以下のリストに挙がっているのは、症例数の多い脱毛症の症状です。
愛犬の抜け毛が多い、部分的に激しく抜けるなどの様子がみられたら、脱毛症を意識しましょう。また、治っては再発する脱毛を繰り返している場合は、季節や食べもの、生活環境などをメモしておき、それらをまとめてから動物病院で診療を受けると原因が探りやすくなります。
チェック項目
犬の脱毛症の原因で最も多いのが、ノミ・ダニ・シラミなどの寄生虫です。首や尻尾、おしり、耳の中を激しくひっかくことが多い場合、寄生虫を疑ってみるのがよいでしょう。一度皮膚に湿疹が出ると、急速に全体に広がってしまうこともあるので早めにかかりつけの獣医師に相談するのがおすすめです。
また、犬種特有の皮膚疾患やマラセチア皮膚炎、甲状腺の機能低下なども皮膚に症状が出ることが多い病気です。
日頃使っているシャンプーが実は合わない、老化、食物アレルギー、そしてストレスも脱毛症の原因になります。いつ頃から、どのような症状かを詳しくまとめておくと動物病院を受診時に役に立ちます。
注意が必要なのは、シニア期に入った犬が身体の一部だけ脱毛している場合です。腫瘍ができると、その悪化に伴い患部が脱毛する場合があり、特にホルモンバランスが影響する卵巣腫瘍などは健康な被毛が保たれずに脱毛することがよくあります。
シニア期に脱毛がある場合は、速やかに獣医師に相談しましょう。
脱毛症は、病気のサインであることも考えられる症状です。「いつもかゆがってるけど、そんなものだから」「抜け毛の時期だし…」といった判断から、隠れている重大な疾患を見逃してしまうことがあります。
日頃から健康な皮膚被毛を保つ努力をすることが、病気のサインを早期に発見する大きなポイントとなります。
被毛の手入れを怠らず、愛犬の肌や体質に合う製品を使用することが非常に重要です。
犬種によっては皮膚病になりやすいコが多いこともあるので、どんなものが愛犬に合うのか分からないという場合は、トリミングサロンでプロのトリマーに相談してみるのも良い方法ですね。
脱毛症は、一度発症すると完治するまでに時間がかかる病気です。また、体の中の疾患と違い、見た目に分かりやすいので「いつになったら治るのだろう…」と心配になってしまいますよね。
脱毛症は、原因によって治療方法や治療にかかる機関が違うので、場合によっては根気強く治療に取り組まなければならないこともあります。焦らずに、しっかりと獣医師と相談しながら治療に取り組みましょう。
加藤みゆき/獣医師
日本獣医生命科学大学(旧・日本獣医畜産学部)を卒業後、獣医師として埼玉県内の動物病院にて犬・猫・小鳥の小動物臨床とホリスティック医療を経験。その後、小動物臨床専門誌の編集者を勤めた後、現在は都内の動物病院にて臨床に従事。
日々発展する小動物臨床の知識を常にアップデートし、犬に関する情報を通じて皆様と愛犬との暮らしがより豊かなものとなるように勉強を重ねて参ります。