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健康管理 / 病気

2020.08.11

【獣医師監修】犬に寄生虫が見つかったら?寄生虫の種類は?症状や対処法は?まとめて解説

犬の寄生虫にはノミやダニ、フィラリアなどさまざまなものがあります。どれも放置しておくと犬の体に大きな病害をもたらします。ここでは主な体内外寄生虫の種類や特徴、寄生したときの症状や対処法などについて詳しく解説します。

Author :監修:加藤 みゆき/獣医師(文:泉 能子)

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犬に寄生する虫|寄生虫の定義とは?

犬 寄生虫 種類

寄生虫とは人や動物の体内外に住みついて生きる生物のことです。寄生される人や動物のことを宿主といい、宿主がなければ寄生虫は生存していることができません。寄生虫は宿主の体にまざまな病害をもたらすことがあり、寄生虫による感染症のことを寄生虫症と言います。

寄生虫の分類

犬の寄生虫には、ノミ、マダニ、ダニ、シラミなど体の表面に寄生するものと、フィラリア、犬回虫、鉤虫、鞭虫、瓜実条虫、マンソン裂頭条虫など、体内に寄生するものがあります。大きさも0.2mmの微小ダニのように小さなものから、フィラリアのように成虫になるとオスで体長約17cm、メスで約28cmにもなる大きなものまであります。

またあまり知られてはいませんが、おなかの中に寄生するマンソン裂頭条虫などは最大1~2mもの大きさになります。

犬に寄生する虫|寄生虫の種類とは?

犬 寄生虫 種類

犬が感染しやすい代表的な寄生虫の種類や特徴について詳しく解説します。

1.体外に寄生する寄生虫

ノミ

ノミは犬にとって最もポピュラーな外部寄生虫でイヌノミとネコノミが代表的です。ノミは褐色で体が縦に平たく、体長1~3mmで6本の脚を持っています。犬の血を吸うのはノミの成虫で、ノミの幼虫は成虫の糞や、人や犬の食べかすやフケなどを食べて成長します。

ノミは梅雨前後から活発に繁殖しますが、現代では住環境が良くなっているため年間を通じて発生するようになりました。ノミにとっては温度18~27℃、湿度75~85%が最適な環境条件となります。そのため、ノミ・ダニ駆除剤は通年投与する必要があります。

マダニ

マダニはで昆虫ではなく8本の脚を持つ節足動物で、クモなどに似た生物です。固い外皮を持ち、吸血する前の大きさは3~4mmで、イエダニに比べると約8~10倍の大きさがあります。日本ではフタトゲチマダニ、ヤマトマダニなど20種類ほどが犬に寄生します。

マダニは春から夏にかけて活動が活発になりますが、秋から冬には卵からふ化する幼ダニや若ダニが増える季節です。マダニ対策もノミ対策同様、年間を通じて行う必要があります。

2.体内に寄生する寄生虫

フィラリア

犬糸状虫と呼ばれているフィラリアは、蚊の媒介によって犬の心臓や肺動脈に寄生して、内臓や全身の血液循環にも重篤な病害を与える怖い寄生虫です。フィラリアの成虫はオスで体長約17cm、メスで約28cmで、細い乳白色のソーメン状の形をしています。フィラリアは媒介する蚊の体の中でミクロフィラリアとなり、蚊が血を吸った犬の体内に入り込み成虫となります。

フィラリアは蚊が媒介するため、通常5月~12月までがフィラリア予防薬の投与期間です。この期間に月1回の予防薬の投与をするといいでしょう。

犬回虫

虫の卵を口に入れたり、母犬の乳汁や胎盤からも感染します。犬の腸内のタンパク質や炭水化物などを栄養源としながら寄生します。犬回虫の大きさは18cm以下です。

犬鉤虫

皮膚からの侵入や、幼虫を口に入れたり、母犬の乳汁や胎盤などから感染します。体内に入った犬鉤虫は腸の粘膜から血を吸い寄生します。大きさは2cm以下です。腸内に寄生する寄生虫は症状に気付きにくく、犬の便に寄生虫が残っている場合などは、排便がベッドやシートなどに付着して寄生虫に汚染され、再感染を繰り返すことがあるので注意しましょう。

鞭虫

虫の卵を口に入れることで感染します。犬の腸内で粘膜から血を吸い寄生します。鞭虫の大きさは7cm以下です。

瓜実条虫

幼虫を持っている中間宿主であるノミなどを口に入れることで感染します。腸の粘膜に体を付着させ、体の表面で腸の粘膜から栄養を吸収して寄生します。瓜実条虫の大きさは50cm以下ですが、かなりの大きさがあります。

犬の腸内に寄生する回虫などの寄生虫には時期や季節による対策法はありませんが、ノミが媒介する瓜実条虫は、ノミの活動期である初夏から秋にかけては注意しておく必要があります。

犬の寄生虫感染病の種類別の症状と対策法とは?

