
無添加と聞くと、なんとなく犬の体に良さそうなイメージがありませんか?無添加と表示されていると食品添加物を使用していない安全なドッグフードだと思いがちですが、ペットフード安全法で定められているペットに危険とされている添加物は農薬、重金属、有機塩素系化合物、カビ毒、メラミンなどで薬品の種類は人間のものと比べると多くありません。
また、常温で保存できるドッグフードには、必ずと言っていいほど保存料や酸化防止剤が含まれています。
無添加表示には、法律と定められた基準があるわけではないため、どのような保存料や酸化防止剤が使われているのかなど、原材料表示を確認することがとても大切なのです。
無添加と表示されているからといって、必ずしも安全なドッグフードだとは限りません。無添加表示にはオーガニックのような認証制度がなく、基準や規約もないため、着色料や合成保存料を使用していないだけでも無添加と表示することもできるのです。
手作り食のように、飼い主が自分で全ての食材を選ぶわけではないドッグフードの場合、完全無添加である可能性は少ないと思っていた方が無難です。
ただし、無添加と表示されているドッグフードには、化学的に合成された添加物が使用されていることはないため、無添加表示のないドッグフードに比べれば安全だと言えます。
厚生省によると、「食品添加物とは、食品の製造過程または食品の加工・保存の目的で使用されるもの」とされています。添加物は全てが悪というわけではなく、添加物の中にも犬の健康にとって危険なものと安全なものがあります。
例えば、保存食であるドッグフードには、犬の体に害はないとされているローズマリー抽出物など天然由来の保存料や酸化防止剤などが添加されていることが多くあります。また、ビタミンやミネラルなどを栄養成分として添加されていることもあるのです。
ドッグフードを選ぶときには、天然由来の添加物なのか化学的に合成されたものなのかを見極めることが大切です。
ドッグフードの中には、無添加であってもパッケージに「無添加」と表示せずに、「着色料不使用」「香料不使用」など気になる添加物についての表示がされていることもあります。
注意したい添加物は、着色料(赤色、青色、黄色などの表示があるもの、二酸化チタン)、酸化防止剤(BHA、BHT、エトキシキンなど)、保存料(ソルビン酸など)、保湿剤(プロピレングリコール)、亜硫酸ナトリウムなどで、ペットフード安全法で犬の健康に良くないものとして使用が規制されています。
まずは、原材料表をよく確認して、防腐剤、香料などの合成添加物が使われていないかなどをチェックしましょう。
チキンを使用したドッグフードで気をつけたいのは、鶏肉の品質です。鶏の段階でどのような餌を食べていたのか、ホルモン剤や抗生物質などを与えられていたのかによって、無添加の基準は大きく変わります。犬は、鶏が食べていた飼料や薬品によってアレルギーなどの影響を受けることがあるため、オーガニックチキンや無薬鳥などと表示されているドッグフードを選びましょう。
オランダ発のドッグフード・ヤラーは、EU、オランダ、フランス、ドイツのオーガニック認証を受けているオーガニックペットフードの代表的ブランドです。動物たちの健康を徹底的に考え開発されたドッグフードは、有機の原材料を使用し、素材本来のうまみを引き出すレシピとなっています。
「人と同じ基準の食材を」をモットーに、人間の赤ちゃん基準のオーガニック素材を使用し作られているSOLVIDAのドッグフード。オーガニック飼料で育てられた家禽にこだわり、アレルゲンとなる原材料を排除したグレインフリーフードにリニューアルされたドッグフードは、最新のペット栄養学に基づいた理想的な栄養バランスで作られています。
九州の人気水たき料亭「博多華味鳥」が作った安心安全にこだわるドッグフードがUMAKAです。人間にも美味しく人気のブランド鶏「九州産華味鳥」の飼育から調理までを一貫して行っているトリゼングループは、水たき料亭「博多華味鳥」の運営会社。味と品質にこだわりを持つ鶏肉専門店ならではのレシピは新鮮な鶏肉をふんだんに使用し、かつお節をはじめとした国産材料で作られています。
捕食動物であった犬が食べていたものをドッグフードとして擬似的に再現する、オーストラリア産のクプレラシリーズ。素材の栄養を損なわないために低温で調理された自然飼育のチキンに犬の健康に必要なプロバイオティクス、酵素、ビタミン類、必須アミノ酸を非加熱で配合しています。食ムラのある子にも人気です。
