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健康管理 / 病気

2020.08.12

【獣医師監修】犬の皮膚がんってどんな病気?症状・原因・治療法まとめ

人間も犬も高齢になるほど「がん」に罹る確率が高くなります。しかし愛犬ががんになってしまった場合、決して悲観しないでいただけたらと思います。有効な治療で治る確率も高いですし、もちろん長生きだって不可能ではありません。犬が罹るがんのうち、皮膚がんの割合が最も多いのですが、今回はその「犬の皮膚がん」について理解するべきこととして症状・原因・治療法、病気への向き合い方などをお話ししていきます。

Author :監修:加藤 みゆき/獣医師(文:明石 則実)

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犬の皮膚がんってどんな病気?

犬 皮膚がん

犬の皮膚にできる腫瘍いわゆる「できもの」は良性と悪性のものがあります。乳頭腫や皮脂腺腫瘍のようにカリフラワー状に腫瘍ができる場合は良性であることが多いのですが、アレルギーや炎症に関与している肥満細胞が腫瘍となった場合、いわゆる悪性の皮膚がんとなります。

肥満細胞腫は皮膚にできることが多く、悪性の皮膚がんとしては最も割合が多いものです。形態としてはイボ状になったり、脂肪の塊のようだったり、赤く皮膚炎のようになることもあります。いずれにしても病状が進行すると重篤な状態となりますので、早期の治療が必要となります。

具体的な症状としては、ヒスタミンの過剰分泌により皮膚が赤くなったり、胃腸に負担が掛かるため嘔吐や下痢などが起こり、血が止まりにくくなることが特徴です。

初期症状

肥満細胞腫いわゆる皮膚がんの悪性度にはグレード1~3まであり、初期症状はグレード1にあたります。

普段シャンプーなどしている時に、皮膚の表面にしこりを感じることがあれば、比較的見つけやすいと言えるでしょう。注意するポイントは、そのしこりの大きさがどのくらいあるか?また赤く炎症を起こしているかどうか?などにあり、いずれの場合も早めに獣医師と相談する必要があります。

しこりが見つかったとしても、見た目ではそれが悪性かどうかの判断ができないため、針吸引検査や骨髄検査、病理検査などが必要となります。

他の人や犬にうつる?

皮膚がんは、伝染性の病気ではないため、他の人や犬にうつることはありません。ただし病的な遺伝子の変異が親犬から子犬へ伝わることにより、遺伝的にがんに罹患しやすくなることは否めません。

犬が皮膚がんになる原因とは?

犬 皮膚がん

犬が皮膚がんに罹る原因として、どのようなものが挙げられるのでしょうか?少し探っていきたいと思います。

高齢で体のバリアが働かなくなる

がん細胞は体が健康であっても一定数生まれています。その増殖を抑えているのが、がん抑制細胞や免疫細胞と呼ばれている体のバリア機能です。しかし高齢になってそれらの働きが衰えてくると、がんに罹りやすくなると言われており、それは人間でも犬でも同じことが言えます。

遺伝によるもの

遺伝的要素も皮膚がんの要因となります。特定の好発犬種がいるのもそのためで、どのように遺伝的要素が関わっているのかは不明ですが、犬種ごとに発生しやすいがんがあることも事実です。ただし先天的な遺伝要因よりも、後天的な要因の方が大きく左右するため、食餌や運動などの生活習慣の変化等、飼い主さんの育て方によって大きく変わってきます。

環境による要因

犬は人間のように喫煙も飲酒もしません。しかし人間と共に暮らすことによる環境的な要因が、がん発生に深くかかわっています。がん発症要因として考えられる化学物質として、以下のものが挙げられると言われています。

・殺虫剤や除草剤、アスベストなどの化学物質
・石油、灯油、排気ガス等の有害物質
・人間が近くでタバコを吸うことによる受動喫煙

かかりやすい犬種や年齢

皮膚がんについては、全ての犬種において発症リスクは付きまといます。ただ遺伝的要因ということを考えれば、ミックス犬はがんになりにくいという説もありますね。肥満細胞腫に限って言えば、好発犬種としてパグがあげられます。かかりやすい年齢については、やはり高齢になるほど免疫機能が働かなくなりますから、シニア~老犬になるほどリスクは高くなっていきます。

犬の皮膚がんの治療法とは?

犬 皮膚がん

初期症状のグレード1の場合、患部の摘出のみで済み、転移の可能性も少ないのですが、グレード2~3と症状が重篤になる場合、摘出手術をした後も抗がん剤治療や放射線治療が不可欠となります。また悪性度が増していくため、再発や転移の可能性も高くなっていく傾向にあります。

治療にかかる費用

ペット保険に加入していない場合、手術内容にもよりますが以下のような費用がかかります。

・手術費:数万円~数十万円かかることもあり
・抗がん剤治療費:1回につき2~3万円
・放射線治療:1回につき1~5万円(20回ほど施術する必要あり)
・入院費用:1日5千円ほど

ペット保険に加入している場合、ケガや病気が補償されますので、がん治療も例外ではありません。

犬の皮膚がんの予防方法はある?

犬 皮膚がん

どの犬にも起こり得る皮膚がんですが、発症リスクを低減し、早期発見に努めることが最大の予防法と言えます。また、一般的に健康的な暮らしを送る上で、下記の要素も押さえておく必要があります。

・栄養をバランスよく摂取して体の免疫機能を高めること
・有害な化学物質をできるだけ避ける生活をすること
・定期的に獣医師の健診を受けること(シニア期は1年に2回ほど)

再発する可能性

犬の皮膚がんは進行が早ければ早いほど、再発や転移の可能性が高くなります。それを防ぐには、がんを早期に発見し、患部の切除を行うことが重要でしょう。もちろん再発リスクも少なくなります。

犬の皮膚がんとの向き合い方

犬 皮膚がん

犬の皮膚がんは、人間よりもはるかに進行が早いため迅速な治療が望まれます。そのため「早期発見」と「的確な治療」が何より大切になるのです。もし愛犬が皮膚がんに罹ったとしても、決して悲観しないでください。悪性であっても手術で根治できる可能性もありますので、愛犬の頑張りにしっかりと応えてあげてくださいね。

◎監修者プロフィール
加藤みゆき 獣医師

加藤 みゆき/獣医師

日本獣医生命科学大学(旧・日本獣医畜産学部)を卒業後、獣医師として埼玉県内の動物病院にて犬・猫・小鳥の小動物臨床とホリスティック医療を経験。その後、小動物臨床専門誌の編集者を勤めた後、現在は都内の動物病院にて臨床に従事。
日々発展する小動物臨床の知識を常にアップデートし、犬に関する情報を通じて皆様と愛犬との暮らしがより豊かなものとなるように勉強を重ねて参ります。

  • 更新日:

    2020.08.12

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