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健康管理 / 病気

2020.08.09

愛犬の抜歯で後悔したくないあなたへ。知っておきたいリスクと体験談

重度の歯周病を患っている犬や、成長しても乳歯が抜け落ちない犬は、動物病院で抜歯を勧められることがあります。飼い主さんとしては、本当に全身麻酔をしてまで抜歯が必要なのか、考えてしまうかもしれませんね。
ここでは、犬の抜歯で後悔しないために、知っておきたい抜歯のリスクや抜歯を経験した先輩飼い主の体験談、抜歯について飼い主として考えるべきことについてご紹介します。

Author :江野 友紀/認定動物看護士

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犬の「抜歯」処置に潜むリスク

犬 抜歯 後悔

犬の抜歯処置には、次のようなリスクが伴います。

全身麻酔によるリスク

抜歯をする上で最もリスクを考えなければならないのが、全身麻酔です。
麻酔をすると脳の機能が鈍くなり、抜歯などの治療をしやすくなりますが、全身麻酔は脳だけでなく、心臓や呼吸の機能も鈍らせてしまいます。
特に高齢犬や持病がある子は、麻酔のリスクが高くなります。

全身麻酔のリスクが比較的高い犬種とは

犬は犬種によって体の大きさや形態的特徴などに違いがあり、麻酔の影響を受けやすいといわれている犬種があります。
ボーダーコリーやシェットランドシープドッグ、イングリッシュシープドッグ、オーストラリアンシェパードなどの牧羊犬、そしてグレーハウンドは特定の麻酔から醒めにくいことがあります。
パグやフレンチブルドッグ、ボストンテリア、シーズーなどの短頭種は気管が閉塞しやすく、気道を確保するための気管チューブの設置が難しいことがあります。

歯が折れることがある

犬の歯根は、抜歯をするときに途中で折れてしまうことがあります。特に乳歯が残ってしまった場合には、歯根が吸収されることもありますが、残った歯が永久歯の成長を妨げたり、噛み合わせが悪くなったり、歯肉内に残った歯が腐り歯周病の原因にもなることもあります。
また、歯髄がむき出しになって痛みや出血が見られたり、歯根部まで感染が広がって炎症を起こし、感染症を引き起こす可能性があります。

顎の骨が折れることがある

重度の歯周病などで抜歯をする場合、歯根周囲の細菌感染により下顎の骨が溶け、少し力を加えただけでも病的に骨折することがあります。

犬の抜歯を経験した先輩飼い主の体験談

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犬の抜歯を経験し、「抜歯して良かった」と安心した飼い主さんと、抜歯をしたことを後悔している飼い主さんの体験談をご紹介します。

10本以上の抜歯が必要と言われたぽーちゃんの飼い主さん

ミニチュアダックスフンドのぽーちゃんは、飼い主さんが9年間ほぼ毎日歯磨きをし、ピカピカのきれいな歯でした。あるときから口臭が強くなり、歯に詳しい動物病院で検査を受けたところ、一ヶ所に歯周病が気になるけれど、そんなに悪い状態ではないと言われたそうです。
しかし、しばらく経ったある日、右目の下が突然腫れてしまいました。病院を受診したところ、歯周病が進行し、10本以上の抜歯が必要と言われました。

結果的には24本の抜歯に

セカンドオピニオンで歯の専門の病院を受診したところ、やはり前向きな治療をするなら抜歯を、と勧められ、抜歯を決意した飼い主さんは始めに抜歯を提案してくれた病院で処置を受けることにしました。
ぽーちゃんが抜歯処置を受けている間、飼い主さんは祈願のために神社に行き、手術成功を祈りました。
手術は無事に終わりましたが、結果的に24本もの抜歯になり、とても驚いたそうです。

退院後のぽーちゃん

退院後のぽーちゃんは、食餌も今までどおりしっかり摂り、お気に入りのおもちゃで元気に遊べるまで回復できました。

抜歯が原因で愛犬が命を落としてしまった飼い主さん

愛犬の歯石が酷く、頬が腫れてしまったハッピーちゃん。動物病院を受診すると、抜歯をしなければならない、と言われたそうです。
飼い主さんは動物病院を信頼していたので、先生が一番良いと思う治療法での治療をお願います、と言い、後日抜歯処置を受けることになりました。

退院後の容態

抜歯処置当日は、朝ハッピーちゃんを預け、夕方お迎えに行くことになっていました。迎えに行くと、ぼーっとした様子のハッピーちゃん。飼い主さんは麻酔の影響でいくらかぐったりすることを病院から聞いていたので、そのまま自宅に連れて帰りました。
しかし、夜になると呼吸が荒くなり、明らかにいつもと違う様子になります。急いで動物病院に行きましたが、ハッピーちゃんはぐったりとし、そのまま意識が戻ることはありませんでした。

犬の抜歯|飼い主として考えるべきこと

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犬の抜歯で後悔しないために、飼い主さんが考えるべきことをご紹介します。

抜歯のメリット・デメリットについて考える

犬の抜歯には、メリットとデメリットがあります。

メリット

歯周病が進行した歯は出血や痛みを伴い、感染症を引き起こす可能性があります。また、乳歯が残っていれば歯並びが悪くなったり歯周病を患いやすくなります。これらの問題は、抜歯により解決することが可能です。

デメリット

抜歯処置には前述したような全身麻酔などのリスクがあり、最悪の場合は命を落としてしまう危険性もあるということです。

治療について迷ったら、他の動物病院にも相談を

人の病院は「内科」「皮膚科」「眼科」など診療する分野が限られていますが、多くの動物病院では、一人の獣医師が全ての分野を診療します。そのため、病院によって得意・不得意があります。
獣医師の診断や治療法に疑問を抱いたり、話を聞いてもなかなか理解できない、という場合には、セカンドオピニオンで別の獣医師の意見を求めましょう。飼い主さんが病気について理解し、納得した上で治療を受けることが大切です。

犬の抜歯で後悔しないためには

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歯周病になる犬は多く、あなたの愛犬にも抜歯が必要になるときが来るかもしれません。後々後悔しないためにも、抜歯処置についてわからないことや疑問に思うことは動物病院によく相談し、メリット・デメリットについても調べた上で治療に臨みましょう。

◎ライタープロフィール
江野友紀 認定動物看護士

江野 友紀/認定動物看護士

地域密着型の動物病院にて、動物看護士として14年ほど勤務。看護業務の合間にトリミングもしています。
ドッググルーミングスペシャリスト、コンパニオンドッグトレーナーの資格を保有。
普段の仕事では、飼い主様の様々な疑問や悩みを解消できるよう、親身な対応を心掛けています。
ライターの仕事を通して、犬と人が幸せでより良い生活を送るためのお手伝いさせていただきたいです。

  • 更新日:

    2020.08.09

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