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犬の体内外に寄生する寄生虫によってさまざまな病害があらわれます。それぞれの寄生虫によって引き起こされる症状やその対策法について解説します。

ノミによる寄生虫感染病

アレルギー性皮膚炎

ノミに刺されたときに、皮膚内に注入された唾液がアレルゲンとなりおこる皮膚炎です。強い痒みを伴います。

瓜実条虫症

ノミの体内に入り込んでいた瓜実条虫の幼虫が、ノミをつぶしたりした際に犬の体内に入ることで感染します。下痢・体重減少などがおこります。

マダニによる寄生虫感染病

貧血

マダニが大量に寄生して吸血することによっておこります。

アレルギー性皮膚炎

マダニの唾液によるアレルギーで強い痒みが出ます。

ダニ麻痺症

マダニの種類によっては唾液中に毒性の物質を含んでいます。毒性の唾液が体内に入ると神経障害・弛緩性麻痺を引き起こします。

マダニ媒介性疾患

マダニにはマダニが媒介する病原体よって引き起こされるさまざまな疾患があります。犬だけではなく人間にも感染する疾患です。

バベシア症(バベシア原虫による)

発熱、黄疸、貧血、元気消失、などがあり重症の場合は急死する場合もあります。

ライム病(ボレリア菌による)

関節炎や発熱、食欲不振、全身痙攣などがあらわれます。

Q熱(コクシエラリケッチアによる)

軽い発熱、流産・不妊症などが見られる程度の不顕性感染です。

エールリヒア症(リケッチア菌による)

急性の場合は発熱、鼻汁、貧血、食欲不振、流涙、元気消失などが見られます。

フィラリアによる寄生虫感染症

慢性犬糸状虫症

体力が弱り散歩や運動などを嫌がるようになります。早朝や興奮したりすると乾咳をしたり、呼吸困難、腹水、喀血、ネフローゼ症候群などの病状があらわれます。

大静脈症候群

血色素尿(血の色素が尿に混じること)、貧血、突発性虚脱、呼吸困難などがみられます。

体内寄生虫感染病

回虫などのおなかの中に寄生する寄生虫は消化管に住みつき、犬が食べた消化物を栄養源としたり、消化管に吸着して血液を吸い上げたりして生息します。そのため下記のようなさまざまな症状がでます。

1.動作が鈍くなる
2.消化不良や下痢を起こす
3.元気がなくなる
4.おなかがふくれる
5.発育不良
6.食べ物ではないもの、糞や石、紙などを食べる
7.粘血便がでたり、貧血をおこす

犬の寄生虫感染の対処法とは?

ノミ・ダニ・マダニ・フィラリアに関しては定期的な駆除剤の投与で防ぐことができます。体内寄生虫の場合はなかなか症状があらわれないので、寄生虫感染に気付かないことが多く、人への感染や糞便などから知らず知らずのうちに繰り返し感染してしまうことがあります。

子犬の場合は検便などで発見される前に、重篤な症状になり命を落としてしまうこともあります。そのために犬の体内寄生虫駆除は、生後2週目~生後3ヵ月までは2週間に1回、生後3ヵ月~6ヵ月までは月に1回、成犬の場合は年に1度の定期駆虫が必要です。

あらゆる種類の寄生虫を定期的な駆除剤でシャットアウト!

犬 寄生虫 種類

犬に害を与える体内外の寄生虫のほとんどは、定期的な駆除剤で予防・駆除することができます。 生活環境の向上から、皮肉にも季節に関わらずノミやダニの発生がみられるようになりました。愛犬の健康と快適な生活維持のためにも、成犬であれば予防注射と共に、年に1回の健康診断に加えて、定期的な寄生虫駆除剤の投与も忘れないようにしましょう。

◎監修者プロフィール
加藤みゆき 獣医師

加藤 みゆき/獣医師

日本獣医生命科学大学(旧・日本獣医畜産学部)を卒業後、獣医師として埼玉県内の動物病院にて犬・猫・小鳥の小動物臨床とホリスティック医療を経験。その後、小動物臨床専門誌の編集者を勤めた後、現在は都内の動物病院にて臨床に従事。
日々発展する小動物臨床の知識を常にアップデートし、犬に関する情報を通じて皆様と愛犬との暮らしがより豊かなものとなるように勉強を重ねて参ります。

  • 更新日:

    2020.08.11

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