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健康管理 / 病気

2020.08.21

犬ブルセラ症は人にもうつる感染症!不妊を引き起こす病気の感染源とは|獣医師監修

犬ブルセラ症とは犬ブルセラ菌によって引き起こされる感染症で、一言で言えば感染を原因とする犬の不妊症です。ペルーやメキシコで特に多く見られる病気ですが、日本でも数%の割合で蔓延しているものと考えられています。ここでは、犬ブルセラ症の原因や治療法、予防法についてご紹介します。

Author :江野 友紀/認定動物看護士(監修:加藤 みゆき/獣医師)

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犬ブルセラ症とは?

ブルセラ症

犬のブルセラ症での特徴的な症状は、メス犬の妊娠後期での死流産です。

犬ブルセラ症の症状

メス犬は胎盤で菌が増殖することにより胎盤炎や、妊娠45~55日目に早産・流産を起こします。ブルセラ菌に感染しても一般症状が現れないケースが多く、流産によって感染に気づくことが多いようです。
オス犬が感染するとは精巣炎や精巣上体炎を起こし、これらが原因で精子に異常をきたして不妊に繋がります。

犬ブルセラ症は他の犬や人にうつる?

犬ブルセラ症は、他の犬や人にうつる人獣共通感染症です。
人の場合はブルセラ症に感染した犬の死体や流産時の汚物などに接触して感染することがありますが、目立った症状が現われないことが多く(不顕性感染と言います)、まれに免疫力が低下している場合などに発熱、悪寒、倦怠感など、風邪に似た症状が見られます。
犬は感染犬の流産時の汚物などによって汚染された餌を口にしたり、感染犬の尿、乳汁などを介して感染します。また、感染犬との交尾感染もあります。

犬ブルセラ症の原因

ブルセラ症

犬ブルセラ症の原因菌は、ブルセラ・カニス(Brucella canis:イヌ流産菌)という細菌です。次のような感染経路があります。

経口感染や母子感染

感染犬の流産した汚物や尿から経口感染したり、母犬から子犬へ乳汁感染します。

交尾感染

犬同士の交尾によって、生殖器粘膜から直接細菌が侵入して感染することがあります。

かかりやすい犬種や年齢

犬ブルセラ症は、特定の犬種や年齢に限定されて発症する病気ではありません。体の抵抗力が下がっている場合には、感染・発症しやすくなると考えられます。

犬ブルセラ症の治療法

ブルセラ症

犬ブルセラの原因菌は生きた細胞内に寄生して増殖する細胞内寄生性であるため、発症した場合には長期に渡り抗菌剤を投与する必要があります。一般的には2種類の抗菌剤を併用し、定期的に抗体検査を受けます。
ただし、治療を行っても、完治することは困難と言われています。
去勢・不妊手術は菌の重要な増殖場所や排菌源を除去することになるので、治療効果を高めるとされています。

治療にかかる費用

犬ブルセラ菌の抗体検査や必要に応じた一般的な血液検査、抗菌剤の投与などが行われます。一回の治療でも一万円はかかると考えましょう。去勢・避妊手術を受ける場合には数万円かかります。

犬ブルセラ症の予防法

ブルセラ症

犬ブルセラ症に有効なワクチンは無いので、完全に予防することは困難です。感染犬の体外に出た犬ブルセラ菌は長く生存できないので、消毒用エタノールや次亜塩素酸ナトリウムなどの消毒薬を使うことで、飼育環境をある程度清潔に保つことが予防に繋がります。
人への感染を予防するには、感染犬の流産胎盤や胎仔、悪露、乳汁、尿などはゴム手袋やマスクを装着し、十分注意して取り扱うことが大切です。

再発する可能性

治療が不十分な場合には、再発する確率が非常に高くなります。獣医師の指示どおりに、根気よく治療を続けることが大切です。

犬ブルセラ症との向き合い方

ブルセラ症

犬ブルセラ症は確実な予防法が無く、完治が難しい病気です。感染犬は繁殖させず、生活環境を消毒して衛生的に保つことが大切です。
また、犬が出産予定日より早く流産するなど、ブルセラ症が疑われる場合には衛生管理に注意し、他の犬との接触を避け、早急に動物病院で検査を受けましょう。

◎ライタープロフィール
江野友紀 認定動物看護士

江野 友紀/認定動物看護士

地域密着型の動物病院にて、動物看護士として14年ほど勤務。看護業務の合間にトリミングもしています。
ドッググルーミングスペシャリスト、コンパニオンドッグトレーナーの資格を保有。
普段の仕事では、飼い主様の様々な疑問や悩みを解消できるよう、親身な対応を心掛けています。
ライターの仕事を通して、犬と人が幸せでより良い生活を送るためのお手伝いさせていただきたいです。

◎監修者プロフィール
加藤 みゆき 獣医師

加藤 みゆき/獣医師

日本獣医生命科学大学(旧・日本獣医畜産学部)を卒業後、獣医師として埼玉県内の動物病院にて犬・猫・小鳥の小動物臨床とホリスティック医療を経験。その後、小動物臨床専門誌の編集者を勤めた後、現在は都内の動物病院にて臨床に従事。
日々発展する小動物臨床の知識を常にアップデートし、犬に関する情報を通じて皆様と愛犬との暮らしがより豊かなものとなるように勉強を重ねて参ります。

  • 更新日:

    2020.08.21

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