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健康管理 / 病気

2020.07.11

【獣医師監修】犬も高齢化で認知症が増えている?初期症状を知っておこう

獣医療の発展や飼育および食環境の変化により、犬の高齢化が進んでいます。寿命が延びることは嬉しい限りですが、人間と同様に犬も高齢化に伴い認知症になるケースが増えています。認知症は放っておくとどんどん悪化するので、愛犬が今までと違う行動をするようになったら、早めに対処することが非常に重要です。この記事では、犬の認知症の症状や治療法、飼い主さんが日頃からしておきたい予防法を解説します。

Author :新井 絵美子/動物ライター(監修:加藤 みゆき/獣医師)

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犬の認知症ってどんな症状?

犬 認知症

犬の認知症は病名ではなく、認知機能の低下による行動変化の総称で、正式には認知機能不全症候群と呼びます。多くの場合、認知症は徐々に起こり始め、症状がゆっくりと進行していきますが、何かの病気の発症や回復後や、環境の変化、突然の騒音などによって、急に悪化する場合もあります。

症状の進行を遅らせたり、改善したりする方法があるので、愛犬が認知症かもしれないと思ったら、早めに獣医師の診察を受けるようにしましょう。

初期症状

認知症になると、以下のような症状が見られるようになります。

・愛犬の名前を呼んでも反応しない
・トイレを失敗することが多くなる
・ぼんやりとしており、何事にも無反応
・マテやフセなどの学習してできていたことができなくなる
・触ろうとすると急に怒ったり、怯えたりする
・同じ場所でぐるぐる回る
・狭いところに入ると、後ろに下がれず自分で出られない
・食事をしたばかりなのに、またすぐに食べたがる
・昼夜逆転した生活リズムになり夜鳴きをする

これらの症状の中で1つでも当てはまるものがあれば要注意です。愛犬の様子が少しおかしくても、「高齢になったから、仕方ないのかな」と思うだけで、そのまま過ごしてしまうといったケースも少なくありません。今までと違う行動が見られるようになったら、認知症による行動変化なのかを獣医師に確認してもらいましょう。

他の犬や人にうつる?

認知症は、他の犬や人にはうつりません。

犬の認知症|考えられる原因とは?

犬 認知症

認知症の詳しい原因は分かっていませんが、以下のことが原因と考えられています。

加齢に伴い脳に老人斑が形成されるため

加齢に伴い、脳に老人斑が形成されることが原因と考えられています。老人斑とは、アミロイドβと呼ばれるタンパク質が神経細胞と神経細胞の間に蓄積したもので、この老人斑により脳の機能の低下や神経細胞の減少が促進されると考えられています。

脳の疾患

脳腫瘍や脳梗塞、脳出血、水頭症、ジステンパー脳炎など、脳の疾患が起因している場合もあります。

かかりやすい犬種や年齢

犬の認知症は、12?13歳頃から症状が出始める傾向にあります。犬種や体のサイズを問わず起こり得ますが、日本犬は認知症になりやすい傾向にあり、その中でも特に柴犬がかかりやすいと言われています。

愛犬が認知症に。治療法はある?

犬 認知症

犬の認知症の特効薬は、現段階では残念ながらありません。そのため、食事療法や生活習慣の改善のほか、必要に応じて症状の緩和や進行を遅らせることを目的とした薬物療法を行います。

認知症の症状は、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)などの脂肪酸や、βカロテンやビタミンC、ビタミンEなどの抗酸化作用のある成分を摂取することで改善することがあるので、これらの成分をしっかりと摂取できるような療法食やサプリメントを与えたりします。

また、神経伝達物質を増やす薬や、夜鳴きをやめさせるために鎮静剤を投与することもあります。なお、夜鳴きに関しては、体内時計をリセットして夜寝るようになってくれれば、薬を使用しないで済みます。夜になったら眠れるように、日中は愛犬と一緒に遊ぶなどして、たくさん活動するように促しましょう。

治療にかかる費用

認知症の治療にかかる費用は、通院1日あたり5,500円程度が目安です。この費用には、診察料や神経的検査料、処置料が含まれます。薬が処方された場合は、プラスして薬代もかかります。

犬の認知症|予防法が知りたい!

犬 認知症

脳に適度な刺激を与えることで、認知症の予防になります。知育おもちゃで一緒に遊ぶ、他の犬や家族と触れ合うようにする、いつもと違う散歩コースにして変化を持たせる、愛犬とスキンシップを多く取るなど、刺激となることを取り入れるようにしましょう。

また、筋力が低下し体を動かせなくなってしまうと、認知症のリスクが高まります。激しい運動をさせる必要はありませんが、毎日散歩に連れて行き、筋力を維持するよようにしましょう。
認知症により、旋回運動や家具に頭をぶつけたり隙間に入り込んで出られなくなってしまう場合は、円形のサークルを用意してあげるなど工夫してあげるとよいです。

再発する可能性

犬の認知症は完治できないので、症状が落ち着いても治療を中断したら再び悪化してしまったということも少なくありません。もし症状が悪化してしまったら、早めに獣医師に相談して対処するようにしましょう。

愛犬が認知症になったら。向き合い方

犬 認知症

愛犬が認知症になり、今までと違う行動をする姿に、最初はなかなか受け入れられず戸惑ってしまうかもしれません。しかし、食事療法や薬物療法、生活にメリハリを持たせるなどによって、症状の改善が見込めるほか、進行を遅らせることができます。愛犬と知育おもちゃで一緒に遊んだり、散歩コースを変えたりなど、愛犬にとって適度な刺激になることを取り入れるように心がけ、症状の悪化を防ぐようにしましょう。

◎監修者プロフィール
加藤みゆき 獣医師

加藤みゆき/獣医師

日本獣医生命科学大学(旧・日本獣医畜産学部)を卒業後、獣医師として埼玉県内の動物病院にて犬・猫・小鳥の小動物臨床とホリスティック医療を経験。その後、小動物臨床専門誌の編集者を勤めた後、現在は都内の動物病院にて臨床に従事。
日々発展する小動物臨床の知識を常にアップデートし、犬に関する情報を通じて皆様と愛犬との暮らしがより豊かなものとなるように勉強を重ねて参ります。

◎ライタープロフィール
新井 絵美子 動物ライター

新井 絵美子/動物ライター

2017年よりフリーランスライターとして、犬や動物関連の記事を中心に執筆活動をおこなう。
過去に、マルチーズと一緒に暮らしていた経験をもとに、犬との生活の魅力や育て方のコツなどを、わかりやすくお伝えします。

  • 更新日:

    2020.07.11

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