世界で最も厳しい食品安全基準の国として知られているニュージーランド産の原材料のみを使用して作られているイティ(iti)のドッグフード。イティ(iti)とは、マオリ族の言葉で小さいという意味。動物が本来持つ性質に基づいた嗜好性や消化機能はもちろん、体重管理から健康な皮膚や被毛、関節維持などの全てを小型犬に焦点を当て開発されたドッグフードです。原材料には自然放牧の鶏肉と内臓を使用し、天然の酵素を壊さない低温乾燥のエアドライ製法を採用。小型犬に必要な栄養と口のサイズに合わせて作られています。
高タンパク低脂肪のラム肉は、肥満傾向にある犬やアレルギーを持っている犬に人気のある食材です。ラムと表示されているドッグフードの原材料は生後1年未満の仔羊です。ラム肉はチキンに比べると高価ですが、10種類の必須アミノ酸、鉄分、オメガ3脂肪酸、ビタミンB群、亜鉛、Lカルニチンなどの栄養が豊富に含まれています。
世界でもトップクラスを誇るニュージーランド産の原材料をふんだんに使用して作られているKiaOra(キアオラ)は、2タイプのラムベースのフードをラインナップ。犬の健康にこだわり開発された独自のレシピでは、単一肉原料にサーモンをプラス。また、犬に必要な栄養素を考慮しオメガ3&6脂肪酸とハーブが配合されています。
ペット先進国イギリスで多くの飼い主に愛されるドッグフードが、アランズナチュラルです。「野生の犬が自然の中で食べていた食事をできる限り忠実に再現」することをモットーに作り出されるドッグフードは、グラスフェッド(良質な草を食べて育った)ラム肉をたっぷり使用。余計なものは配合せず、犬に必要な栄養素を厳選し、9種類の自然素材のみで作られています。
エアドライ製法のパイオニアとして知られるニュージーランドのペットフードメーカーがZIWIです。犬や猫の消化システムと生理機能に注目し、生肉をはじめとし、内臓、関節に効果のある緑イ貝を96%以上配合。消化吸収性を高めたフードであるのが特徴です。自然放牧で育てられたラム肉を使用した高タンパク低カロリーのフードは、チキンアレルギーの犬やダイエット中の犬にも好評です。
チキンにアレルギーがあったり、肉食を抑えなくてはいけない犬に最適なドッグフードがサーモンを使ったフードです。サーモンには、DHA、EPA、ビタミンB12、ビタミンDが豊富に含まれ、抗酸化作用の高いアスタキサンチンが含まれています。魚系のドッグフードを探している方にはおすすめです。
愛犬の満足と健康維持を考え、イギリスで誕生したAATU(アートゥー)のドッグフード。80%の動物性タンパク質と20%のフルーツ、ハーブ、植物由来の原材料が配合されており、栄養バランスよ良さと食いつきの良さが特徴です。1kgを作るのに2.5kgの原材料が使用されている贅沢なレシピが人気の秘密です。
全てを手作りするのは難しいけれど、愛犬の健康状態にあっているトッピングをしたい!そんな飼い主に人気のドッグフードがPOCHIざ・ドッグフードシリーズです。低カロリーながら総合栄養食の栄養バランスをキープ。手作りはもちろん、レトルトをトッピングすることで、その日の体調に合わせたフードが作れます。
最近ではドッグフードの世界でも「無添加」「オーガニック」がトレンドとなっています。そこで気にしたいのが原材料です。無添加と表示されていても、天然由来ではない保存料や酸化防止剤が使われていることもあります。また、無添加だからといって、犬の健康に良いフードとは限りません。無添加である上に、栄養バランスやカロリーなど犬の健康面をしっかり考えられて作られているドッグフードを選ぶことをおすすめします。
西村 百合子/ホリスティックケア・カウンセラー、愛玩動物救命士、犬の東洋医学生活管理士2級
ゴールデンレトリバーと暮らして20年以上。今は3代目ディロンと海・湖でSUP、ウインドサーフィンを楽しむ日々を過ごす。初代の愛犬が心臓病を患ったことをきっかけに、ホリスティックケア・カウンセラーの資格を取得。
現在、愛犬のためにハーブ療法・東洋医学などを学んでおり、2014年よりその知識を広めるべく執筆活動を開始。記事を書く上で大切にしていることは常に犬目線を主軸を置き、「正しい」だけでなく「犬オーナーが納得して使える」知識を届ける、ということ。