
犬のワイヤーヘアー(wire-haired type)は「ブロークンへアー」「コースヘアード」とも呼ばれます。まずはワイヤーヘアーの毛質の特徴についてご紹介します。
ワイヤーヘアーは針金状の粗い毛質のことを指します。ごわごわとした手触りです。
ワイヤーヘアーは一般的に抜け毛が少ないため、犬アレルギーの方が好んで飼うことも多くあります。
ワイヤーヘアーの毛質タイプを持つ犬の中から、主な5犬種についてご紹介します。
テリアの中では最も大きく、キング・オブ・テリアと呼ばれているエアデール・テリアは、イギリスのヨークシャー地方にあるエアデール(エア渓谷)の川でカワウソなどの猟に用いるために交配された犬種です。とても賢く忠実で、学習意欲も旺盛でありるため、警察犬や軍用犬としても活躍しています。
「ウエスティー」の愛称で親しまれているウエスト・ハイランド・ホワイトテリアの被毛は剛毛のダブルコートで、頭から尾まで白一色です。愛らしい小型犬ではありますが身体はテリアらしく筋肉質で、運動が好きです。わがままで警戒心が強いところがありますが、活発で陽気な性格です。
ワイヤー・フォックス・テリアは、その名のとおりキツネ狩りのために改良されたテリアです。被毛は針金のように硬く、毛色は白い体に黒・茶のマーキングが一般です。典型的なテリア気質の持ち主です。
日本で不動の人気を誇るミニチュア・ダックスフンドは、巣穴の中にいるアナグマの狩猟に用いるために手足が短く改良された犬種です。スムースヘアー、ワイヤーヘアード、ロングヘアーの3つの毛質があります。3つの毛質の中では1番トリミングが必要になる毛質ですね。ワイヤーヘアーのダックスフンドはちょっぴり頑固で、テリアの気性の激しさが現れるコがいるとも言われています。
ダッチ・シェパードは、国際畜犬連盟(FCI)やアメリカンケネルクラブ(JKC)で公認されている犬種で、ブリンドルの被毛が特徴的です。ラフへア(コースヘアード)、ショートヘアード、ロングヘアードの3種類があります。
それでは、ワイヤーヘアーの毛質を持つ犬のお手入れ方法についてご紹介します。
ドッグショーに出る犬など、ワイヤーヘアー本来の毛質にする場合には「プラッキング」という毛を抜くお手入れ方法を用います。プラッキングの作業には専用のトリミングナイフが必要で、知識と技術がなければお手入れ出来ないので、初めての方はトリミングサロンにお任せしましょう。
一般家庭での飼育など、剛毛にこだわらない場合にはブラッシング or プラッキングをします。柔らかいアンダーコートがあるので、お手入れを怠るともつれや毛玉ができてしまいます。犬種や飼い主さんの好みによっては、バリカンやハサミでカットしたり、指先でつまんで絡んでいるところを取る方もいらっしゃいます。
犬の被毛を健康的に維持するには、毛質などの特徴について理解し、被毛に合った正しいお手入れをする必要があります。これから新しく犬を迎え入れることを検討するようであれば、犬種の性格や特性と合わせて、被毛の特徴について調べておくと良いかもしれませんね。
江野 友紀/認定動物看護士
地域密着型の動物病院にて、動物看護士として14年ほど勤務。看護業務の合間にトリミングもしています。
ドッググルーミングスペシャリスト、コンパニオンドッグトレーナーの資格を保有。
普段の仕事では、飼い主様の様々な疑問や悩みを解消できるよう、親身な対応を心掛けています。
ライターの仕事を通して、犬と人が幸せでより良い生活を送るためのお手伝いさせていただきたいです。