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健康管理 / 病気

2020.08.18

獣医師監修|犬の目に傷が?考えられる病気3つと正しい対処法

犬の目に傷があることに、目視で気づけることはそう多くはありません。目に傷がついた場合には、眼球に様々な症状が表れます。また、目を気にするさまざまなしぐさで異常に気付くこともあります。今回は、犬の目に傷があるときの原因や症状、考えられる病気と対処法を解説していきます。

Author :監修:加藤 みゆき/獣医師(文:泉 能子/愛犬家、ドッグライター)

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犬の目に傷がある場合に考えられる原因とは?

犬 目 傷

犬の目に傷ができるときの原因にはいろいろなものがあります。いくつかの考えられる原因を見ていきましょう。

原因1:外傷によるもの

目の外傷で多いのが、散歩や家の中などで走ったり遊んだりしているときに、何かにぶつかって傷つけてしまうケースです。特に、もともと鼻が短い短頭種に多く見られます。
中には、硬くて長いジャーキーを食べているときに、口から飛び出したジャーキーが目に当たって傷を負ったケースもあるようです。
また、ケンカや交通事故などで目が損傷することもあります。

原因2:外部からの刺激や異物の侵入

目にシャンプーや砂、ほこり、虫、花粉、草などの異物が入って傷つくことがあります。また、長期にわたる逆さまつげの刺激によって眼球の表面を傷つけてしまうケースも見られます。さらには、疾病や手術よる顔面神経麻痺でまばたきができなくなることで、目が乾燥して表面を傷つけてしまうことがあります。

原因3:角膜の病気や損傷

角膜炎や乾燥角結膜炎(ドライアイ)、角膜潰瘍など、角膜の疾病によって角膜が炎症をおこしたり、傷ついたりすることがあります。特に角膜潰瘍は角膜に穴が開く眼球穿孔を起こし失明してしまうこともあるので、早期発見・早期治療が大切です。角膜は傷が浅いほど強く痛みを感じるといわれており、目をシバシバさせたり、目を開けるのが辛そうにしていたらすぐに獣医師の診察を受けましょう。

犬の目の傷|こんな症状があるときは要注意!

犬 目 傷

愛犬が以下のような症状を見せている場合、飼い主は特に注意が必要です。

  1. しきりに目をこすったり、掻くしぐさをする
  2. 目がしょぼしょぼしている
  3. 涙がいつもより多い(興奮したときにたくさん涙が出る)
  4. 瞳の表面が白または黒く濁っている、あるいは窪んでみえる
  5. 角膜に小さな穴があいている(ように見える)
  6. 目ヤニが多い

考えられる病気と対処法は?

上記に上げたような症状をみせたり、明らかに目を気にするしぐさをしたり、また角膜はっきりと異常がみられるようなときに考えられる病気にはどのようなものがあるのでしょう。
そのときの対処法も併せて見ていきましょう。

角膜炎

犬の角膜炎は、黒目を覆う角膜が炎症をおこす病気です。
原因としては外傷によるもの、逆さまつげ、ウイルスや細菌感染、ドライアイ、結膜炎などによるものが考えられます。症状は目の痛み、目ヤニ、涙の増加などがあり、重症になると角膜の白濁や色素沈着、潰瘍が見られるようになります。

<対処法>

逆さまつげや眼瞼内反症、眼瞼腫瘍などからくる慢性刺激が原因の場合は、まつ毛の除去やまぶたの内側への巻き込みや腫瘍を外科治療するなどして慢性刺激を取り除きます。また、細菌感染などの場合は、抗生剤などの点眼薬で治療をおこないます。
角膜炎は様々な原因から発症し、それによって経過や治療法が違ってきます。角膜潰瘍をおこしたり、色素沈着により視力が低下してしまうこともありますので、早期発見・早期治療で重症化を防ぎましょう。

乾性角結膜炎(ドライアイ)

犬の乾性角結膜炎(ドライアイ)は、免疫異常から涙腺や瞬膜腺が破壊され涙が出なくなることで発症することが多くなっています。
また、短頭種のように目が出ている犬種は完全にまぶたを閉じることができず、角膜が常に露出した状態で乾いてしまったり、涙の分泌が悪く眼球の潤いが少なくなってしまうことから起こることがあります。

