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健康管理 / 病気

2020.08.02

【獣医師監修】犬の前庭疾患ってどんな病気?症状・原因・治療法・予防法まとめ

愛犬がまっすぐ歩けずによろけたり、同じ方向にグルグルと歩き回ったりするような様子が見られる場合は、前庭疾患であることが考えられます。高齢犬をはじめ、柴犬がかかりやすい犬種として挙げられています。犬の前庭疾患の初期症状から、どんな原因によって発症する病気なのか、また、治療法や予防法についても理解を深めておきましょう。

Author :監修:加藤 みゆき/獣医師(文:新井 絵美子)

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犬の前庭疾患ってどんな病気?

犬 前庭疾患

犬の前庭疾患とは、何らかの原因により耳の内耳神経の前庭神経に異常が起き、平衡感覚が保てないなどの症状がでる病気です。 前庭疾患は、末梢性(三半規管の問題)と中枢性(脳の問題)に分けられ、一般的には末梢性前庭疾患が多く見られます。また、突発的に起こることも珍しくありません。

初期症状

前庭疾患を発症すると、まっすぐ歩けずふらつく、首を傾げたままの姿勢になる(斜頸)、同じ方向にグルグルと歩き回る、眼球が小刻みに揺れる(眼振)などの症状が見られます。

また、これらのバランスが保てない症状により気分が悪くなって、食欲の低下や嘔吐、よだれが出るなどの症状を伴うこともあります。前庭疾患の症状を例えると、車酔いによりめまいが生じ、気持ち悪くなっているような状態です。

他の犬や人にうつる?

前庭疾患は、他の犬や人にうつることはありません。

犬の前庭疾患の原因とは?

犬 前庭疾患

末梢性前庭疾患と中枢性前庭疾患とでは、以下のように原因が分かれます。

末梢性前庭疾患の原因

内耳炎や中耳炎、耳の中の腫瘍、外傷などにより、三半規管に障害を及ぼす要因が発症を招くとされています。

中枢性前庭疾患の原因

中枢性前庭疾患の原因には、脳梗塞や脳腫瘍、脳炎、脳への外傷や出血、細菌感染などの原因が挙げられます。

かかりやすい犬種や年齢

特発性前庭疾患は、高齢犬に発症するケースが多く見られます。どの犬種にも起こるリスクがありますが、柴犬がかかりやすいと言われています。

犬の前庭疾患の治療法とは?

犬 前庭疾患

内耳炎や中耳炎が原因のときは細菌感染が多いため、抗真菌薬や抗生物質の投与を行います。この場合、炎症や感染が落ち着けば予後は良好です。また、耳の中の腫瘍が原因の場合は、腫瘍を取り除く手術を行うこともあります。そして、食欲不振や嘔吐に対しては、補液による栄養や水分の補給、酔い止め薬の投与などをします。

中枢性前庭疾患においては、MRI検査や脳脊髄液検査などをして、獣医師と治療計画を立てていきます。

特発性前庭疾患の場合は、無治療であっても発症から2~3日後に改善し始め、数週間で自然に回復することが多いです。

ふらつきなどにより障害物にぶつかって怪我をすることを防ぐ目的で、クッション状のエリザベスカラーも発売されていますので試してみるのもよいでしょう。

治療にかかる費用

アニコム損害保険株式会社のデータによると、前庭疾患における1回の通院にかかる平均費用は、6,000円程度となっています。(※1)実際のところ、ペット保険を提供する株式会社FPCの請求事例で、通院回数7回で約36,000円の治療費がかかったというケースも見られます。(※2)

犬の前庭疾患の予防法とは?

犬 前庭疾患

外耳炎の炎症が波及し、中耳炎や内耳炎になることも多いので、愛犬の耳の中に異常が起きていないか、日頃からチェックするように心がけることが大切です。外耳炎の早期治療をすることで前庭疾患を予防できます。

特発性の前庭疾患に対する予防法は、原因が分からないだけにこれといってありません。何らかの症状が見られる場合は、早めに獣医師の診察を受けるようにしましょう。

再発する可能性

特発性前庭疾患は、再発する可能性があります。一度回復してから、翌月に再発してしまったというケースも見られます。

愛犬の前庭疾患との向き合い方

犬 前庭疾患

前庭疾患の治療法は、原因によって異なります。そのため、愛犬にふらつきなどの症状が見られる際は、早めに獣医師の診察を受け適切に治療をしていきましょう。自宅で看護する際は、愛犬がよく過ごす場所にはテーブルや椅子を置かないようにしたり、角がある家具には厚めの布をかけたりするなど、愛犬がふらついたときに怪我をしないように配慮をしてあげてください。

【参考文献】
(※1)アニコム損害保険株式会社 前庭疾患
(※2)株式会社FPC 前庭疾患

◎監修者プロフィール
加藤みゆき 獣医師

加藤 みゆき/獣医師

日本獣医生命科学大学(旧・日本獣医畜産学部)を卒業後、獣医師として埼玉県内の動物病院にて犬・猫・小鳥の小動物臨床とホリスティック医療を経験。その後、小動物臨床専門誌の編集者を勤めた後、現在は都内の動物病院にて臨床に従事。
日々発展する小動物臨床の知識を常にアップデートし、犬に関する情報を通じて皆様と愛犬との暮らしがより豊かなものとなるように勉強を重ねて参ります。

  • 更新日:

    2020.08.02

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