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健康管理 / 病気

2020.07.05

犬の避妊手術のメリットとは?準備や費用・手術後に気を付けること

メスの犬を迎えるにあたり、考えなければならないのが「避妊手術」です。オス犬の場合は去勢手術と言いますね。避妊手術をするのかしないのかは飼い主さんの考え方次第なので、どちらが正解ということはありませんが、避妊手術をすることで得られるメリットもあります。そこで、今回は飼い主さんが避妊手術をする理由や避妊手術前の準備、かかる費用、手術後に気を付けるべきことなどを解説します。

Author :監修:加藤 みゆき/獣医師(文:新井 絵美子)

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犬の避妊手術が選ばれる理由・メリットとは?

犬 避妊手術

犬の避妊手術をすると以下のようなメリットがあることから、手術をするという選択を取る飼い主さんも少なくありません。

1.乳腺腫瘍や子宮蓄膿症の病気予防になる

避妊手術をすると乳腺腫瘍や子宮蓄膿症の発症リスクを減らせます。発生した乳腺腫瘍が悪性の場合は、肺などに転移し死に至ることもあります。

しかし、初回の発情前に避妊手術をしておくと、99%以上もの非常に高い確率で発症を防ぐことができます。初回の発情を迎えてからでも手術は可能ですが、予防できる確率はどんどん下がっていくので、初回発情期前に避妊手術をするのは大きなメリットと言えるでしょう。

子宮蓄膿症は、老犬に多く見られる病気で、子宮内に膿が貯まり手当てが遅れると命に関わる病気です。また、手術による外科的治療の際、麻酔のリスクが懸念されます。避妊手術をしておけば子宮蓄膿症も予防でき、このようなリスクを回避できます。

2.発情によるストレスを減らせる

発情期間中は落ち着きがない、食欲減退、オスのそばに行きたがるなど、いつもと違った様子になります。また、いつもより神経質になり、ストレスを感じやすくなる犬もいます。避妊手術をすると発情することがなくなり、このような発情に伴う行動をしなくなるため、ストレスを減らしてあげられます。

3.希望しない妊娠を回避できる

オス犬は、メス犬のヒートに反応して発情するので、避妊手術をしていないと、発情したオス犬につきまとわれるようなこともあります。よって、避妊手術をしておけば、希望しない妊娠を回避できます。

4.生理トラブルを減らせる

これはあくまで世話をする飼い主さん側のメリットになりますが、犬にも発情期の前に7-8日間くらい、人でいう生理のような出血が見られます。出血量には個体差がありますが、床や部屋が汚れてしまうこともあります。ナプキンやオムツでカバーすることもできますが、避妊手術をすれば手間が省けると言えます。

犬の避妊手術のデメリット・リスクとは?

犬 避妊手術

一方で、犬の手術には一定のリスクも伴うものであることを知っておかなければなりません。

避妊手術は全身麻酔

犬の避妊手術は、全身麻酔をかけて行います。麻酔はどんなに健康的な犬であっても100%安心とは言い切ることができません。不慮の事故が起きるリスクはありますので、十分に説明を聞いて納得した上で、決断する必要があります。

避妊手術で太る?

避妊手術を受けると、代謝が落ちて体重が増えやすくなる傾向が見られます。繁殖に使っていた分のエネルギーが不要になるため、と言われています。避妊手術を受けたら愛犬が肥満にならないよう、フードや運動でしっかりと体重をコントロールする必要があります。

犬の避妊手術を行なうタイミングとは?

犬 避妊手術

続いて、犬の避妊手術を行なう適正な時期・タイミングについてお話します。

適正な時期は生後6ヶ月~若いうち

避妊手術は全身麻酔をして行うことから、リスクを考えると体力のある若いうちにすることが望まれます。初回の発情期は生後6ヶ月~12ヶ月頃なので、犬を迎えて避妊手術させることを予定しているのであれば、初回発情期の前に獣医師に相談しておくようにするといいでしょう。

病院選び

犬の避妊手術をしたことがある人が身近にいる場合は、手術をした動物病院の感想を聞いてみることがおすすめです。避妊手術のメリットやデメリット、手術後のケアについてなどを獣医師が事前にきちんと説明してくれるのかを知ることができます。また、動物病院の口コミサイトなども参考になりますね。安心できる動物病院で納得のいく避妊手術をしてもらいましょう。

犬の避妊手術前後の流れ・準備することは?

