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健康管理 / 病気

2020.08.10

愛犬の歯茎が腫れている!チェックポイント4つと考えられる病気|獣医師監修

愛犬の歯茎に腫れが見られたら、何らかの口腔疾患にかかっていることが疑われます。口内環境の悪化は、犬の生活の質の低下にもつながるため、早めに獣医師に診てもらうことが大切です。この記事では、犬の歯茎が腫れているときに考えられる病気と、その治療法について解説していきます。

Author :新井 絵美子/動物ライター(監修:加藤 みゆき/獣医師)

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愛犬の歯茎が腫れている!チェックポイント4つ

犬 歯茎 腫れ

愛犬の歯茎が腫れているとき、以下のこともチェックしましょう。

出血している

歯茎が腫れて、かつ出血が見られる場合は歯茎に炎症が起きています。放っておくとさらに悪化していくので治療が必要です。

歯がぐらぐらしている

怪我をしたわけでもなく、歯茎が腫れて歯がぐらぐらしているときは、口内環境がかなり悪化していることが考えられます。早急に動物病院で治療を受けましょう。

口を地面にこすりつける

歯茎が腫れて口の中に違和感があると、口を地面にこすりつけたり、前足でしきりに口のあたりを気にして触ったりする行動が見られます。このような場合、放っておいても自然に治るものではないので、早めに獣医師に診てもらいましょう。

硬いものを食べない

歯茎の腫れが見られてから、硬いものを食べなくなったら口腔疾患が疑われます。歯石が歯の表面に付いていないか、口臭がきつくないかといったこともチェックしましょう。

犬の歯茎の腫れ|考えられる病気と治療法

犬 歯茎 腫れ

ここでは、犬の歯茎が腫れている場合に考えられる病気と、その治療法について解説します。

歯肉炎

犬の歯茎の腫れでまず考えられるのは歯肉炎です。歯肉炎とは、歯茎(歯肉)に炎症を起こす病気です。歯と歯茎の隙間の歯周ポケットに歯垢が付着し、歯垢内の細菌が出す毒素により炎症が起きます。

歯肉炎が進行すると、歯を支える歯周組織に炎症が起きる歯周炎も起きてしまいます。つまり、歯肉炎は歯周病(歯肉炎と歯周炎の総称)の初期段階ということです。

歯周病は犬の口腔疾患の中で最も多く、3歳以上の犬の約8割が患っていると言われています。そのため、早期に治療をして症状の進行を防ぎ、ホームケアをして口内環境を良好に保っていくことが大切です。

治療法

歯垢と歯石(歯垢が石灰化して歯磨きでは取れないほどに硬くなった状態)を除去する治療を行います。歯石は歯肉炎の直接的な原因ではないですが、歯石の表面はザラザラしていて、歯石の上にも歯垢が付きやすいので、歯石除去もする必要があります。

治療は、まず先端が尖ったスケーラーで歯の表面や裏側、歯周ポケットに付着した歯垢・歯石を取り除く「スケーリング」をします。スケーリング後は、歯の表面にスケーラーでできた凹凸が残っており、この状態だと歯垢・歯石が再付着しやすいので、専用の研磨ブラシで磨いて歯の表面をツルツルにします。

歯肉炎は治療をしたのち、自宅で歯磨きをしっかり続けていけば治癒することが可能です。

費用の目安

歯肉炎の治療費は3万円程度、歯肉炎から歯周炎にまで進行した初期歯周病の場合は4~5万円程度です。軽度のうちに治療をすれば、処置も医療費の負担も軽くなるので、愛犬の歯茎が腫れているのを見つけたら、早めに治療をしてもらいましょう。

通院頻度・期間の目安

歯肉炎、および歯周病の治療は、検査から治療までその日のうちに終わります。治療は麻酔をして行うのが一般的で、治療の前に麻酔をしても大丈夫な健康状態なのかの検査があります。この麻酔検査で問題があった場合は、その日治療はできません。

乳歯遺残による歯周病

乳歯遺残とは、本来自然に抜けるはずの乳歯が抜けずに残り、そこに永久歯が重なって生えてしまった状態です。重なっている乳歯と永久歯の間には歯垢や歯石が溜まりやすいので、歯周病にかかり歯茎が腫れている可能性が考えられます。

乳歯遺残は小型犬に多く見られ、特に歯の根元が深くて抜けにくい犬歯の部分になりやすい傾向があります。

治療法

乳歯遺残をそのままにしていると歯並びに影響するほか、歯磨きをしても歯の隙間に溜まった汚れが取りづらいので歯周病が進行しやすくなります。そのため、抜けずに残り続けている乳歯の抜歯を行います。

費用の目安

乳歯の抜歯1本+歯垢・歯石除去で、4万円程度の治療費がかかります。乳歯遺残は複数本の場合もあり数が多ければその分、治療費もかかります。

通院頻度・期間の目安

乳歯遺残の治療も、基本的に日帰りで行われます。治療後、動物病院によっては、オーラルケアの指導を所定の回数まで無料で行っているところもあります。

愛犬の歯茎に腫れを見つけたら

犬 歯茎 腫れ

愛犬の歯茎が腫れているときは、多くの犬がかかっている歯肉炎や歯周病の可能性が高いと言えます。軽度であれば、治療後にオーラルケアを継続していくことで治癒できるので、症状が進行しないよう早めに治療をするようにしましょう。

◎ライタープロフィール
新井 絵美子 動物ライター

新井 絵美子/動物ライター

2017年よりフリーランスライターとして、犬や動物関連の記事を中心に執筆活動をおこなう。
過去に、マルチーズと一緒に暮らしていた経験をもとに、犬との生活の魅力や育て方のコツなどを、わかりやすくお伝えします。

◎監修者プロフィール
加藤みゆき 獣医師

加藤みゆき/獣医師

日本獣医生命科学大学(旧・日本獣医畜産学部)を卒業後、獣医師として埼玉県内の動物病院にて犬・猫・小鳥の小動物臨床とホリスティック医療を経験。その後、小動物臨床専門誌の編集者を勤めた後、現在は都内の動物病院にて臨床に従事。
日々発展する小動物臨床の知識を常にアップデートし、犬に関する情報を通じて皆様と愛犬との暮らしがより豊かなものとなるように勉強を重ねて参ります。

  • 更新日:

    2020.08.10

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