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健康管理 / 病気

2020.08.29

【獣医師監修】犬のレプトスピラ症とは?症状・原因・治療法・予防法まとめ

犬のレプトスピラ症はネズミなどを介して感染する病気で、人にも感染することがある人獣共通感染症です。犬は感染しても目立った症状が現われないこともあれば、重篤な症状を呈するケースもあります。ここでは、犬のレプトスピラ症の症状や原因・治療法・予防法についてご紹介します。

Author :監修:加藤 みゆき/獣医師(文:江野 友紀/認定動物看護士)

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犬のレプトスピラ症とは?

レプトスピラ症

レプトスピラ症を引き起こす菌は、スピロヘータ目レプトスピラ科に属し、活発に動き回るらせん状の細菌です。感染動物である野ねずみや牛、タヌキ、キツネ、犬などの腎臓に保菌され、尿中にレプトスピラ菌が排泄されます。レプトスピラ菌に汚染された水を飲んだり、皮膚の傷口や体の粘膜から菌が入りこむことで感染します。

レプトスピラ症の症状

全ての犬がレプトスピラ症を発症するわけではなく、無症状のまま自然治癒してしまうこともあります。発症した場合には、感染初期症状として発熱、倦怠感、食欲不振、嘔吐、脱水、出血などの症状が見られます。その後、腎不全、肝不全に発展し、治療が遅れると命を落としてしまう可能性もあります。

他の犬や人にうつる?

レプトスピラ症は、レプトスピラを含む尿との接触などから多くの哺乳動物に感染します。人が感染した場合、風邪の様な症状のみで回復する軽症型から、黄疸、出血、腎障害を伴う重症型(ワイル病)まで様々な症状を示します。ワイル病で早期に適切な治療がなされない場合の死亡率は20~30%と言われています。

犬のレプトスピラ症の原因とは?

レプトスピラ症

犬のレプトスピラ症の原因や、レプトスピラ症にかかるリスクの高い犬についてご紹介します。

感染経路

保菌動物の尿との直接的な接触や、尿に汚染された水や土壌などから、経口的、あるいは経皮的に感染します。感染している犬の精液や母乳などにも現れるため、交尾や哺乳によって感染することもあります。

大雨や洪水の後は要注意

レプトスピラ症は、梅雨の時期などの水たまりができる季節に多く見られます。犬は散歩中に汚染された水を飲んでしまうことがあります。また、大雨や洪水の後も、汚染水のうっ滞やネズミと接近する機会が増えることなどによって感染する危険性が高くなります。

かかりやすい犬種や年齢

かかりやすい犬種や年齢は特にありませんが、山や川に出かける機会が多い犬や、田んぼや田舎のあぜ道を散歩する機会がある犬、ねずみが出る地域の犬は感染のリスクが高いと言えるでしょう。地方別でみると、関東以西での発生が主となっています。

犬のレプトスピラ症の治療法とは?

レプトスピラ症

レプトスピラ症は、完全に治療しないと尿の中にレプトスピラ菌が長期間に渡って排泄されることになり、その犬が感染源になって飼い主や他の動物にうつしてしまう可能性があります。治療にはアモキシシリンやドキシサイクリン、アンピシリンなどの抗菌薬が使用される他、腎不全や肝不全に対する輸液療法や、場合によっては輸血が必要になります。

治療にかかる費用

症状の程度などにより治療費は異なりますが、レプトスピラ症を確定診断するための抗体検査や抗菌薬などに1万円くらいかかると考えられます。重度で入院が必要になる場合などは数万円かかります。

また、レプトスピラ症は予防可能な病気であるため、多くのペット保険では保険適用外になりますので注意しましょう。

犬のレプトスピラ症の予防法とは?

レプトスピラ症

犬のレプトスピラ症はワクチンでの予防が可能です。単独のワクチンもありますが、日本では一般的に、犬ジステンパーウイルスや犬パルボウイルスなど複数の病気に効果的な混合ワクチンを接種します。ただし、犬のレプトスピラ症には複数の血清型があり、ワクチンに含まれる血清型以外のものに関しては予防できません。

ワクチンの効果は生涯持続するものではないので、獣医師の指示どおりに定期的に接種することが大切です。

再発する可能性

症状が軽くなったからと、完治しないうちに治療をやめてしまうと再発する可能性があります。また、レプトスピラ症から回復した犬や無症状だった犬は、数か月から数年はレプトスピラ菌を尿中に排出するので、注意が必要です。

犬のレプトスピラ症のとの向き合い方

レプトスピラ症

犬のレプトスピラ症は、重症化すると命を落とす危険性のある病気です。犬以外にも感染し、多くの動物が保菌動物になり得るのでその辺りにも細心の注意を払いましょう。しかしながら、予防可能な病気なので、定期的にワクチン接種し、汚染された水などはむやみに飲ませないよう注意しましょう。

◎監修者プロフィール
加藤みゆき 獣医師

加藤 みゆき/獣医師

日本獣医生命科学大学(旧・日本獣医畜産学部)を卒業後、獣医師として埼玉県内の動物病院にて犬・猫・小鳥の小動物臨床とホリスティック医療を経験。その後、小動物臨床専門誌の編集者を勤めた後、現在は都内の動物病院にて臨床に従事。
日々発展する小動物臨床の知識を常にアップデートし、犬に関する情報を通じて皆様と愛犬との暮らしがより豊かなものとなるように勉強を重ねて参ります。

  • 更新日:

    2020.08.29

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