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健康管理 / 病気

2020.07.10

犬とミネラルのちょうどいいバランスとは?多すぎると過剰症、足りないと欠乏症に。

犬の体を構成するために必要な栄養素がミネラルです。ミネラルには、主要ミネラルと微量ミネラルの2種類があり、そのどちらも犬の体には必要な栄養素ですが、多すぎると過剰症、少ない時には欠乏症を発症することがあるため、与え方には注意が必要です。また、ミネラルは相互作用があるためどれか一つが欠けてもよくありません。
今回は、そんなミネラルの役割や過剰摂取、欠乏症で起こる体調不良、摂取する際の注意点などを解説します。

Author :西村 百合子/ホリスティックケア・カウンセラー、愛玩動物救命士

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犬にとってのミネラル、どんな役割を果たす?

犬 ミネラル

ミネラルとは、酸素、炭素、水素、窒素以外のものの総称で、無機質とも呼ばれています。

ミネラルの働きは、細胞や神経、筋肉の機能、体液のPH調整、筋肉や骨の元となる犬の体の組織を構成するために必要な栄養素で、カルシウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、リンなどがあります。

ミネラルは犬の体内で生成できないため、食事から摂取する必要があります。

犬に必要なミネラルは11種類

犬 ミネラル

ミネラルは、犬が健康で過ごすために必要不可欠な栄養素ですが、必要な量は微量です。
犬に必要なミネラルは、基本的には11種類とされています。そのうち、犬の体内に存在しているミネラルを主要ミネラルと呼び、体を構成する大切な栄養素となっています。

主要ミネラル6種

犬に必要な主要ミネラルは、カルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、マグネシウムの5種類。また、微量ミネラルは、鉄、銅、亜鉛、マンガン、セレン、ヨウ素の6種類とされています。ここでは、代表的なミネラルの働きについてご紹介します。

犬にとって重要なミネラル【カルシウム】

骨や歯の構成成分となるカルシウムは、筋肉の収縮、血液を固める、神経伝達、細胞膜の透過性に影響を及ぼすなど生体維持に必要な働きをする体の中に最も多いミネラルです。

カルシウムと密接な関係にある【リン】

ミネラルの次に多いリンは、カルシウムと結びつき骨や歯の形成や体内のさまざまな細胞や重要な成分を構成し、PH調整や心臓、腎臓機能の維持、神経伝達などに関わります。

塩分調整をする【カリウム】

カリウムは、塩分を排出する機能として知られていますが、この他に細胞内の浸透圧の調整や筋肉の収縮、Sん系刺激伝達、エネルギーを運ぶ役割などを担っています。

骨の構成成分でもある【マグネシウム】

骨に多く含まれているマグネシウムは、神経の伝達、エネルギーの生成サポート、炭水化物と脂質の代謝に関わるミネラルです。

犬にも必要な【ナトリウム】

犬に塩分は不要とよく言われていますが、塩分の成分であるナトリウムは、カリウムとともに働くミネラルです。細胞の水分バランスを保ち、神経刺激伝達や老廃物の排泄などに関わります。

貧血予防に欠かせない【鉄】

犬の体内でヘモグロビンの生成に関わる鉄は、不足すると貧血になったり疲れやすくなったりするミネラルです。

吸収されにくいけれど大切な【亜鉛】

亜鉛は、食事から吸収されにくく不足しがちなミネラルです。亜鉛は、200種類にも及ぶ酵素の構成成分で、不足すると、被毛のパサつきや皮膚のかゆみ、脱毛などのトラブルが発症します。また、傷の治癒、成長速度の調整などに働くミネラルです。

犬とミネラル、大切なのはそのバランス

犬 ミネラル

人間に必要とされているミネラルは、16種類あるとされています。犬の場合は、約11(~12)種類とされていますが、これらのミネラルはバランスが大切です。

例えば、犬にはカルシウムが大切だと言われているからと、カルシウムばかり与えても、カルシウム単体では犬の体に役立ちません。カルシウムを上手に吸収するためにはリンが必要で、このバランスが崩れると犬の体に悪影響を与えてしまうのです。

過剰摂取に気をつけたいミネラル4種

  1. カルシウム
  2. リン
  3. マグネシウム
  4. カリウム

ミネラルは、多すぎても少なすぎても犬の体に悪影響を与えてしまいます。どのミネラルも過剰摂取は避けたいところですが、特に過剰摂取を避けたいミネラルは、カルシウムマグネシウムカリウムリンです。この4つのミネラルは、過剰に摂取することで犬の体調に大きな影響を与えるため注意が必要です。

