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健康管理 / 病気

2020.08.08

犬が常同障害を引き起こす原因2つ。症状や治療法を解説|獣医師監修

犬が自身の前足を執拗に舐めたり、しっぽを追ってくるくると回ったり。そんな様子が見られたら、もしかすると心の病にかかっているかもしれません。ここでは、犬の常同障害の原因や治療法、予防法についてご紹介します。

Author :江野 友紀/認定動物看護士(監修:加藤 みゆき/獣医師)

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犬の常同障害とは?

犬 常同障害

常同障害とは、ストレスなどが原因で引き起こされる問題行動であり、犬以外にも猫や動物園の動物などにも見られます。同じ行動を繰り返し行いますが、この行動自体には何の意味もありません。

常同障害の症状

犬はしっぽを追いかけてくるくる回る(尾追い)、足先をひたすら舐める、穴を掘る、同じ場所をうろうろと歩き回るなど、異常な頻度や持続時間で同じ行動を繰り返す行動が見られます。ひどいと自身のしっぽを咬みちぎり、外科手術が必要になることもあります。
猫の場合、過剰な毛繕いやタオルなどに吸い付くといった行動が見られます。動物園で動物達が同じ所を行ったり来たりしている様子を見ることがあるかと思いますが、これも常同障害です。

他の犬や人にうつる?

常同障害は精神疾患であり感染症ではないので、うつるということはありません。ただし、常同障害のある犬のストレスや不安感を敏感に感じとり、同居犬にもストレスがかかる可能性は考えられます。

犬が常同障害を起こす原因2つ

犬 常同障害

犬の常同障害は、ストレスに長期間に渡って晒されることで発症することが報告されています。犬がストレスを感じる理由は、退屈・不安・環境の変化・コミュニケーション不足・環境刺激の不足など様々です。犬の置かれている状態をよく考えて、的確に原因を追求することが大切です。

原因1.長時間の留守番

飼い主さんが留守がちで、犬が独りで長時間過ごしているような場合には、犬は孤独感から自傷行為を伴う常同行動に出ることがあります。特に、ケージなどに長時間閉じ込められているようであれば犬は強いストレスを感じます。

原因2.環境の変化

新しい犬との同居、大切にしてくれていた飼い主さんの入院、近所での騒音を伴う工事、新居への引っ越しなど、環境の変化に対応しきれず常同障害が引き起こされてしまうことがあります。

かかりやすい犬種や年齢

1~3才頃の社会的成熟期での発症が多いようです。犬種を問わず発症しますが、猟犬など多くの運動量が必要な犬種が十分に運動させてもらえないときや、性格的に神経質な犬などは発症しやすいと考えられます。

犬の常同障害の治療法

犬 常同障害

犬の常同障害を治療するには、犬のストレスや不安の原因を追究し、除去する必要があります。
主な治療は行動療法になりますが、これは一般的な動物病院よりも専門家による行動改善のトレーニングを受けることをおすすめします。
自身の身体を傷付けてしまうときや、一日中常同行動を繰り返しているような場合には、脳の興奮を抑えるために抗うつ剤などの薬物治療が行われることがあります。

治療にかかる費用

犬の生活環境を見直すだけで治れば費用はかかりませんが、動物病院で薬の処方を受けた場合などには数千円かかります。専門家によるカウンセリングを受ける場合、5,000~20,000円くらいかかるようです。

犬の常同障害の予防法

犬 常同障害

犬に長時間犬留守番させないよう配慮する、散歩の時間を十分に設ける、適度にコミュニケーションを取るなど、日頃から犬にストレスを与えない環境を整えることが大切です。ストレスサインが見られた時には、早めに対処することも重要です。

再発する可能性

精神的な病気は再発を繰り返すことがよくあります。根気強く治療を続けましょう。

常同障害との向き合い方

犬 常同障害

犬の常同障害には、即効性のある治療方法が存在しません。犬にストレスのかからない生活環境を整えてあげることが最も大切になります。
言葉を話すことのできない犬の心を理解することは難しいかもしれませんが、犬の様子をよく観察することで心の変化に気付くことができるかもしれません。気になる様子があれば、動物病院や専門家に相談しましょう。

◎ライタープロフィール
江野友紀 認定動物看護士

江野 友紀/認定動物看護士

地域密着型の動物病院にて、動物看護士として14年ほど勤務。看護業務の合間にトリミングもしています。
ドッググルーミングスペシャリスト、コンパニオンドッグトレーナーの資格を保有。
普段の仕事では、飼い主様の様々な疑問や悩みを解消できるよう、親身な対応を心掛けています。
ライターの仕事を通して、犬と人が幸せでより良い生活を送るためのお手伝いさせていただきたいです。

◎監修者プロフィール
加藤みゆき 獣医師

加藤みゆき/獣医師

日本獣医生命科学大学(旧・日本獣医畜産学部)を卒業後、獣医師として埼玉県内の動物病院にて犬・猫・小鳥の小動物臨床とホリスティック医療を経験。その後、小動物臨床専門誌の編集者を勤めた後、現在は都内の動物病院にて臨床に従事。
日々発展する小動物臨床の知識を常にアップデートし、犬に関する情報を通じて皆様と愛犬との暮らしがより豊かなものとなるように勉強を重ねて参ります。

  • 更新日:

    2020.08.08

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