてあげることに、更にある行動をプラスすることで、しつけがより効果的になることがあります。そのいくつかをご紹介していきます。
大好きな飼い主さんが撫でてくれることは、犬にとってこれ以上ない喜びです。背中や首筋など「褒め言葉」と合わせて撫でてあげることで、より犬は親密さを感じることでしょう。
また撫でる場所によっては、優しく撫でてあげることでツボも刺激されるので効果的ですね。
褒め言葉というコマンド以外に、犬の本能を刺激するのはやはりオヤツでしょう。正しい行動→褒めてもらえる→オヤツ。この順序を繰り返すことで、犬は本能として「して良いこと」と「してはいけないこと」を理解します。
犬が褒められるようなことをしていないのに、ついついオヤツをあげてしまうとそれは逆効果になることも。「何もしなくてももらえる」と思い込みんでしまうため、オヤツを与える時はきちんとメリハリを付けるようにしましょう。またオヤツの与えすぎは肥満の原因になる点と、満腹なときには効果が薄れる可能性がある点などに注意が必要です。
犬のしつけは本当に根気が必要なものです。犬種や個体によって差がありますし、独立心や独占欲が旺盛な犬ではなおさらでしょう。しかし時間は掛かったとしても、犬は褒めることで間違いなく伸びるものです。犬はそんな飼い主さんの言葉を自分の喜びとして受け止めることでしょう。「褒め言葉」は飼い主さんと犬を繋ぐ魔法の言葉と言えるのかもしれません。ぜひ「褒めて」愛犬のいいところを伸ばしてあげてくださいね。
葛野 莉奈/獣医師、かどのペットクリニック 院長
麻布大学卒。2015年より神奈川県内にてかどのペットクリニックを開業。ながたの皮膚科塾を卒業し、普段の診療でも皮膚科には力を入れております。
私生活では犬8頭と猫2匹と生活しているので、一飼い主として、そして獣医師として飼い主さんと動物たちとの生活がよりよくなることに少しでも貢献できると嬉しいです。