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健康管理 / 病気

2020.08.23

【獣医師監修】治療が難しい犬の膵炎(すいえん)原因2つと治療法まで

犬の膵炎(すいえん)は、文字通り膵臓が炎症を起こす病気のことですが、他の内臓の病気に比べると診断が難しく、重症化すると致命的になる可能性もある病気です。ここでは、犬の膵炎の原因や初期症状、治療法から予防法についてご紹介します。

Author :江野 友紀/認定動物看護士(監修:加藤 みゆき/獣医師)

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犬の膵炎とは?

犬 膵炎

膵炎には急性膵炎と慢性膵炎がありますが、犬で問題になるのはほとんどが急性膵炎です。

急性膵炎は膵臓から分泌されるタンパク分解酵素が何らかの原因により活性化され、膵臓自体を自己消化してしまうことで様々な症状が見られます。慢性膵炎は進行性の細胞傷害・破壊と線維化によって膵臓が徐々に固くなり、消化吸収に影響を及ぼします。

重症化すると腎不全や糖尿病を引き起こしたり、最悪の場合死に至ることもあります。

初期症状

食欲低下、嘔吐、下痢、よだれが増えるなどの症状が見られます。腹痛を伴うため、前肢を伸ばして腰を上げる姿勢を続ける「祈りのポーズ」が見られることもあります。

他の犬や人にうつる?

膵炎自体は感染性の病気ではないため、他の犬や人にうつるということは考えにくいでしょう。

犬の膵炎の原因

犬 膵炎

膵炎のはっきりとした原因はわかっていませんが、次に挙げるようなものは膵炎の発症に関係があると言われています。

原因1・高脂肪食を食べている犬や肥満犬

脂肪分の多いフードやおやつを食べるなど、偏った食事が続くことや、高脂血症・肥満などが原因となり、膵炎が引き起こされる可能性があります。

原因2・内分泌疾患

糖尿病やクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)、甲状腺機能低下症などの内分泌疾患を患っている犬は、膵炎を発症する危険性が高くなるとされています。

かかりやすい犬種や年齢

ミニチュアシュナウザーやヨークシャーテリアまどのテリア種、コッカースパニエル、プードルなどの犬種に多いとされています。これらの犬種は脂質代謝異常を起こしやすい犬種であるために、膵炎になるリスクが高いと考えられています。また、中高齢で肥満のメス犬に多く発症する傾向があります。

犬の膵炎の治療法

犬 膵炎

症状に応じて、脱水を改善するための輸液療法や、制吐剤、抗炎症剤や鎮痛剤などの投薬治療が行われます。膵臓の働きを抑制するため数日間絶飲絶食することもあり、吐き気が抑えられたら低脂肪のフードを少量ずつ、数回に分けて与えます。

治療にかかる費用

治療にかかる費用は、症状の程度や治療を受ける動物病院によって異なります。
症状が軽く通院のみの治療の場合には、検査や皮下補液など、2~3万円くらいになるようです。症状が重度で入院治療が必要になる場合には、5~10万円ほどの治療費となると考えられます。

犬の膵炎の予防法

犬 膵炎

脂肪多く含むおやつやフードは与えないようにし、栄養バランスのとれた総合栄養食を与えましょう。量を与えすぎないよう、一日の給与量を決めて与えることも大切です。
また、室内犬であっても適度な運動が必要です。散歩の量は犬種などにより異なりますが、目安として小型犬では1日2回、20~30分ずつ散歩に行きましょう。

再発する可能性

急性膵炎を発症した犬が、回復期に再発してしまうことがあります。再発後に膵炎が悪化し、慢性化して慢性膵炎に移行することもあります。

犬の膵炎との向き合い方

犬 膵炎

膵臓は病気になっても目立った特徴的な症状が出ないことから「沈黙の臓器」と呼ばれています。症状が軽度の場合は見逃されやすく、気がつかない間に進行してしまうこともあるので、日頃から食事管理や肥満には注意しましょう。
膵炎は重症化すると命を落とすような状態になり得る病気なので、早めに対処することが大切です。愛犬に異常がみられたら、早めに動物病院を受診しましょう。

◎監修者プロフィール
加藤 みゆき 獣医師

加藤 みゆき/獣医師

日本獣医生命科学大学(旧・日本獣医畜産学部)を卒業後、獣医師として埼玉県内の動物病院にて犬・猫・小鳥の小動物臨床とホリスティック医療を経験。その後、小動物臨床専門誌の編集者を勤めた後、現在は都内の動物病院にて臨床に従事。
日々発展する小動物臨床の知識を常にアップデートし、犬に関する情報を通じて皆様と愛犬との暮らしがより豊かなものとなるように勉強を重ねて参ります。

◎ライタープロフィール
江野友紀 認定動物看護士

江野 友紀/認定動物看護士

地域密着型の動物病院にて、動物看護士として14年ほど勤務。看護業務の合間にトリミングもしています。
ドッググルーミングスペシャリスト、コンパニオンドッグトレーナーの資格を保有。
普段の仕事では、飼い主様の様々な疑問や悩みを解消できるよう、親身な対応を心掛けています。
ライターの仕事を通して、犬と人が幸せでより良い生活を送るためのお手伝いさせていただきたいです。

  • 更新日:

    2020.08.23

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