magazine

健康管理 / 病気

2020.07.02

犬の歯並びが悪いのは矯正できる?4つに分類される正しい咬み合わせ・矯正方法を獣医師が解説

「犬の歯並び」というのは、ここでは『咬み合わせ』のことを指します。犬の永久歯は全部で42本ありますが、生まれつき咬み合わせの良くないコも一定数存在します。犬の歯の正しい咬み合わせとは一体どういう状態のことなのか?また歯並びが悪い場合には矯正ができるのか?等を解説していきます。

Author :監修:加藤 みゆき/獣医師(文:明石 則実)

この記事をシェアする

犬の正常な歯並びとは?

犬の歯並び

歯並びが良い子。すなわち正しい咬み合わせとはどういったことなのでしょう?犬の咬み合わせのパターンは主に4つに分類されます。

1.正しい咬み合わせのシザースバイト

上の前歯の裏面に、下の前歯の表面が接している状態で、まるでハサミのようにきっちりと咬み合っている状態を指します。 全ての犬の見本とも言える咬み合わせで、鋏状咬合とも呼ばれています。

2.前歯がかっちり咬み合ったレベルバイト

水平咬合とも呼ばれていて、上の前歯と下の前歯がペンチのようにぴったりと咬み合ってしまう状態を指します。

3.アンダーショット

下の前歯が、上の前歯より前に出た状態のことをアンダーショットと呼びます。しゃくれているように見えますし、多くの犬種のスタンダードでは許されていません。ただしブルドッグなどの短頭種ではアンダーショットであることが望まれています。

4.オーバーショット

オーバーショットとは上の前歯が前に出過ぎている状態で、下の前歯との間に大きな隙間ができます。いずれにしても犬は咀嚼をあまりしないため、日常生活に不便はありませんが、やはり見た目を気にされる方も多いと言えるでしょう。

愛犬の歯並びが悪い原因とは?

犬の歯並び

犬の歯並びが悪くなってしまう原因には、いくつかのことが考えられますが、飼い主さんが注意することで防げることもあります。その原因について解説していきましょう。

1.遺伝によるもの

ブルドッグやパグ、ペキニーズなどは生まれつきアンダーショットになるよう作出された犬種ですが、体を小さくするなど人為的に作出された犬種の場合、遺伝によって不正咬合の子犬が生まれてくることがあります。トイプードルやミニチュアシュナウザーなどがそれにあたりますが、親犬が不正咬合になるDNAを持っていた場合、遺伝する確率も高くなります。

2.乳歯遺残

永久歯と入れ替わるはずの乳歯が抜けずにいつまでも残っていて、永久歯の成長を阻害してしまうパターンです。 そのまま放置しておくと咬み合わせが悪くなったり、伸びた歯が歯肉を傷つけてしまうこともあります。

乳歯遺残に関しては、飼い主さんの注意によって防げることもありますので、歯の入れ替わりの時期はきちんと観察しておくといいでしょう。

3.外傷によるもの

子犬の頃に顎関節を骨折したり脱臼したりすると、関節のズレが起こったり、歯の成長がバラバラになることがあるため、不正咬合になってしまうことがあります。

愛犬の歯並びがガタガタ。矯正はできる?

犬の歯並び

基本的に犬は歯並び・咬み合わせが悪くとも生活に支障のないことが多いのですが、まれに歯が削れたり、歯肉を傷つけたりすることもあります。また飼い主さんの歯磨きが行き届かず、歯周病の原因になることもあります。そういった場合、犬の歯並びを矯正することは出来るのでしょうか?その方法を見ていきましょう。

犬の歯並びを矯正する方法|1.抜歯

乳歯遺残の影響などで咬み合わせが悪くなっている場合、原因となっている歯を抜くことで咬み合わせを矯正することは可能です。 抜歯は一般的な動物病院等でもお願いでき、麻酔を用いることにはなりますが、最も簡単な方法だと言えるでしょう。

犬の歯並びを矯正する方法|2.歯列矯正

専門の歯科を持つ動物病院等であれば歯列矯正は可能です。とはいえアンダーショットやオーバーショットを根本的に矯正するというのは、顎の切断手術を伴う可能性もあり、犬の苦痛を考えれば現実的ではありません。そういった意味では歯列矯正というよりも、咬み合わせを良くしてあげることに重点を置いた方が良いと言えます。

斜めに生えた歯を正常な位置に戻す場合、矯正器具を用います。麻酔下で歯に矯正用ボタンを取り付け、シリコン製のチェーンで引っ張るというものですが、定期的な点検が必要となり、完了するまで半年ほど掛かってしまいます。子犬の場合、矯正期間が短くて済みますので、なるべく早い時期に矯正しておいた方が良いでしょう。

生活に支障がなければチャームポイントとして受け入れて!

犬の歯並び

歯列矯正は犬にとって不快感を伴うものになります。歯並びが悪くとも生活に大きな支障がない限り、愛犬のチャームポイントだと受け入れてあげるのが良いかもしれません。子犬の乳歯が生え変わる時期には入念の観察をすることで、早めに獣医師に相談できるようにしておくといいでしょう。

◎監修者プロフィール
加藤みゆき 獣医師

加藤 みゆき/獣医師

日本獣医生命科学大学(旧・日本獣医畜産学部)を卒業後、獣医師として埼玉県内の動物病院にて犬・猫・小鳥の小動物臨床とホリスティック医療を経験。その後、小動物臨床専門誌の編集者を勤めた後、現在は都内の動物病院にて臨床に従事。
日々発展する小動物臨床の知識を常にアップデートし、犬に関する情報を通じて皆様と愛犬との暮らしがより豊かなものとなるように勉強を重ねて参ります。

この記事をシェアする