
まずグレートデンの子犬が生まれるまでを見ていきましょう。巨体が自慢のグレートデンですが、他の犬たちとは何か違うのでしょうか?
犬の種類によって妊娠期間に違いはありません。それは身体の小さなチワワであっても大きなグレートデンでも同じことです。 早ければ妊娠20日以降に超音波検査などで妊娠の兆候がわかり、妊娠28日ともなれば胎児の心臓の脈動が見られます。 通常は妊娠してから63日程度で出産を迎えます。個体差もあるため、その前後2~3日の誤差があることも一般的です。
同じ哺乳類である人間の妊娠期間は約270日、馬は約330日、キリンは約450日、ゾウはなんと約660日(ほぼ2年間)となっていますので、それらと比べると犬の妊娠期間は短め、と言えます。
犬の場合、大型犬の方が出産頭数が多くなる傾向にあるため、生まれる頭数は7~10頭あたりが平均値となります。出産年齢が高くなると少なくなることもあります。グレートデンの場合、2019年にアメリカアリゾナ州で1回の出産につき、19頭が生まれたという記録もありますから、多産傾向にあると言えるかもしれませんね。
グレートデンの場合、遺伝子プールに制約があるために、被毛がハルクイン(白と黒の斑模様)同士の交配は禁忌とされています。生まれてきたとしても致死や難聴といった障害が起きやすいためです。
次にグレートデンの子犬の成長スピードを見ていきましょう。大型犬の場合、小型犬に比べて体重の増加率(成長率)が高いとされていますが、グレートデンの場合はどうなのでしょうか?
子犬が生まれたばかりの体重は1kg未満の場合が多くなっていますが、わずか数ヶ月で成犬と同じくらいの大きさに成長するのが特徴です。食欲も旺盛で、生後2ヶ月くらいまでは数百グラムの単位で体重が増加していきます。
体格は飛躍的に大きくなるものの、いっぽうで骨格や筋力は未成熟の状態ですので、生後6ヶ月以降はゆっくりと成熟していきます。胸幅も大きくなり、四肢もたくましくなっていきます。立派な成犬になるまでに1~2年かかるとされていますね。
グレートデンの子犬をブリーダーさんから迎え入れる時期は、生後2ヶ月以降の社会化期となります。母犬から離れ、社会化を経て、心身共に成犬へと成長する大切な時期です。子犬を迎えたら気を付けるべき点を見ていきましょう。
グレートデンは大型犬の中でも大食漢です。特に子犬の時期は急速に骨格や筋肉が成長するため、一般的な子犬が食べるフードの量では追い付きません。かといって食べさせ過ぎると未発達な消化管に負担を掛けてしまうため、必要なエネルギーを効率良く摂取できるような消化性の良いものを選ぶことがポイントです。
例えばL-カルニチンのように脂肪の代謝に関わる栄養素が含まれているフードなど。また鶏などの肉類、大豆、食物繊維が配合された、消化と腸内環境に配慮したフードなどが必要となります。
家に子犬を迎えることで、初めての様々な経験をすることでしょう。その際のポイントや注意点などを解説してきますね。
獣医師に相談した上で、最後のワクチン接種から2週間経た時点であれば安心して散歩に出かけられます。とはいえ子犬はまだまだ成長途上ですから、飛んだり走り回ったりといった激しい運動は避けて下さい。股関節や膝関節がまだ安定していないため、思わぬケガの原因となるからです。
シャンプーに関しては、散歩を始めるタイミングと同時期で良いでしょう。グレートデンは短毛ですから、もし被毛が汚れたら優しく拭き取るだけで充分です。
日常生活に不可欠なしつけとして、トイレトレーニングは家に迎え入れてからすぐに実施してください。また簡単な呼び戻しやアイコンタクトもすぐに可能です。また成長するに従って体重が飛躍的に増えるため、散歩の際に引っ張られてしまうリスクが出てきます。散歩デビュー前のリーダーウォークはしっかりすることが大切ですね。
グレートデンが成犬になるまでに気を付けたい病気として、以下のようなものがあります。
・股関節形成不全
・首周りの神経が圧迫されるウォブラー症候群
いずれも大型犬特有の病気です。特に成長期には骨格や筋肉が未発達のため、過度な負担を掛けることによって発症します。
急激に成長するグレートデンの子犬ですが、見た目は成犬そっくりでも、やはり骨格や筋肉が成長途上にあると言えるでしょう。 バランスの良い食餌、適度な運動量によってグレートデン特有のたくましい体つきに成長してほしいものですね。
グレートデンの堂々たる体格と迫力は、外敵にとって畏怖される存在であり、家族にとっては頼りがいのある存在だと映るでしょう。「優しき巨人」と呼ばれる所以もそんなところにあるのでしょうね。しかし、成犬になるまでに体格は立派に成長しても、精神的にはまだまだ子犬の域を出ていないもの。きちんとトレーニングしつつ、優しく見守ってあげたいものです。
明石 則実/動物ライター
フリーライターとして動物関連や歴史系記事の執筆を多数おこなう。柴犬と暮らす傍ら、趣味の旅行や城めぐりで愛犬と駆け回る週末。
愛犬家の皆さんにとって、お悩みを解決したり、有益な情報を発信することを心掛けています。