
ドイツは「犬大国」とも呼ばれ、ペット先進国の中でもトップクラスの国です。ドイツ・ベルリンには、ヨーロッパ最大の動物保護施設「ティアハイム(動物の家)」があり、獣医師や専門のトレーナーなど多くのボランティアによって運営されています。ドイツの犬の保護に関する法律の一例をご紹介します。
・生後1歳までは室内飼育する
・外気温が21℃を超える場合は、犬を車内に置き去りにしてはいけない。
・室内飼育の場合、昼夜の生活リズムを確保するために自然採光の確保や新鮮な空気の供給が確実に保証されている室内でなければならない。
・犬の大きさや犬種により、ケージやサークルの大きさの規定がある。
・長時間の留守番は禁止。
・犬の飼い主は年に1度、犬の頭数に応じて税金(犬税)を納めなければならない。
・生後8週間未満の子犬は、母犬から離してはいけない。
・生後12ヵ月までの子犬は、鎖に繋いで飼ってはいけない。
・授乳中の母犬・病気の犬は鎖に繋いではならない。
・繁殖に使う成犬の飼育は10頭まで。
・1歳以上の犬でなければ販売してはならない(ベルリン州)。
イギリスは動物愛護の先進国と言われており、動物の飼養や利用に関連する70以上もの法令が定められています。ペットに関する法律には次のようなものがあります。
・8週齢未満の子犬や子猫は絶対に購入しない。
・ペット動物に不必要な苦痛をもたらしてはならない。
・飼い主は適切かつ十分な食餌・水を与え、十分な運動の機会を与え、脱出を防止するあらゆる合理的手段を講じることに配慮しなければならない。
・ペット動物を遺棄してはならない。
・ペットショップなどで、犬や猫を販売することは禁止。
・子犬を売買する際、購入者がブリーダーの元へ向かい、動物の生活環境や状態を確認し、対面式で行われなければならない。
・ブリーダーは、購入者に母犬と子犬を一緒に見せなければならない。
・生後8週以下の犬の販売を禁止。
・イングランド(イギリスの南半分の地域)では、生後6カ月以下の子犬や子猫の販売を禁止。また、子犬および子猫をペットショップやその他の動物取扱業者など、ブリーダー以外の第三者による販売を禁止。
日本と比べアメリカの国土は非常に広く、法律の制定は「州」ごとに異なります。そのため、同じアメリカでもある州ではOKだったことが、州をまたげば法律違反になることも少なくありません。アメリカには次のような法律があります。
・生後4ヵ月以上の犬は郡自治体への登録が必須で、登録には狂犬病予防接種済み証明書、去勢手術済み証明書を提示し、1年で10~30ドル程度の登録料を支払わなければならない(カリフォルニア州やニューヨーク州)。
・24時間以上家の中などにペットを放置してはいけない(カリフォルニア州)。
・ロサンゼルス市では24時間(ニューヨーク市の場合は12時間)の間に、3時間以上犬を繋留したままにしておくと虐待に当たる。
ペットショップは、アニマルシェルターもしくはレスキューセンターなどの動物保護施設から受け入れた子犬や子猫、ウサギ以外を販売してはいけない(カリフォルニア州)。
いかがでしたか?ペット先進国には、犬の飼育や販売者が守らなければならない細かな法規制がたくさんありますね。 日本はペットに関してまだまだ発展途上国と言われていますが、2019年6月には改正動物愛護法が公布され、ペットとの関係も少しずつ変わりつつあります。各国のペット福祉に対する取り組みから、日本が学べることはたくさんありそうですね。
江野 友紀/認定動物看護士
地域密着型の動物病院にて、動物看護士として14年ほど勤務。看護業務の合間にトリミングもしています。
ドッググルーミングスペシャリスト、コンパニオンドッグトレーナーの資格を保有。
普段の仕事では、飼い主様の様々な疑問や悩みを解消できるよう、親身な対応を心掛けています。
ライターの仕事を通して、犬と人が幸せでより良い生活を送るためのお手伝いさせていただきたいです。