ピカルディシェパードの歴史は非常に古い起源を持っているとされています。フランス北東部ドーバー海峡に近いピカルディ地域圏が原産ですが、北西ヨーロッパ全体で、長いコートを持った牧羊犬が一般的だったため、それが広まった可能性もあります。 羊を誘導する牧羊犬としての能力だけでなく、外部の人間や害獣などから家畜を守る護警犬としての特性も素晴らしかったため、この地方では非常に大切にされてきたのだとか。
1863年、初めてピカルディシェパードはドッグショーで審査され、1898年にピカルディシェパードが独立した犬種であることが明らかになりました。また1925年にFCI(国際畜犬連盟)においてスタンダードの承認を得ました。第二次世界大戦の戦火によって頭数が激減してしまいますが、復活を熱望する愛好家たちの努力によって繁殖が続けられています。1955年にはレアミデュベルガーピカードクラブが設立されており、本来の牧羊犬としてだけでなくコンパニオンドッグとしても愛されているのです。
FCIが定めたクラスによれば、グループ1に該当する「山犬とスイス原産犬を除いた牧羊犬」となっています。 スイス原産の、バーニーズ・マウンテン・ドッグやホワイト・スイス・シェパード・ドッグなどの牧羊犬とは違う種類だという認識されています。
ピカルディシェパードをはじめ、ベルジアン・シェパード・ドッグやダッチシェパードなど、血統の近い犬たちは、長くフランス北東部やベルギー、ドイツ北西部などで活躍してきたということになります。
ピカルディシェパードは陽気で物怖じしない性格をしています。人に懐きやすい性格と表現されることもありますが、実際には家族を愛すると表現した方が良いかも知れません。そのため家族に対しては愛情深く接し、従順である反面、見知らぬ他人に対しては警戒心を抱くことがあります。
牧羊犬としての資質ゆえに、自分で考えて行動する能力に富むため、独立心はやや強いと言えます。他の犬とうまく仲良くできるとは限りませんし、生まれつきの狩猟本能があるため、猫や小動物を追いかけようとする習性があります。
非常に賢く、独立心が強いため、飼い主さんをいかにリーダーとして認めさせるかがポイントとなります。 ピカルディシェパードの興味と関心を維持するために、しつけにあたっては「多様性や刺激」が必要となるでしょう。コマンドをうまくこなせた時のご褒美や、数種類のトレーニングを組み合わせることによって、集中を持続させることがしつけの近道となります。 初心者の方でも、犬に対する熱意や一貫性を持続できるのであれば、高い水準のしつけも可能となるでしょう。
愛嬌のある見た目が特徴のピカルディシェパードですが、実はかなりの大型犬種です。体重や運動量など健康面について解説していきましょう。
ピカルディシェパードのオスの体高は約60~65cm、メスで55~60cmとなっていて、平均体重は約23~32kgほどです。
ピカルディシェパードのかかりやすい病気として、大型犬特有の股関節形成不全(CHD)がありますが、肥満によって発症することも少なくないため、普段からの体重管理はしっかりとしておくべきでしょう。
ピカルディシェパードの毎日の散歩は、1日最低2回ほど。それぞれ1時間程度が望ましいでしょう。猫などを見かけると追いかけてしまう部分があるため、散歩に関してはしっかりと飼い主さんがリードする必要があります。また大柄な体格に似合わず、動きも非常に敏捷ですから、定期的にドッグラン等で走り回ることも大切です。
ピカルディシェパードの平均寿命は約12~13年程度とされており、どちらかと言えば長寿の傾向にあります。とはいえ個体差もありますし、環境によって左右されることも考えられますから、日頃からストレスが溜まらないようにすることが大切です。
被毛構造はダブルコートとなっています。大きな特徴は、粗くてやや硬く、触るとクリスピー感のあるオーバーコートでしょうか。5~6cm程度の長さの被毛が頭から尻尾の先まで生えています。また緻密なアンダーコートは保温性があり、冬でも寒さ知らずです。
長めの被毛は毛玉になりやすいため、小まめなブラッシングが求められます。また暑い気候が苦手のため、夏場には短めにカットする飼い主さんも多いようです。
ピカルディシェパードはフランスの一部地域でしか暮らしていませんし、一時は頭数も激減したため、世界的に見ても珍しい犬種だと言えます。日本ではドッグショーなどで見られることがあるかも知れませんね。もしお目にかかることがあれば、ヨークシャー・テリアを何倍も大きくしたような風貌が印象に残りそうですね。