犬 避妊手術

犬の避妊手術をすると決めたら、どのような流れで当日を迎えるのでしょうか?解説していきます。

動物病院を予約

動物病院の獣医師先生に相談して、適切な時期を決めていきましょう。できれば手術の日までに愛犬を動物病院に慣れさせておいてあげると安心です。健康診断に行ったり、病院まで散歩するのもいいかもしれませんね。

手術前検査

避妊手術を安全に行うために、事前検査を受ける必要があります。一般身体検査や血液検査、レントゲン検査などを行い、麻酔をしても大丈夫な健康状態かをチェックします。

手術当日

全身麻酔の前は基本的に絶食となります。麻酔をしているときに食べ物が逆流してしまい、気管に入ってしまう危険性があるため、となります。お水を飲むのも禁止される場合があるので、事前に注意事項をしっかり聞いてメモしておきましょう

犬が避妊手術をするときは入院が必要?費用は?

犬 避妊手術

避妊手術後は入院が必要なのか、費用はどれくらいかかるのかなども頭に入れておきましょう。

入院は必要?

基本的に避妊手術後は1泊入院し、健康状態や傷口の経過が良好かを確認したのち、問題なければ翌日に自宅に連れて帰ります。

かかる費用は?

避妊手術にかかる費用の相場は、術前検査料や麻酔料、投薬料、鎮痛処置料、入院料(1泊)などを含めて、3~7万円ほどです。体のサイズが大きくなるほど、費用が高くなります。

犬の避妊手術後のケア方法とは?

犬 避妊手術

ここでは避妊手術後、シャンプーを再開してよい時期や健康管理で気をつけることを解説します。

シャンプーを再開してよい時期

一般的に手術してから7~10日後に抜糸をしますが、シャンプーができるようになるのは、抜糸をしてから3日経ってからです。それまでは傷口が十分にくっついていないので、シャンプーはできません。

食事や健康管理で気を付けること

避妊手術後は、性ホルモンの代謝などの繁殖にまつわる活動量が減り、基礎代謝も低下します。そのため、手術前と同じ量を与えると肥満になってしまうので、1割程度減らして与える、もしくは避妊・去勢犬用に栄養バランスが調整されたフードに切り替えるなどして、食事管理をする必要があります。

また、傷口を過剰に舐めてしまうと炎症を起こすことがあるので、エリザベスカラーを装着させたり、術後服を着せたりして傷口を保護するようにしましょう。

家族や獣医師とよく相談したうえで愛犬の避妊手術を判断すべし

犬 避妊手術

犬の避妊手術は、病気の予防や発情によるストレスを減らせるなどのメリットがありますが、麻酔のリスクなどもあることから、手術をさせるのが心配という方もいるかと思います。避妊手術に対する考え方は、それぞれの飼い主さんで異なります。そのため、家族で話し合うことはもちろん、獣医師さんにも相談してから判断するとよいでしょう。

◎監修者プロフィール
加藤みゆき 獣医師

加藤 みゆき/獣医師

日本獣医生命科学大学(旧・日本獣医畜産学部)を卒業後、獣医師として埼玉県内の動物病院にて犬・猫・小鳥の小動物臨床とホリスティック医療を経験。その後、小動物臨床専門誌の編集者を勤めた後、現在は都内の動物病院にて臨床に従事。
日々発展する小動物臨床の知識を常にアップデートし、犬に関する情報を通じて皆様と愛犬との暮らしがより豊かなものとなるように勉強を重ねて参ります。

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