カルシウム

カルシウムを過剰に摂取すると、甲状腺機能の低下や骨の形成異常を起こすことがあります。

リン

カルシウムと密接な関係にあるリンは、ストルバイト結石や慢性腎臓病を発症する可能性が高いことから注意が必要なミネラルです。

マグネシウム

カルシウム、リンの摂取量に影響を受けるマグネシウムですが、過剰に摂取することで痙攣、神経障害などのリスクがあります。

カリウム

カリウムは、心臓や腎臓に負担となり重篤な症状を引き起こす可能性があります。

不足に気を付けたいミネラル5種

  1. カルシウム
  2. マグネシウムv
  3. ナトリウム
  4. 亜鉛

犬に必要なミネラルは微量ですが、少なすぎることで欠乏症を発症することがあります。
どのミネラルも適量の摂取を心がける必要がありますが、特に欠乏に気をつけたいミネラルは、カルシウムマグネシウムナトリウム亜鉛の5種類です。

カルシウム

犬にとって欠かせないミネラルであるカルシウムが不足すると、四肢の変形、痙攣、跛行、神経過敏、骨折しやすいくなるなどの症状が現れることがあります。

マグネシウム

マグネシウムは犬の体のエネルギー代謝に関わるミネラルです。不足することで痙攣、食欲不振、体重減少、筋肉が弱くなる、運動したがらない、骨や大動脈の石灰化などが起こります。

ナトリウム

ナトリウムには、細胞内の水分バランスを保つ働きがあります。ナトリウムが不足すると、長期間の下痢や嘔吐、副腎皮質の機能不全、脱毛、元気がないなどの症状が現れます。

血液のもととなるヘモグロビンの生成に関わる鉄は、不足することで貧血を招くことで知られています。また、貧血が続くことで、元気がない、運動したがらない、毛艶が悪い、免疫力の低下、食欲がないなどの症状や成長期には発達の遅れなどが生じます。

亜鉛

人も犬も吸収されにくいミネラルが亜鉛です。総合栄養食であるドッグフードには亜鉛が配合されていますが、他に配合されている原材料との組み合わせによっては吸収が阻害されてしまうため注意が必要です。亜鉛が不足すると、皮膚トラブルや脱毛、被毛の脱色などが起こる可能性があります。また、傷が治りにいときには亜鉛不足が歌われます。

犬に必要なミネラルの摂取量とは?

犬 ミネラル

ミネラルは、犬の生体機能維持に必要不可欠な栄養素です。

AAFCO(米国飼料検査官協会)では、各ミネラルの摂取量の必要最小量と摂取上限を定めています。多くの市販のドッグフードでは、AAFCOの基準に合わせたミネラルの配合を行っています。しかし、吸収されにくいミネラルやミネラル同士のバランスが適正ではないと、どちらかのミネラルが過剰または不足となってしまい犬の体内で正常に働かなくなる可能性があります。

ミネラルが不足していると、食糞、食欲不振、土や石を食べようとする、汗をかいている人の手を舐めるなどの行動を見せる場合があります。もし、ミネラルが不足していると感じた場合には、サプリメントで補うようにすることがおすすめです。

カルシウムとリンのバランスは特に注意!

特に気をつけたいミネラルバランスはカルシウムとリンで、カルシウム:リン=1:1~1:2のバランスが推奨されています。

摂取する際の注意点

ミネラルは、バランスが大切な栄養素です。摂取しすぎて過剰症になったり、不足することで欠乏症を発症したりすることもあります。

基本的には食事から摂取する栄養素ですが、加熱によって壊れてしまうため手作り食の場合は注意が必要です。特に、注意したいのは亜鉛不足です。長期にわたる被毛トラブルを抱えている場合は、亜鉛不足の可能性もあります。

また、サプリメントなどでミネラルを補給している場合は、過剰となる可能性があるため注意が必要です。

犬とミネラルの関係で大事なポイントは「バランス」

犬 ミネラル

ミネラルは犬の健康に大きな影響を及ぼす大切な栄養素です。
どのミネラルも、過剰や不足は犬の健康に良くありません。もし、食欲不振や脱毛など気になる症状が見られたら、ミネラル不足を疑い動物病院で検査をしてもらうことがおすすめです。
また、ミネラルは加熱によって壊れてしまうため、手作りご飯派の場合は、生の野菜も積極的に取り入れてミネラル量を調整できるように気をつけてあげることも大切です。

◎ライタープロフィール
西村 百合子

西村 百合子/ホリスティックケア・カウンセラー、愛玩動物救命士、犬の東洋医学生活管理士2級

ゴールデンレトリバーと暮らして20年以上。今は3代目ディロンと海・湖でSUP、ウインドサーフィンを楽しむ日々を過ごす。初代の愛犬が心臓病を患ったことをきっかけに、ホリスティックケア・カウンセラーの資格を取得。
現在、愛犬のためにハーブ療法・東洋医学などを学んでおり、2014年よりその知識を広めるべく執筆活動を開始。記事を書く上で大切にしていることは常に犬目線を主軸を置き、「正しい」だけでなく「犬オーナーが納得して使える」知識を届ける、ということ。

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