多いときだと週3日、愛犬ペコと一緒に山へ入る我が家では、1か月に1回食べさせるタイプの駆除薬と、マダニが嫌がる周波数を出す超音波タイプのものを併用して使いながらマダニの予防を行っています。
そして、家に入る前には身体にマダニがついていないか必ずチェックし、とくにマダニが活発になる夏のシーズンは、山へ行かなくとも普段の散歩のあとでも必ずチェックしています。
自宅では色々な対策をしているとは言え、マダニがたくさんいる山を走るぼくらにとっては、基本的な知識だけでは対応できないのではないか、そして情報発信を行っている身としてもっとマダニについて詳しく知り、みなさんの愛犬を守ることはできないのかと思いました。
そして、個人的にこれまでいろんな情報を調べてきましたが、調べれば調べるほど、どの情報が正しいのかわからくなり、深みにハマるまさにマダニ沼。
この沼を抜け出すために docdog でも様々な記事を監修している動物予防医療普及協会の獣医師の【安 亮磨】先生にご協力いただきました。
神奈川県の動物病院勤務(総合診療科・歯科担当)。
多くの救急症例と対峙する診療経験を経て、予防医療・予防ケアを普及させるため『飼い主さまが知ることで、行動することで防ぐことができるペットの病気や怪我があります』というメッセージとともに情報発信を開始。
2018年に一般社団法人 動物予防医療普及協会を設立し、現在は全国各地で予防医療の啓発活動を行う。
様々な飼い主の方と話をすると、意外とダニが付くリスクを知らない人も多く、逆にネットを見るとダニの恐ろしさばかり。ぼく自身もペコと一緒に山に入ると色んな疑問が沸いてきました。
早速、安先生にオンラインインタビューをしてみました。
早速ですが安先生、いったい何頭くらいの犬がマダニが原因で動物病院を受診しているのでしょうか?
獣医師は、マダニの症例について行政に報告する必要はないため、日本全体での受診数は分からないのが現状です。
しかし、2011年のある調査で、102の動物病院に来院した犬・猫のうち、犬730頭/猫104頭からマダニが検出されたという報告があります。マダニと接触しやすいような地域性もあるとは思いますが、受診数にこだわらずしっかりと予防することが大切です
なるほど...。犬の場合は、単純計算でひとつの病院につき7頭以上が来院しているという調査結果があるのですね。
では、マダニが媒介する感染症によって亡くなってしまう犬はどのくらいいるのでしょうか?
マダニが媒介する病気にバベシア症があります。ある動物病院の調査によると、バベシア症と診断した237例中13例(5.4%)が死亡したという報告があります。
また、同じくマダニが媒介するSFTS(重症熱性血小板減少減少症症候群)は、現時点では有効な治療法がみつかっていません。2017年のある調査では、発症した7例の犬の致死率はおよそ30%でした。
マダニが媒介する病気次第で違うようですが、中には致死率の高いものもあるのですね。
それでは、マダニによる感染症に対して、特に注意が必要なエリアはありますか?
日本国内において、バベシア症の主な流行地域は西日本・九州・沖縄地方ですが、東日本以北でも報告されています。SFTS(重症熱性血小板減少減少症症候群)は、2019年の時点では西日本エリアで報告されています。
しかし、マダニが媒介する感染症は他にもいくつかあり、北海道や関東でも気を付けなければならないことを覚えておきましょう。
全国的に油断なりませんね。
最後に、マダニの感染タイミングはいつなのでしょうか?また、結局のところ予防法は何が正しいのでしょうか?
多くの感染症は、マダニに噛まれることによって細菌やウイルスに感染すると考えられています。
その予防法は、1か月に1回背中に垂らすスポットタイプや、おやつ感覚で投薬するチュアブルタイプなど、さまざまな予防薬が動物病院で処方されていますね。
予防薬の中にはマダニが噛む前に駆虫するものもありますので、かかりつけの獣医師に愛犬の体調やお住まいの地域によって適しているものをご相談ください。
予防薬以外の予防方法として、犬に服を着せてマダニを皮膚に触れさせないようにしたり、お散歩のあとに全身をくまなくブラッシングして噛むまえのマダニを落とす、などがあります。
また、現在はマダニが嫌がる周波数を出す超音波タイプの機器も研究が進んでいると聞いております。
山だけでなく、ぼくらの身近に潜んでいるマダニから犬を守るためにできることは噛まれるリスクを減らすこと。服を着せたり、帰ってきてからのブラッシング・マダニの付きやすい場所のチェックなど。普段からのコミュニケーションが愛犬を守る行動に。
僕たちなら?やればできる!!
「連載|ペコと僕のアウトドアライフ」記事一覧