
メキシカン・ヘアレスドッグはメキシコを原産国とし、正式な犬種名をショロイツクインツレ(略称ショロ)と言います。歴史が非常に古く、3,500年前には存在していたと考えられています。
かつては食用として飼育されていましたが、他の動物をタンパク質源とすることができるようになってからは食用はされなくなり、湯たんぽのような役割をする実用犬として使用、およびペットとして飼われるようになりました。
メキシカン・ヘアレスドッグがヘアレスなのは突然変異によるもので、人為的に作出したわけではありません。ヘアレスであっても、メキシコの気候に適合できたため、現在まで血が受け継がれています。
世界的に見ても頭数が少なく、ジャパンケネルクラブには2020年から過去10年において登録がありません。
ジャパンケネルクラブの犬種グループの中で、メキシカン・ヘアレスドッグは、「原始的な犬・スピッツ」に分類されています。「原始的な犬・スピッツ」には、品種改良があまりされていない原始的な犬が属しています。
スピッツはドイツ語で「尖ったもの」を意味し、尖ったマズルや三角の立ち耳をしているのが、この犬種グループの犬たちの共通した特徴です。
子犬の頃は好奇心旺盛でやんちゃですが、成犬になると物静かで落ち着いた性格になっていきます。見知らぬ人には警戒心が強いですが、心を許した相手にはべったりになるほどよく懐きます。また、頭がよいのも特徴の1つです。そのため、教えたことはしっかりと覚えていかれます。
もともと用心深い気質なので社会化トレーニングをして、知らない人や見知らぬ物事に対して過度に神経質にならないようにしておきましょう。
生後3週齢?12週齢の社会化期は、警戒心があまり芽生えておらず好奇心の方が強いので、初めての物事に対して柔軟に吸収して適応していきます。そのため、この時期に家族以外の人や車の音、家の外の匂いなど、さまざまな刺激に慣れさせておきましょう。そうすることで、必要以上に警戒することなく、落ち着いて過ごせる性格になっていきます。
社会化期の過ごし方は、性格形成に大きく影響するので、社会化トレーニングは非常に重要であることを覚えておきましょう。
ここでは、メキシカン・ヘアレスドッグの体重や必要な運動量について見ていきましょう。
メキシカン・ヘアレスドッグは、スタンダード、インターミディエイト、ミニチュアの3サイズがあり、それぞれの平均体重は以下のようになっています。
・スタンダード:9~14kg
・インターミディエイド:4.5~9kg
・ミニチュア:5kg
体重管理をするうえで、上記を目安にするとよいでしょう。
それほど多くの運動量を必要としないので、朝夕それぞれ30分程度の散歩をするぐらいで大丈夫です。ヘアレスという性質上、寒さに弱いので散歩のときは服を着せるなどしてあげましょう。また、紫外線の影響も受けやすいので、日焼け対策も必要です。
散歩は犬にとって気分転換になる大切な時間なので、毎日連れて行くようにしましょう。
メキシカン・ヘアレスドッグは、頭頂部や尻尾にわずかに毛が生えているだけで、全身はほとんど毛が生えていません。被毛に臭いがこもることがないため、体臭が少ないのが特徴です。また、抜け毛もかなり少ないことから、アレルギーを持っている人に向いている犬種と言われています。
メキシカン・ヘアレスドッグは、皮膚が丸見えになっているので、皮膚の乾燥や日焼けをしやすい傾向にあります。そのため、保湿ローションや日焼け止めクリームを塗って、皮膚を守ってあげましょう。
軽い汚れであれば、固く絞ったタオルで拭くだけでもきれいになりますが、皮膚が傷つきやすいので優しく拭くようにしましょう。
また、月に1?2回シャンプーをして、皮脂汚れを落とすことも必要です。被毛がないのでシャンプー後はドライヤーではなく、乾いたタオルでしっかりと拭けば大丈夫です。
メキシカン・ヘアレスドッグは、利口で穏やかな性格をしており、よき家庭犬の要素を持っている犬種です。ただし、毛が生えていないことから、被毛を持つ犬種とはまた違ったお手入れが必要です。
比較的飼いやすいと言われている犬種ですが、特徴や気質をしっかりと理解してから迎えるようにしましょう。
新井 絵美子/動物ライター
2017年よりフリーランスライターとして、犬や動物関連の記事を中心に執筆活動をおこなう。
過去に、マルチーズと一緒に暮らしていた経験をもとに、犬との生活の魅力や育て方のコツなどを、わかりやすくお伝えします。