<対処法>

免疫異常からの乾性角結膜炎(ドライアイ)は、免疫抑制剤の「シクロスポリン」を点眼したり眼軟膏を使用したりして治療します。シクロスポリンの内服薬や抗生剤を併用投与することもあります。免疫異常からの乾性角結膜炎(ドライアイ)の場合は、シクロスポリンでの治療で改善することが多いのですが、治療を始めて2ヵ月たっても良くならない場合は改善は難しいといわれています。その場合はタクロリムスなどの他の免疫抑制剤を使って治療していきます。
涙液量の増加が見られたら点眼や眼軟膏の回数を減らしていきますが、止めると再発することが多いので、定期的な検査と治療の継続が必要です。犬の乾性角結膜炎(ドライアイ)は角膜潰瘍をおこしやすく、急速に進行することがありますので注意が必要です。

角膜潰瘍

犬の角膜潰瘍は目の角膜に潰瘍ができる疾病です。ドライアイなどで目が乾いたり、異物や外傷などで角膜に傷がついたりすることから発症します。
潰瘍ができると涙や目ヤニが増えて、痛みのために目をしきりにショボショボさせたりします。細菌感染が進むと角膜に穴が開き失明してしまうこともあります。

<対処法>

角膜潰瘍には単純な潰瘍から複雑な潰瘍、難治性の潰瘍まであり、それぞれの進行具合によって治療法が違ってきます。潰瘍の浅い単純な角膜潰瘍の場合は、抗生剤や角膜保護成分の点眼薬の投与で3日ほどで良くなります。

複雑な角膜潰瘍になると点眼治療の他にも、外的要因(刺激や目の乾燥など)に対する治療や処置が行われます。また、自己血清点眼、アセチルシステイン、抗生剤の内服、コンタクトレンズやエリザベスカラーによる患部の保護などが行われることもあります。

難治性の角膜潰瘍の場合は、内科的治療の他に潰瘍部分を周囲の結膜や瞬膜で覆う外科手術を行うことがあります。角膜潰瘍の状態や手術内容によっては、眼科専門の獣医師に依頼されることもあります。

角膜潰瘍は細菌感染から角膜が溶け急速に角膜穿孔に進んでしまうことがあります。角膜穿孔にまで進行してしまうと、状況によっては眼球摘出にまで及んでしまうことがあります。
角膜潰瘍はきちんと治療を行っていても、数日のうちに病状が進行してしまうこともあります。早期発見・早期治療はもちろんのこと、状況観察を怠らず完治するまでしっかりと治療を続けることが何よりも重要です。

犬の目の傷は早期発見・早期治療が一番の対処法!

犬 目 傷

犬の目に傷があるとはっきり分かるのは外傷のときくらいなもので、ほとんどの傷は肉眼で見つけることができません。目が充血しているとか、ずっと目をシバシバさせているとか、目ヤニや涙が増えるといった症状から異常を感じることがほとんどです。軽症の結膜炎のことも多いのですが、軽い症状から急に重い角膜潰瘍や角膜穿孔に進行することがあります。

愛犬がしきりに目を気にしたり、目にいつもと違う症状を見つけたら、軽く見過ごさずすぐに動物病院に連れていきましょう。治療を始めたら、症状がなくなったからと途中で治療を止めたりせず、完治するまで治療を続けることが大切です。

◎監修者プロフィール
加藤 みゆき 獣医師

加藤 みゆき/獣医師

日本獣医生命科学大学(旧・日本獣医畜産学部)を卒業後、獣医師として埼玉県内の動物病院にて犬・猫・小鳥の小動物臨床とホリスティック医療を経験。その後、小動物臨床専門誌の編集者を勤めた後、現在は都内の動物病院にて臨床に従事。
日々発展する小動物臨床の知識を常にアップデートし、犬に関する情報を通じて皆様と愛犬との暮らしがより豊かなものとなるように勉強を重ねて参ります。

◎ライタープロフィール
泉 能子 愛犬家 ドッグライター

泉 能子/愛犬家、ドッグライター

動物が大好きで、気づけば隣にはいつも愛犬がいて、愛犬とお互いに助けたり助けられたりの共同生活をしているドッグライターです。
今までにヨークシャーとスムースダックスを育てて看取り、今は保護犬の9歳になるブラックタンのダックスと暮らしています。
人と犬が楽しく幸せに暮らすために役立つ記事を発信していきます。

  • 更新日:

    2020.08.18

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