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健康管理 / 病気

2020.08.10

犬の歯槽膿漏は死ぬこともある病気って本当?歯周病を疑ったら|獣医師監修

歯周病は犬に多く見られる病気で、3歳以上の犬の80%以上に歯垢の沈着や歯石が確認されています。愛犬が食餌を食べにくそうにしていたり、口臭が酷いと感じたら、もしかすると歯槽膿漏になっているかもしれません。
ここでは、犬の歯槽膿漏とはどのようなものか、重症化すると死ぬこともあるのか、歯槽膿漏を疑ったらどのように対処すれは良いのかをご紹介します。

Author :江野 友紀/認定動物看護士(監修:加藤 みゆき/獣医師)

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犬の歯槽膿漏(歯周病)とは?

犬 歯槽膿漏 死ぬ

歯の表面に付着した歯垢や歯石は、少しずつ蓄積して歯と歯茎の間にある歯周ポケットに入り込みます。歯垢や歯石で増殖した細菌が原因となり、炎症などの様々な症状を引き起こすことを総称して歯周病といい、歯を支えている骨(歯槽骨)から膿が漏れている状態を歯槽膿漏といいます。

犬が歯槽膿漏になりやすい理由

歯槽膿漏の原因は歯垢や歯石に含まれる細菌の増殖によるものです。
人も犬も、歯垢は食餌をして6~8時間で歯に付き始めますが、犬の場合歯垢を放置するとわずか3~5日ほどで歯石になってしまいます。
形成された歯石には更に歯垢が付き、歯槽膿漏などの歯周病を引き起こしてしまいます。

犬の歯槽膿漏が重症化すると死に至るって本当?

犬 歯槽膿漏 死ぬ

犬の歯槽膿漏には、局所的にみられる症状と全身的にみられる症状があります。

局所的にみられる症状

歯槽膿漏が進行すると顎の骨が溶けてしまい、硬いものを食べたりちょっとした衝撃を加えただけで骨折することがあります。顎を骨折した犬は強い痛みによって食餌が摂れなくなったり、生涯に渡る障害が残ってしまう可能性もあります。
上顎の骨が溶けた場合、目の下に血や膿が溜まって腫れ、頬に穴が開いてしまったり、口腔と鼻腔が繋がって鼻から血膿が出ることもあります。

全身的にみられる症状

歯槽膿漏になっている犬の口の中は細菌だらけです。そして、歯根の先端のことを根尖(こんせん)と言いますが、根尖は血管に通じているため、口内の細菌が血流にのって全身に影響を与えることもあります。
内臓や関節が細菌感染すると重い障害を引き起こしたり、症状の程度によっては死に至ることも十分考えられます。

肺炎

口内の細菌を気道を通して吸引したり、細菌が血流にのり肺に到達することによって肺炎を引き起こしてしまいます。
犬にとって肺炎は大変苦しく、発症すると疲れやすくなる、呼吸が辛そう、咳などの呼吸器症状のほか、食欲の低下や発熱といった症状が現われます。

心不全

血液を介して全身にばらまかれた細菌が心臓に到達すると、心不全になります。
犬が心不全になると元気がなくなる、疲れやくなる・運動を嫌がるようになる・呼吸が荒い・酸欠によるチアノーゼや失神といった症状が現われ、突然死することもあります。

腎不全

細菌により腎臓が壊れ、機能しなくなると腎不全になります。
腎臓は血液をろ過して身体の老廃物を体外に排出する役割があるため、腎不全になると排泄されなかった毒素が体内にたまってしまいます。
元気がなくなる、食欲の低下、下痢、嘔吐、脱水などの症状がみられ、重篤になると痙攣などの神経症状を引き起こします。

犬の歯槽膿漏を疑ったら

犬 歯槽膿漏 死ぬ

食餌中の仕草に変化がみられたり、口から変な臭いがするようになったら、歯槽膿漏の疑いがあります。歯槽膿漏は口内の病気ではありますが、先述しているとおり全身に悪影響を与えたり、最悪の場合死に至る病気であるため、軽視できる病気ではありません。

まずは動物病院へ

歯周病が自然治癒することは考えにくく、様子を見ているとどんどん進行してしまいます。歯槽膿漏になり根尖まで入り込んだ歯垢や歯石は、自宅でケアすることはできません。早めに動物病院を受診しましょう。
動物病院の診察では、目視で歯垢や歯石の沈着を確認し、口臭の有無、歯肉の状態などを調べ、口腔内レントゲン検査で歯周病の状態を確認することもあります。

歯槽膿漏の治療には、全身麻酔が必要

歯槽膿漏の治療は、血液検査などで全身状態に問題がなく手術ができる状態であることを確認した後、全身麻酔下にて行われます。 スケーリングにより歯石を除去するほか、必要に応じて抜歯をすることになります。

高齢犬は事前に獣医師とよく相談を

全身麻酔はリスクを伴うもので、特に高齢犬や持病がある犬は心肺機能が侵されることにより呼吸の抑制や血圧の低下が起こるリスクが高くなります。健康状態を把握するための検査をきちんと受け、獣医師とよく相談した上で決めましょう。

犬の歯槽膿漏を疑ったら、早めの対処を!

犬 歯槽膿漏 死ぬ

近年では犬を室内飼育する家庭が増えているので、犬の口臭の変化や食餌の摂り方の変化に早期に気付くことができる飼い主さんが多いようです。
歯槽膿漏は口内の問題だけでなく、全身の臓器に悪影響を及ぼす危険性がある病気です。犬の様子に異常を感じたら、早めに動物病院を受診しましょう。

◎ライタープロフィール
江野友紀 認定動物看護士

江野 友紀/認定動物看護士

地域密着型の動物病院にて、動物看護士として14年ほど勤務。看護業務の合間にトリミングもしています。
ドッググルーミングスペシャリスト、コンパニオンドッグトレーナーの資格を保有。
普段の仕事では、飼い主様の様々な疑問や悩みを解消できるよう、親身な対応を心掛けています。
ライターの仕事を通して、犬と人が幸せでより良い生活を送るためのお手伝いさせていただきたいです。

◎監修者プロフィール
加藤みゆき 獣医師

加藤みゆき/獣医師

日本獣医生命科学大学(旧・日本獣医畜産学部)を卒業後、獣医師として埼玉県内の動物病院にて犬・猫・小鳥の小動物臨床とホリスティック医療を経験。その後、小動物臨床専門誌の編集者を勤めた後、現在は都内の動物病院にて臨床に従事。
日々発展する小動物臨床の知識を常にアップデートし、犬に関する情報を通じて皆様と愛犬との暮らしがより豊かなものとなるように勉強を重ねて参ります。

  • 更新日:

    2020.08.10

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