愛犬の歯磨きをするとき、歯磨き粉は絶対に必要というものではありません。歯ブラシに水にをつけて磨くだけでもきれいにできます。
ただし、歯磨きが得意でない場合は、犬用の歯磨き粉を使うのもよいでしょう。歯磨き粉にはチキンやチーズ、ミルクなど、犬が好むフレーバーが含まれているものもあるので、歯磨きが楽しいというイメージを持たせるのに役立ちます。
そのほか、歯石予防のために酵素が入ったものや、口腔内の菌の繁殖を防ぐ成分が含まれているものなどもあります。そのため、愛犬のデンタルケアをしっかりとやりたい方にも、歯磨き粉の使用はおすすめです。
犬用の歯磨き粉は人間用と比べてコストがかかるため、人間用の歯磨き粉で代用できないかと思う方もいるかもしれませんが、犬に人間用の歯磨き粉を使うのはNGです。人間用の歯磨き粉を犬が使うと、中毒症状を引き起こすことがあるからです。
人間用の歯磨き粉には、キシリトールが含まれているものがありますが、キシリトールは犬にとって有害となる成分なので要注意です。
キシリトールの作用は人と犬とでは全く異なり、犬がキシリトールを摂取すると、インスリンを放出する力が強く働いてしまうため、血糖が低下し低血糖を招きます。低血糖になると昏睡や脱力、けいれんなどの中毒症状が現れます。
また、人間用の歯磨きは発泡剤や研磨剤なども含まれおり、歯磨き粉を飲み込んでしまうと、胃腸に障害をきたすともいわれています。そのため、キシリトールが含まれていない歯磨き粉でも使用するのは控えましょう。
犬用の歯磨き粉はバリエーションが非常に豊富ですが、その中から犬が好むフレーバー入りで、かつ安全性の高い犬用歯磨き粉を3つピックアップしてご紹介します。
ハチミツの王様といわれているマヌカハニーが含まれている、珍しいタイプの歯磨きジェルです。驚くべきことに成分中の50%がマヌカハニーなので、歯磨きが苦手であっても喜んで歯磨きをさせてくれることが期待できます。
マヌカハニーは優れた殺菌作用があることから、口臭の抑制や歯周病の予防に役立ちます。着色料や防腐剤、香料などの添加物は不使用なので、安全性を求める方にぴったりです。
オーガニックのアロエベラ液汁をベースに厳選された天然成分のみで作られた、柔らかいペースト状の歯磨き粉です。植物エキスがふんだんに配合されており、歯肉炎の予防をサポートしてくれます。嗜好性に富んだブルーベリー味になっているので、愛犬が楽しみながら歯磨きできるでしょう。
チキン、チーズ、ミルクフレーバーの豪華な3種セットの歯磨き粉です。遺伝子組み換え原料や、酸味料、合成着色料が不使用なうえ、人間用の化粧品や医薬部外品を製造している、厳しい安全基準のもとで製造されており、安全性の高い歯磨き粉といえます。
加えて、虫歯菌の抑制に有効な酵素が含まれているのも嬉しいポイントです。
犬の歯磨きは、歯磨き粉を使わなくてもきれいにできます。しかし、愛犬が歯磨きをあまり好きではない場合は、フレーバー入りの歯磨き粉を使用すると、気分をまぎらわしてあげられます。よって、愛犬の様子を見て適宜、歯磨き粉を活用するとよいでしょう。
加藤みゆき/獣医師
日本獣医生命科学大学(旧・日本獣医畜産学部)を卒業後、獣医師として埼玉県内の動物病院にて犬・猫・小鳥の小動物臨床とホリスティック医療を経験。その後、小動物臨床専門誌の編集者を勤めた後、現在は都内の動物病院にて臨床に従事。
日々発展する小動物臨床の知識を常にアップデートし、犬に関する情報を通じて皆様と愛犬との暮らしがより豊かなものとなるように勉強を重ねて参ります。
新井 絵美子/動物ライター
2017年よりフリーランスライターとして、犬や動物関連の記事を中心に執筆活動をおこなう。
過去に、マルチーズと一緒に暮らしていた経験をもとに、犬との生活の魅力や育て方のコツなどを、わかりやすくお伝えします。