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健康管理 / 病気

2020.08.09

犬の慢性腎不全とは?初期症状やかかりやすい年齢、治療法まで|獣医師監修

犬の慢性腎不全は、高齢犬に発症のリスクが高く、発症すると完全に完治することはないので、初期症状を見逃さず早い段階から治療を始めることが非常に重要です。この記事では、犬の慢性腎不全の症状や原因から、かかりやすい年齢や治療法、予防策までまとめて解説していきます。

Author :新井 絵美子/動物ライター(監修:加藤 みゆき/獣医師)

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犬の慢性腎不全とは?

犬 慢性腎不全

犬の慢性腎不全とは、長い期間にわたって腎臓の機能が徐々に低下していく状態のことです。初期は無症状なので、飼い主さんが気付かないことが多いですが、慢性的に進行してき、さまざまな症状が現れるようになります。

腎臓の機能は、一度悪くなってしまうと元の状態には戻らないため、症状の進行を遅らせることが非常に重要です。

初期症状

慢性腎不全は、初期のステージ1から重度のステージ4まで、4つのステージに分類されており、ステージ1は特に症状は見られません。

ステージ2の軽度になると、多飲多尿の初期症状が見られます。腎臓の機能が低下すると、尿を濃縮することができないことから、濃度の薄い尿を何回もするようになります。それに伴い体内が水分不足になるので、水を飲む量が増えます。もしトイレに行く回数が増えたり、頻繁に水を飲むようになったりする場合は注意が必要です。

そして、腎臓の機能がさらに低下してステージ3の中程度になると、食欲不振や嘔吐、脱水、体重減少などの症状が見られ、ステージ4の重度になると、尿毒症や重度の高窒素血症などを起こします。

他の犬や人にうつる?

慢性腎不全は、他の犬や人にはうつりません。

犬の慢性腎不全の原因

犬 慢性腎不全

ここでは、慢性腎不全の原因について見ていきましょう。

老化によるもの

加齢に伴い腎臓の機能がだんだん低下して、慢性腎不全になることも少なくありません。7歳を過ぎた頃から発症率が高くなると言われています。

疾患によるもの

先天性の腎疾患、ウイルスや細菌の感染による腎炎、悪性腫瘍、尿路結石症による排尿障害など、さまざまな疾患による原因の場合もあります。

かかりやすい犬種や年齢

慢性腎不全は、全ての犬種に起こり得ますが、老犬に多い傾向にあります。先述のように、徐々に症状が進行していくので、シニア期を迎えた頃から注意が必要です。

犬の慢性腎不全の治療法

犬 慢性腎不全

慢性腎不全の治療は、症状の進行を遅らせるための治療と、それぞれの症状を取り除くための対処療法を行います。

慢性腎不全の進行を遅らすには、必要なカロリーや栄養素を摂取しながらも、タンパク質やリン、ナトリウム含有量を制限した食事が適しているので、そのように調整された療法食を与えていきます。

また、老廃物が体内に溜まらないようにするために、経口補液や静脈点滴、皮下点滴などにより体液を増加させて尿量を増やし、体外へ老廃物が排出されるように促します。なお、尿によって排出できない場合は、活性炭を配合した薬を投与して、便からの排出を促します。

食欲が減退している場合は、体力がどんどん衰えてしまうので、腎臓に負担のかからない範囲で食欲増進剤を、嘔吐する場合は制吐剤を投与します。

治療にかかる費用

症状が軽度で通院のみの場合、1回あたりの通院にかかる費用は、診察料や血液検査料、皮下点滴料が含まれて8,000円程度が目安です。

症状が重く入院が必要な場合、入院費は平均で5万円程度かかります。(※1)

犬の慢性腎不全の予防策

犬 慢性腎不全

慢性腎不全の予防法はないので、定期的に血液検査や尿検査をしておくことが大切です。早期に発見できれば、治療を早い段階から始めていかれるので、症状の進行を遅らすことができます。

また、栄養バランスのよい食事を与えることも重要です。偏った食事により過剰に塩分やタンパク質を摂取していると、腎臓に負担がかかり発症のリスクを高めてしまいます。愛犬のライフステージに合った総合栄養食などを与え、バランスのよい食事を心がけましょう。

犬の慢性腎不全との向き合い方

犬 慢性腎不全

慢性腎不全によって悪くなった腎臓は、元の状態に治りません。しかし、療法食による食事療法や輸液療法、薬物療法によって、症状の進行を遅らせたり、辛い症状を取り除いてあげたりすることはできます。もし多飲多尿の初期症状が見られたら、すぐに獣医師の診察を受けるようにしましょう。

参考文献
◎ライタープロフィール
新井 絵美子 動物ライター

新井 絵美子/動物ライター

2017年よりフリーランスライターとして、犬や動物関連の記事を中心に執筆活動をおこなう。
過去に、マルチーズと一緒に暮らしていた経験をもとに、犬との生活の魅力や育て方のコツなどを、わかりやすくお伝えします。

◎監修者プロフィール
加藤みゆき 獣医師

加藤みゆき/獣医師

日本獣医生命科学大学(旧・日本獣医畜産学部)を卒業後、獣医師として埼玉県内の動物病院にて犬・猫・小鳥の小動物臨床とホリスティック医療を経験。その後、小動物臨床専門誌の編集者を勤めた後、現在は都内の動物病院にて臨床に従事。
日々発展する小動物臨床の知識を常にアップデートし、犬に関する情報を通じて皆様と愛犬との暮らしがより豊かなものとなるように勉強を重ねて参ります。

  • 更新日:

    2020.08.09

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