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健康管理 / 病気

2020.08.23

【獣医師監修】犬の子宮蓄膿症とは?原因や治療法、予防法について解説

子宮に膿が貯まることで様々な症状を引き起こす「子宮蓄膿症」という病気をご存知でしょうか?犬の身体は子宮蓄膿症にかかりやすく、治療が遅れると命に関わることもある緊急度の高い病気です。ここでは、犬の子宮蓄膿症の原因や治療法、予防法までをご紹介します。

Author :江野 友紀/認定動物看護士(監修:加藤 みゆき/獣医師)

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犬の子宮蓄膿症とは?

犬 子宮蓄膿症

子宮蓄膿症とは、大腸菌などの細菌感染により子宮内に膿が貯まる病気です。子宮蓄膿症になると飲水量の増加、尿量の増加、嘔吐、発熱などの症状が見られます。
開放性子宮蓄膿症と閉塞性子宮蓄膿症があり、開放性の子宮蓄膿症の場合は陰部から膿が排出されます。閉塞性の場合はより深刻で、子宮から膿が排出されないためお腹が張り、子宮が破裂して腹腔内に膿が漏れ出た場合には腹膜炎を発症し短時間で命を落とすこともあります。

初期症状

感染初期は無症状のことが多いですが、食欲が低下したり、元気が無くなることがあります。

子宮蓄膿症は他の犬や人にうつる?

子宮蓄膿症は大腸菌などの細菌感染により引き起こされる病気であり、他の犬や人に伝染する病気ではありません。

犬の子宮蓄膿症の原因

犬 子宮蓄膿症

通常、子宮内には細菌を防ぐ力があるので、細菌が侵入することはありません。子宮蓄膿症は、排卵後に分泌される黄体ホルモンの影響により子宮内膜が厚くなり、感染しやすい状態になるために引き起こされます。人間の場合、妊娠に至らなければ黄体ホルモンは分泌されなくなりますが、犬の場合は妊娠が成立しなくても、2ヵ月間ほど黄体ホルモンが分泌され続けるため、子宮蓄膿症を発症しやすくなっているのです。

子宮蓄膿症にかかりやすい犬種や年齢

子宮蓄膿症に犬種は特に関係ありません。若齢で発症する可能性もありますが、特に長い間出産していない、または出産経験が無い未避妊の高齢犬に多く見られ、発情後1~3ヶ月後に発症することが多いです。

犬の子宮蓄膿症の治療法

犬 子宮蓄膿症

子宮蓄膿症は緊急度の高い病気であり、動物病院で診断された後、多くの場合はそのまま入院し、血液検査などで全身状態に問題がなければすぐに子宮と卵巣を摘出する手術をすることになります。状態が悪くすぐに手術できない場合には点滴や抗生物質の投与により状態を安定させてからの手術になります。
高齢犬で持病があったり、子宮蓄膿症の状態が悪すぎるときには内科治療が行われますが、この場合は完治は困難です。

子宮蓄膿症の治療にかかる費用

動物病院によって異なりますが、検査や入院、点滴、手術などに10~20万円くらいかかることが多いようです。動物病院に直接問い合わせてみましょう。

犬の子宮蓄膿症の予防

犬 子宮蓄膿症

若いうちに子宮と卵巣を摘出する避妊手術を受けることが、子宮蓄膿症の一番の予防になります。妊娠を望まないようであれば、避妊手術を検討しましょう。メス犬の初回発情は生後6カ月~1才の間に起こりますが、初回発情前に手術すると乳腺腫瘍についても高確率で予防することができます。

再発の可能性

子宮内に膿が貯まる病気であるため、手術により子宮と卵巣を摘出すれば再発の心配はありません。内科的治療の場合は完全に治療することが難しく、高い確率で再発します。

犬の子宮蓄膿症との向き合い方

犬 子宮蓄膿症

生理が終わったと思ったらまた出血した、出血が長期間続いているといったときには、子宮蓄膿症の疑いがあります。特に未避妊の高齢犬であったり、飲水量が増える・尿量が増えるなどの症状を伴うときにはこの病気が強く疑われます。発見が遅れると重篤な状態に陥る可能性もあるので、日頃から愛犬の様子をよく観察し、異変に気づいたら早急に動物病院を受診しましょう。
子宮蓄膿症は予防が可能な病気です。愛犬の妊娠を望まないようであれば避妊手術を検討しましょう。

◎監修者プロフィール
加藤 みゆき 獣医師

加藤 みゆき/獣医師

日本獣医生命科学大学(旧・日本獣医畜産学部)を卒業後、獣医師として埼玉県内の動物病院にて犬・猫・小鳥の小動物臨床とホリスティック医療を経験。その後、小動物臨床専門誌の編集者を勤めた後、現在は都内の動物病院にて臨床に従事。
日々発展する小動物臨床の知識を常にアップデートし、犬に関する情報を通じて皆様と愛犬との暮らしがより豊かなものとなるように勉強を重ねて参ります。

◎ライタープロフィール
江野友紀 認定動物看護士

江野 友紀/認定動物看護士

地域密着型の動物病院にて、動物看護士として14年ほど勤務。看護業務の合間にトリミングもしています。
ドッググルーミングスペシャリスト、コンパニオンドッグトレーナーの資格を保有。
普段の仕事では、飼い主様の様々な疑問や悩みを解消できるよう、親身な対応を心掛けています。
ライターの仕事を通して、犬と人が幸せでより良い生活を送るためのお手伝いさせていただきたいです。

  • 更新日:

    2020.08.23

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